【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第六十八話

アナザーによる爆弾発言があった日の晩

他の国の女神や教祖達はプラネタワーの客間に泊まり、翌日に出されるネプギアの答えを待っていた。

 

そんな中、プラネタワーの最上階に在るネプギアの部屋では、部屋の主であるネプギアが姉のネプテューヌと共にベッドに腰掛けて話をしていた。

 

「お姉ちゃんは、どう思ってるの?」

 

「どうって?」

 

「アナザーさんが持って来たあの剣の事だよ…」

 

「ん~、アレか~……」

 

ネプギアの質問に対して、ベッドの外に足を出して寝転んでいるネプテューヌは口に人差し指を当てて、宙に浮いた足をぷらぷらと揺らし考える。

数秒程考え込んだネプテューヌは考えが纏まったのか、『よいしょっ』と掛け声を挙げて起き上がり、隣に居るネプギアの顔を見ながら答えを返した。

 

「……そうだね。わたしとしては、折角教えてくれたアナザーには悪いけど、あの剣は出来るだけ使いたくはないかなって思うよ?」

 

「……そう、だよね…………やっぱり、そうだよね

 

それを聞いたネプギアは同意ともとれる言葉こそ発しているが、心此処に在らずと言った表情で俯いており、まるで自分に言い聞かせているようだった。

 

「そう言うネプギアの方はどう思ってるの?」

 

「……えっ、あ、その……」

 

何故なら、ネプテューヌの返しに対して言い難そうに吃り出したのだから―――

 

「あわてなーいあわてなーい、わたしはネプギアがどんな答えを出しても怒らないし、ネプギアの味方だから…ね?」

 

―――しかし、そんなネプギアを見たネプテューヌは、何時ものちゃらんぽらんさは何処へやら、ナニかを察した理想を諦めたような表情でネプギアを安心させる為の言葉を掛け、質問の答えを促した。

そんなネプテューヌの言葉を聞いてネプギアは深呼吸を数回程行い、投げ掛けられた質問の答えを口に出した。

 

「……うん…私は――――――――――」

 

「そっか、じゃあ、わたしもそれで良いと思うよ!」

 

「うん!さあさあ、答えも出たことだし、今日はもう寝よっか?」

 

そして、答えを聞いたネプテューヌは、明日に備える為にベッドに籠って眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

「……あー………」

 

プラネテューヌ教会プラネタワーから無断で外出し、バーチャフォレストの最深部のゲイムキャラが亜空間に避難する直前までゲイムギョウ界に存在していた場所で寝転んでいるアナザーは、左腕を魔剣『ゲハバーン』と同化させた状態で気の抜けた声を挙げながら、ただ呆然と月を見上げていた。

 

「……」

 

見た目だけなら女にも見えるアナザーがそうやって月を見上げている姿は、周囲に人間が居れば思わず見惚れる程に美しく、アナザー自身の危険度を知らなければ光に集まる蛾か何かのように、フラフラと引き寄せられた事だろう―――

 

『Nu、Nuraaaaa(ザクッ)…a、a………』

 

「…………」

 

――――周囲にぶちまけられている、大量のモンスターの死骸と蒼血が無ければの話だが

 

スライヌを初めとした然程強くないモンスターに、フェンリスヴォルフのような下位の危険種も所々混ざっている死骸は数百にも及び、それだけならば英雄級は言うに及ばず、上級の冒険者ならば片手間で、ある程度強い中堅処の冒険者でも全滅させる事は可能だろう。

しかし、アナザーはモンスターには一切意識を向けず、起き上がることも無く、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけなのだ。

 

「…………」

 

その証拠に、時折混ざっている死骸の中には普段は殺す対象からは外れているし外してもいる人間のものと思われる死体が混ざっており、背後からザックリと心臓を一突きされている様子から、祿に意識する事無く殺ってしまったのだろう。

大量の血はバーチャフォレストの最深部の広場を満たし、咽せ返るような血臭と死臭が溢れていた。

 

「…………あー……」

 

しかし、それらの死骸は大部分が既に光の粒子へと分解されても可笑しくはない筈の時が経過しているにも関わらず、何故か分解が始まらない。

 

「うー……」

 

本来、ゲイムギョウ界ではモンスターを討伐した場合、女神の守護(システム)の恩恵によって時間経過で光の粒子に分解される。

守護の大本である女神本人、もしくは女神とパーティーを組んだ者が討伐した場合は即座に分解が実行され、死骸そのものが残留する時間は皆無と言える。

 

「あうあうあ…………」

 

『Guruaaaaa!?!?』

 

しかし、現に討伐されたモンスターは光の粒子へと分解されず、流れ出ている蒼い血が池のように溜まってアナザーの背を濡らしていた。

 

「…………………………………………」

 

そんな光景は月が木々に沈むまで続けられ、月が沈んでやっと周囲を見回したアナザーが周囲の身に覚えのない死骸の山に不思議そうに首を傾げると言う、ただそれだけの結果を残したのみであった。

 

…………犯罪神が討たれた後、スライヌ退治で迷い込んだ駆け出しの冒険者達が発見して腰を抜かすその日まで




因みにですが、次回は番外編の方への投稿になります。

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