【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
『あ、二人とも目を覚ましたですか?おはようですぅ』
『…………此処何処さ?』
『あ、いーすん!チュートリアルありがとね!それで今回はどんな用?』
『……イースン?』
『大体、話は分かったわ。つまり三人はその……イースンって人に頼まれて、四つの大陸にある鍵の欠片を探してるのね?』
『そう、だな。付け加えるなら、オレは自分探しがメインで、鍵の欠片はオマケだ』
『ミスをして当たり前なのが人間なら、私は迷わず機械に仕事を頼む』
『なあ、なら何故、アンタは人間のままなんだ?』
『魔―――ミテスの使いに見付かったら―――』
『そうか、ならばこの場でシネ』
「………………チッ」
一歩、また一歩
犯罪神に近付く度に歯抜けが多くとも懐かしい記憶と、それに伴った殺意を思い出していく。
「…………全く、何が聞き覚えのある名称か」
思えば、あの時には既に記憶の一部が歪んで書き変わっていたのだろう。
なにせ、殺したくて壊したくて仕方がなかった【マジェコンヌ】の名前を聞いても、聞き覚え程度にしか思い出せなかったのだ。相当根深く洗脳をされていたとして、さて誰がやったのか
ひょっとしたら、こうして魔剣片手に神風特攻している現状さえも洗脳した輩の思惑の内かもしれんが……
「……まあ、そんな事はどうでも良い」
何れにしても
先程から時折大地が崩れているのを見るに、そして大地が崩れる度に前回の力を超えて上昇していく犯罪神の力を感じるに、この地は犯罪神復活の為の予備電源兼補強用の建材としての側面を持っていたのだろうか?
「ならば何故、前回の犯罪神復活の際にこの地が崩れて消え去らなかったのか―――」
分からない。分からないが、前回こうして犯罪神が復活しなかった事だけは感謝しても良い。
もしも前回、こうして復活されてしまっていたら、ウラヌス達が犯罪神を封印できたか分からないし、何より―――
「何よりも、今回こうして
どちらにしろ、犯罪神だけはコロス。何としてでもコロス。是が非でもコロス
例え、結果として犯罪神と同じような事をしてでも……………………
「「「「あ」」」」
「…む」
(……ああ、そう言えば
思い出した先代女神の面影がある今代と次代のプラネテューヌの女神の姿を見た俺は、最悪のパターンを回避する為の最低水準を満たした事に安堵しつつ、何としてもネプテューヌとネプギアをさっさとこんな場所から避難させる事を決めた。
「……ちょうど良い。早くこのギョウカイ墓場から逃げろ」
それは、犯罪神マジェコンヌから皆を連れて逃げている途中でした。
「「「「あ」」」」
「…む」
敵の白いロボット(正直、分解してみたかった)を任せたアナザーさんと遭遇したのは
(き、気まずい……)
いえ、囮にして置いて難ですが、こうして再会するとこれはこれで…って、なに言ってるんだろう私……
っと、そうだった。
きっとアナザーさんはまだ犯罪神が復活した事を知らない筈
ハクさんはベールさんが連れて来てくれる筈ですし、今は―――
(と、とりあえず、今は急いで――)
「……ちょうど良い。早くこのギョウカイ墓場から逃げろ」
『えっ』
「聞こえなかったのか?逃げろと言ったんだ」
……………………あ、ありえません。
今、別に可笑しくはないけど言った人が可笑し……いえ、アナザーさんが言う筈のない言葉が聞こえて来ました。
あのアナザーさんが『逃げろ』なんて…正直、『邪魔だ』とか『足手纏いは要らん』だとか、仏頂面で有無を言わせずに言うものとばかり……実際、お姉ちゃんもポカーンって感じの顔になってるし
(しかも、なんだか珍しく表情がにこやか、で…………ッ?!?!」
「ネプテューヌは兎も角……どうした?ネプギア。百面相などしている暇が在るなら、オレは即刻逃げる事を推奨するぞ?」
けれどそんな考えも、アナザーさんの左手で引き摺られている……もっと言えば、アナザーさんの左腕と同化している……禍々しい紫色の刃を見た瞬間に消し飛びました。
(ダメ?!アレだけは、絶対に……!!)
