【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第六十四話

「――rurororoxzyvwuppppppppppppppppppppppppppppppp?!?!?!?!?!?!」

 

そんな奇声を挙げたアナザーの胸部を黒っぽい棒状の物体が凄まじい勢いで突き破り、その棒は射線上に居たマジックに突き刺さった。

 

「なん……だ…と…………ゴパァッ?!」

 

一突きで心臓付近を貫かれ、血を吐いて大地に伏したマジック

その胸に刺さっていた物体は、紫色の禍々しい諸刃の剣だった。

 

「み、認めん……私は、ま、だ……」

 

だが、倒れ伏したマジックは背中までその禍々しい剣に貫かれながらも未だに死んでいなかった。

胸を貫通した剣の柄を両手で掴み、剣を胸からどうにか引き抜こうと力を入れる。

だが―――

 

「こ、れは…ワ、わタシの…チカラ、が…………」

 

―――単刀直入に、マジックは禍々しい剣を引き抜く事は叶わなかった。

それ所か、紫の剣は紫色の禍々しい輝きを放って鳴動し、ナニかを吸い上げるように紫の光を明滅させた。

 

「………………ああ、そうか……は、ハハハ」

 

そんな状況下で、胸の中心部―――心臓の辺り―――を縦一文字に斬り裂かれたアナザーが、倒れ伏して剣を抜こうと足掻いているマジックに近寄った。

その視線はマジックへ突き刺さっている禍々しい剣へと向けられており、虚ろな表情で乾いた笑い声を挙げていた。

 

「キ、さマァ…!何、ヲシ…た……!!」

 

「黙れよ。塵が」

 

心ここに在らずと言った感じのアナザーに対して声を掛けたマジック

マジックの声を聴いたアナザーは虚ろな表情を憎しみに満ちた表情へと変えると共に、マジックの胸に突き刺さっている剣の柄を足蹴にしてぐりぐりと押し込んでいく。

 

「ウ、ぐ…ッ」

 

「あア、やっと思い出したんだよ……お前が、ムシケラが、木偶がクソが」

 

「ぐ、アグっ?!」

 

底冷えするような声を出しながら右手でマジックの首を掴んだアナザーは胸に剣が突き刺さったままのマジックを持ち上げ、紫に明滅する刀身の七割が貫通して背中側にある剣の柄を左手で持ち、首を絞め上げながら剣を一気に引き下ろす。

 

「ああ、今度は間違えない……今度こそ、この剣……いや、『ゲハバーン』で犯罪神を―――――ハカイスル」

 

「………………」

 

幽鬼のような表情のアナザーによって胸から下が左右に斬り別けられたマジックは血も内臓をぶちまける事なく、赤黒い光の粒子に分解されて引き下ろされた禍々しい剣――ゲハバーンへと吸い込まれていったのだった。

そして血の滴る刀身から紫色の暗い輝きを放つゲハバーンを持ったアナザーは、夢遊病の如くフラフラとネプギア達が向かった方へと歩いて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナザーがマジックの心臓へ禍々しい剣――ゲハバーンを突き立てた丁度その頃

通信機よりイストワールの声が響き渡り、帰還を呼び掛ける。

 

『ネプギアさん!?そこは危険です!今直ぐに帰還してください!』

 

「え、ちょっいーすんさん?!」

 

「イストワール様、これは一体……?!」

 

それに連鎖するように、姉の女神達と再会を果たした女神候補生達の居る地ではシェアエナジーで在りながらその在り方を致命的な迄に変質させた邪悪なエナジーが、ギョウカイ墓場の黒く染まった大地から間欠泉の如く噴き出していた。

 

『現在、凄まじい質量の邪悪なシェアエナジーが計器から検出されています!これは――まさかっ!?』

 

そう言って通信機越しに慌てるイストワールの発言を皮切りに、暗黒の大地から溢れ出る莫大なシェアエナジーが先程まで四女神達の囚われていた場所に集まり、おぞましいナニかを形成し始めていた。

 

「ちょ、どうなってんのよこれ?!」

 

『急いでください!犯罪神が…犯罪神が復活を果たしましtブツッ――!?』

 

集束を続けるシェアエナジーがウサギのような頭部を形成し始めると共に、イストワールからの通信は嫌な音を立てて途切れる。

しかし、肝心な部分は確りとネプギア達に伝わっていた。

 

「皆さん!急いでここから逃げましょう!」

 

