【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第六十三話

「…………んあ?」

 

気が付けば、俺は大穴の中で呆然と突っ立っていた。

…………何処だここ

 

「確か、俺は白いロボットを破壊して……ああ、そう言う事か」

 

記憶が曖昧だった為に記憶の整理を行っていたが、足元に転がっていた煤けた鉄の板と、巨大な剣の柄らしき部分を見て、やっと全てが思い出せた(理解出来た)のだった。

 

「ククク……ハハハッ!アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハァ!!」

 

成る程、成る程なぁ!あの白いロボットは混ざり物のゴミを助ける為だけに、()()()()()()()()()()()()()って訳か!

そう、そう言えば()()()()()

 

「ハッハッハッハッハッ!!まさか、あのロボット無駄死にしやがったのかよ?!バッカじゃねえの?」

 

だが、全ては無駄だったのだ。

俺は咄嗟に身体の周囲に黒いオーラを展開した結果、あのロボットは俺に触れる事も叶わずに消え去ったのだからな!

 

「……いや待て、ならば何故、俺はこんな穴の中に【――――】……まだ、記憶に不備があるのか……」

 

だが、まあ良い。

記憶は少々不安定だが、今はこの穴からd「見付けたぞ」く事が優せn…………はっ?

 

「…成る程、この惨状を見るに、ブレイブは最低限の使命を果たして逝ったようだな」

 

そう言いながら空から穴の中へと降りて来たのは、ノワール(ぼっち)をベースにベール(駄乳)を混ぜたような姿をした(皮を被った)プロセッサユニットらしき装備を纏う女だった。

 

「ならば良し……貴様には犯罪神様復活の為の礎となって貰おう」

 

目の前に降りて来た女が何かを言っているが、今の俺にはそれを聞き取って処理する能力が無い。

 

「……っ…」

 

今、俺の左眼には眼球が弾けそうな程の過剰な負荷が掛かっていた。

しかし、一方で右眼の方は特に何の問題もない。寧ろ調子が良いぐらいだ。

 

「…………―――」

 

「…かし、想て…―りも内部――感じ……るパワ……少―い」

 

……あ、ヤバ……何か気持ちわr―――

 

「――rurororoxzyvwuppppppppppppppppppppppppppppppp?!?!?!?!?!?!」

 

―――そして、尋常ではない吐き気と共に腹の内からナニかが突き破って行くような感覚を感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジックとアナザーの2人が対峙していたその頃

 

「……こふっ…こふっ…………」

 

マジックが去ったその時には、ゆっくりと黒い光に分解されつつある拘束具のような黒衣の胸に拳大の穴を開けて大量の血を流して倒れていたハクだったが、マジックが去った今は口から大量に血の塊を吐きながら咳き込んでいた。

 

「こ、こは…」

 

そして目覚めると共に女神(?)化が完全に解けて、黒く焦げていた筈なのに一部を除き元の白さを取り戻していた修道服姿に戻ったハクは、頭を振りながら立ち上がったのだった。

 

「あうっ…頭が……」

 

軽く顔をしかめながら右手で頭を抑えていたハクだったが、頭痛を堪えて立ち上がると共に周囲へと視線を巡らせた。

 

「……えっと、確か私は……姉さん達を探して走り回っていたような…………何で傷もないのにこんなに沢山の血をベッタリと着けて倒れていたのでしょうか?」

 

そう言いながら頬を掻いたハクの修道服の胸元から下は、まるで紅いペンキでもぶちまけたかの如く真紅に染まっていた。

これを返り血だと言うには着いていた場所が限定され過ぎであり、逆にハク自身の血だとすれば死んでいても可笑しくない程の量である。

 

「……そウソうでしタシた…私は……、姉ンサエネさんの気イハケ配を探っテッグサて……………………」

 

そのように部分部分に可笑しな発音が混じった言葉を発しつつ、虚ろな表情のハクは髪と同じ色合いの銀眼を不気味に輝かせながら、先程爆発があった方向―――ブレイブが自爆した場所―――へと視線を向けた。