私の…だけじゃ不安かもしれないけど、隣に居たお姉ちゃんも身構えた辺り間違ってはいないだろう女神としての本能そのものが、あの昏くて禍々しい紫色の剣に対して全力で警報を鳴らし、仲間…と言えるかもしれない間柄である筈のアナザーさんに対して条件反射で武器を構えて臨戦態勢を採ると言う行動を選ばせました。
「ちょっ?!ネプ子もネプギアも、急にどうしたのよ!」
「…おいおい、どうしたんだ?俺を相手に無駄な時間を消費している暇が有るなら、こんな場所からはさっさと避難するべきだろうに……所詮、先代の劣化品か」
けど、流石にいきなり武器を向けたのはやり過ぎでした。
私が背負ったアイエフさんは戸惑ったように声を上げ、お姉ちゃんの方も内容を聞いている余裕はありませんが、コンパさんも戸惑ったような声を上げているのが伝わります。
勿論、私だって初めて見た……もっと言えば、知らない筈の武器を見ただけでここまで過剰な反応を示した事に戸惑っていますし、お姉ちゃんも表情が困惑してるのに、機械剣の柄を握り締めている両手は緩む所か更に強く握り締めています。
それを見たアナザーさんも表情はにこやかなのに先程までは何処となく温かかった眼差しから一変して、まるで塵でも視るような冷たい眼差しで私とお姉ちゃんを見ています。
「……アナタ、本当にアナザーなのかしら?」
「さあ?少なくとも俺はオレをアナザーだと認識しているしそれ以外の何者でもないつもりだが?」
その極端な落差からか、お姉ちゃんは更に困惑したような表情でアナザーさんに声を掛けますが、アナザーさんははぐらかすような答えを返しました。
「……まあ、オレが俺かどうかなんざどうでも良いだろう?お前らは早くイストワールの元にでも還ると良い」
「ダメよ!無謀な戦いで死にに行くような友達を見捨てることは出来ないわ!」
「…ッ………」
そう言ってアナザーさんは、
だた、お姉ちゃんはそんなアナザーさんの自殺行為を認められずに禍々しい紫の刃に
……ええ、
「良く考えてみなさい!あなた1人が犯罪神に突撃して何になるの?ここはノワールやブラン達に合流して全員で犯罪神と戦った方が「なあ、それは本気で言ってるのか?」……なんですって?」
「本気で言っているのかと、そう言ったんだよ。ネプテューヌ」
一瞬だけ悲し気な表情をしたアナザーさんは急に無表情になって冷たく言うと共に、禍々しい紫色の刃をお姉ちゃんに突き付けました。
「ちょ、アナザー!ふざけんのm「お前には聞いていない!」……っ」
「……なあ、ネプテューヌ……お前は本当に、他の連中と協力すれば
それを咎めたアイエフさんを一喝して、その周囲に禍々しい紫色の刃よりも禍々しい赤黒い球体を出現させたアナザーさんは、
まるで一個選択肢を間違えたら即DEATHすると言わんばかりの状況に、私は足がすくんで動けません。
そして、そんな状況にお姉ちゃんは――――
「少なくとも、あなたが単独で犯罪神に挑むよりは勝率があるわ!だから、一緒に来なさい!」
――――そう啖呵を切って、未だに
「……すぅ、はぁ…………」
据わった目を閉じたアナザーさんは数回程深呼吸をしてから目を開くと、纏っていた重々しい雰囲気は霧散して据わっていた瞳は皮肉と諦感が滲み出ていました。
「そう、か……ああ、
「それじゃあ……」
「……ああ、どの道もう時間切れだ。今はお前の戯れ言に従ってやるよ」
そう言ってアナザーさんは、(多分)ベールさんが飛んで行った方に向かって歩き出すのでした。
『…………(え、なにこの状況)』
と言うか、何でアナザーさんはベールさんが飛んで行った方向が分かるんでしょうか…………
女神達が逃げ出した後の事
【―――ォォォォォ】
犯罪神は左腕を除いた上半身だけが具現化されていた状態で、目蓋を閉じて瞑想を行っていた。
その周りには、赤黒い光――恐らくは犯罪神のシェアエナジーだろう光点が飛び交い、犯罪神の肩や腰の断面へと付着して行く。
光が付着した断面はポコポコと泡立ちながらじわじわと……それこそ蝸牛の歩みのような速度ではあるが、肉が盛り上がっていった。
どうやら、周囲のシェアエナジーを吸収する事で不完全な肉体を補完しているようだ。
【オオォォォ――――】
四天王が全滅したギョウカイ墓場では未だに生命力に溢れる存在が残ってはいるものの、不完全な復活を果たした犯罪神はそれらを無視して―――否、大半は気にする必要が無いのだ。
犯罪神がシェアエナジーを吸収する度に、周囲で山のように転がっているゲーム機の残骸や割れたディスクは最初から存在していなかったかのように消滅していく。
それはギョウカイ墓場の黒い大地やこの地に残存しているモンスターさえも例外ではなく、場所によっては既に崩落している部分から白い手のようなナニカが地獄の亡者の如く這い出ようとしては元の場所へと堕ちて逝った。
あらゆるものが消滅していくギョウカイ墓場は、着実に本来の役目を果たしていた。
やっと……書けた……orz
次の更新にも時間が掛かりそうです。しょんぼリーです(´・ω・`)