「そうね。ここは一旦退くのが最善よ」

 

「ふざけないで!一戦も交えずに逃げる?そんな事が出来る筈ないでしょう!?行くわよ!グロウ!ユニ!」

 

「ノワール様、お供致します!」

 

「えっ?!……うん!分かったわ!お姉ちゃん!!」

 

「わたくしはハクを探しに行きます!」

 

「ロム、ラム、お前らは逃げろ!アタシは少しでも時間を稼ぐ!」

 

「イヤよ!」

 

「…イヤ(ふるふる)」

 

「ちょ、こんな時に言い争ってる場合じゃないでしょうが?!」

 

……伝わっていたのだが、果たしてそれは良かったのか悪かったのか

撤退を促すパープルハートとネプギアに対して良くも悪くも我の強い女神達は、あるものは戦おうと従者と妹を率いて1m以上の大きさをしている漆黒の剣を取り、あるものはこの場にいない妹を探しに飛び立ち、あるものはこの場に居る妹を逃がす為に身の丈程の大きさの純白の戦斧を構えた。

 

【――――ォォオオオオオオオオオオオオォォォォォ…………!!!!!!!!】

 

「先手必勝!ヴォルケーノダイブ!!」

 

そうこうしている内に、ウサギのような頭部しか形成されていなかった犯罪神(?)は人間の女性のような上半身まで形成を終えていた。

そのウサギのような頭部から響き渡る呪詛のような唸り声を聞いたノワールは、2~3m程跳び上がって犯罪神に目掛けて勢い良く武骨な黒いバスタードソードの刀身が赤くなる程の魔力を纏わせて振り下ろす。

降り下ろした刃が敵に中らずとも大地に叩き付けた段階で纏った魔力が火柱となり、降り下ろす刃と敵を焼く豪炎の二段構えのコンボは必殺技であるエグゼドライブには及ばずとも中位以下の危険種ならば一撃で灰塵と化し、上位の危険種であってもまともに受ければ只では済まない。

 

「なっ?!」

 

【ォオオオオオオオオォォォォ――――――】

 

しかし、女神化までしている状態のノワールの攻撃は、犯罪神が形成されている右腕で刀身を掴んだ事であっさりと無力化された。

更に、刀身に纏わせていた陽炎が発生する程の炎の魔力は犯罪神が掴んだ事で強引に握り潰されてしまい、刀身そのものもギチギチと神器でなければ握り潰されかねないと確信する嫌な音を立てていた。

 

「ウソっ?!魔力まで握りつb【オオオオォォォォォ!!!!】――あああああああああ?!?!」

 

「「ノワール様ッ?!/お姉ちゃん?!」」

 

あっさりと己が攻撃を受け止められたブラックハート(ノワール)は驚きながら、嫌な音を立てて軋む神器諸共に遥か遠方へとぶん投げられて行った。

ぶん投げられたブラックハート(ノワール)の安否を優先してか、ユニは女神化状態で飛行して後を追い、グロウは置き土産として念の為に持っていた予備のシェアクリスタルに内包されているシェアを暴走させ、簡易爆弾として犯罪神へ投げ付けた上で飛んで行ったユニの後を追った。

 

「ノワール!?クソッ!!」

 

それを見たホワイトハート(ブラン)は、シェアクリスタルの爆発と共にモクモクと立ち上る煙の中へ構えていた純白の戦斧を投げ付け、女神化状態の2人の妹の手を掴んで飛び上がり、一先ずノワールが飛ばされた方向へと全速力で逃走した。

 

「ちょ、ブラン!?」

 

「私達も、急いでここから逃げましょう!!」

 

「そうね!私はコンパと…えっと、この娘を連れて行くから、ネプギアはアイちゃんをお願い!」

 

「うん!アイエフさん!こっち!」

 

それに便乗して、パープルハート(ネプテューヌ)はコンパを背負いRED.を小脇に抱えて、ネプギアはアイエフを背負って飛行し、ブランが去った方へと逃げ出したのだった。

 

煙幕が晴れた後

 

【……………………】

 

そこには無傷の―――しかし、上半身と右腕だけが形成された犯罪神が、弾き飛ばしたのか、大地へと突き刺さりながら少しずつシェアに分解されているホワイトハート(ブラン)の戦斧を一瞥すると共に、先程の女神達を追う価値も無いと言わんばかりに瞼を閉じて瞑目した。

 

【――ォォォォォ】


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