 

「…………………神罰、執k「ハク!?」う…………姉さん?」

 

そして、虚ろな表情で右腕を爆発があった方――マジックが飛んで行った方――へと向けて白い光を集束し始めたその時、露出度が極端に高く、緑色の長髪をポニーテイルにしている女性―――女神化した状態で飛んで来た姉のグリーンハート(ベール)の姿を視認し、少し驚いたような表情をしたハク。

 

何時の間にかその右腕に集束していた光は霧散していた。

 

「ああ、やっぱりここに居ましたのnって、その血はどうしたのですか?!」

 

右腕から光が霧散すると共に、ベールからは光の加減からギリギリ視えていなかった胸から下にべったりと付着した血液がベールの視界に映り、それに驚いたベールはアメジストのような瞳を見開き慌てて降り立った。

 

「さあ?私が気付いた時にはこうなってましたし」

 

「さあって……大丈夫なの?」

 

そんな心配に対して、ハクは大した事では無いと言わんばかりの無頓着な反応を示した。

胸から下にべっとりと大量の血液を付着させているにも拘らず、あまりの無頓着さに呆れながらも安否を問うようが…………

 

「外傷が()()()()()()()以上は、問題などありません」

 

「……ぁぅ……」

 

その心配は、先程のような空虚な表情とは違う()()()()()()()()を浮かべたハクによって膠も無く一蹴されてしまっていた。

そんなあまりの塩対応っぷりに怯んだベールは、心なしかしょんぼりしたような表情を浮かべて硬直した。

 

「そんな事よりも、姉さんは何故こんな所に?」

 

「ああいえ、これは……」

 

ベールはハクのそんな一面がとても苦手だった。

極一部の例外(アナザー)を除けば、何時でも何処でも誰に対してもハクは微笑みながら対応する。

 

そう、何時も()()()()()()()()()()のだ

 

「それは、何ですか?」

 

勿論、無表情とかそう言う話ではない。

寧ろ、逆に笑顔を絶やさない良い娘として周囲には認識されている―――姉であるベール自身を除いて

 

「たいしたことじゃありませんわ…単に他の方達が妹の女神候補生と再会の喜びを分かち合っているのを見て、わたくしもそうしたいと思っただけですもの」

 

「まあ、嬉しい……けど、それなら尚更、大人しく待っていてくれれば、私の方から向かいましたよ?」

 

切っ掛けは些細な事だった。

ハクが女神化を可能とした少し後、クエストでエレメントドラゴンを倒す為にガペイン草原に行った時だった。

突然、謎の集団――今の犯罪組織マジェコンヌ――に襲われたのだ。

幸いにも周囲に人質にされるような市民も居らず、実力もそこ等のチンピラに毛が生えた程度だった為にあっさりと撃退して牢屋に押し込めた。

 

しかし、その後が問題だったのだ。

 

それ以降、ハクは夜な夜な捕まえた襲撃犯達の収容されていた牢に足を運んでいた。

周囲も止めていたのだが、見張りも居るのだからと押し切って止まらないハク

流石に心配になり、こっそり後を追った先で見てしまったのだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()

 

「まあ、良いではありませんか…折角の姉妹水入らず……と、言いたい所ですが、それとはまた別に、急ぎのお話があります」

 

思い返せば、ベールの記憶に在るハクの姿はどんな時も微笑んでいるものしか無かった。

それこそ、ベールと共に過ごした時間でさえも、常と変わらない微笑みばかり

極一部の例外(アナザー)と共に争っている時だけが、微笑み以外の表情を浮かべている数少ない例である。

 

「犯罪神マジェコンヌが、復活しました。急いでギョウカイ墓場(ここ)から避難しますわよ」

 

「えっ」

 

ハクの驚いているような声を聞いて、ベールは想う。

 

―――あぁ、まだ、微笑みから変わらない。




なお、次回は再来週かもしれません。書き溜めは無いので

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