【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第五十九話

ギョウカイ墓場で待ち受けていた犯罪組織の幹部ブレイブザハードとその部下リリス

 

「『そらそらどうした!?避けてばっかじゃ勝てねえぞ?!』」

 

「ぬうっ?!」

 

「勇者様っ?!」

 

今、2人(1人と1機)は、最早二重の意味でどちらが悪役か判らなくなるようなアナザーの容赦ない攻撃に対して、逃げ回る事しか出来ないでいた。

 

「『あはは♪アッハハ♪アッハハッハハハハッッッハハハッ!!♪♪』」

 

「くっ!?おのれ卑劣な!?」

 

「わたくしの事など気にしないで!全力で「そうはいかん!!」……勇者様……」

 

ブレイブの逃げ回る方に目掛けて、無数の()()球体がアナザーの周囲から射出される。

それをブレイブがリリスを小脇に抱えながら必死になって避けているのには訳があった。

 

「おのれマジック!何が収穫の時を待つか!?」

 

「勇者様!右斜め後ろから黒の球体が来ます!」

 

以前、マジックに言われて素直に引いた自分(と、マジック)をぶん殴りたい衝動に駆られつつも、リリスが背後に魔力弾を撃ち込んで隙間を作り、その隙間を風切り音とこれまでに無い程に全力で稼働させた直感で察知し、機械で出来た己の身体を滑り込ませるようにしてどうにか、弾幕の壁をすり抜ける。

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおお!?!?」

 

「きゃっ?!」

 

「『あー、アー、アー、あー、アー、あー、アー、アー、アー、アー、あー、アー、あー、アー、アー………アッハハッハハハハッッ♪♪♪♪』」

 

以前の血の弾幕は斬って防いでいたブレイブではあったが、そんなブレイブであっても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぬぅ……!?」

 

「『アは♪ギャは♪ハ♪ほらほら!ハハッ♪♪黙って死ねや雑魚共がァ!!』」

 

先程、どうにか回避した黒い弾幕がギョウカイ墓場では珍しくもないゲーム機やゲームソフトの残骸の山に直撃した。

その結果、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()へと変貌を遂げていた。

 

これ以外にも、腐敗、反転、溶解、自壊、老衰、破裂、腫瘍、病毒、破壊、狂乱等々

黒い弾に齋される結末は多種多様であり、同時にそれだけの多様性を保ちながら、一貫して触れたモノ全てに約束された滅びを黒い弾は齋らしていた。

 

「ぐ、おおおおおおおおおおおおおおおお?!?!」

 

「『アハハハハハハハハッ♪ホラホラ!もっと楽しませろよ!!』」

 

そんな危険な力である黒い弾(約束された破滅の雨)を無数に撃ち込まれながらもブレイブが死んでいないのは、単純にアナザーがブレイブを甚振って遊んでいるからに他ならない。

少なくとも、ブレイブの持っていた大剣を溶かして折った時の様にアナザーの周囲からだけでなく、ブレイブの周囲からも黒い弾を撃ち込めば、それだけで既に勝負は付いていたのだから―――

 

「『ん~♪いい加減に飽きてきたな……』」

 

「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

しかし、そんなアナザーにとっての遊びは、アナザー自身が飽きて来た事によって終わりの時を迎えようとしていた。

 

「『もう、オマエイラナーイ♪消えちゃえ★』」

 

そう言ったアナザーの周囲には、膨大な数の黒い弾が展開されていた。

 

「……ここまで、か……」

 

その数は万を超え、億の域に届きかねない程の膨大さで、アナザーの姿が一切見えない程にぎっしりと詰め込まれていた。

 

「ゆ、勇者様……」

 

それだけに飽き足らず、ブレイブ達の逃げ場を奪うようにアナザーの正面以外の全方位に黒い靄が漂っており、それに巻き込まれた残骸の山は視界から消えたものの、漂う異臭からして残骸は溶けたか腐ったか……何れにしろ、黒い弾に中った時と似たような状態になっている事だろう。

 

「……すまん」

 

「え―――」

 

そんな状況の中、ブレイブはリリスに謝ると、首の裏を叩いて意識を刈り取った。

 

「……………」

 

「……お前は、まだ生きると良い」

 

そう言って、リリスの身体に紙のようなモノを張ると、リリスの周囲に魔法陣が浮かび、そのまま何処かへと消えて逝った。

 

「『あ~あ~、面倒臭い事をするね~?』」

 

それを見たアナザーは、人を小馬鹿にしたような表情を浮かべながらも表情とは別に面倒だと口にするが―――

 

「……ふん、わざと見逃しておいて良く言う」

 

「『あ、分かっちゃう?解る?判ったの?そうだよ!どうせあの死に損ないが一匹逃げてもどうにでも出来るし?』」

 

「『まあ、お前を見逃すなんてお願いは叶えてあげる訳にはいかないけど、あの程度の粕一匹を見逃す程度なら……ねぇ?』」

 

―――ブレイブの言葉に対して、あっさりと前言を翻して塵を見るような眼差しを向けながら、知ってか知らずか、リリス本人が聞けば怒りのあまりに力の差さえ無視して襲い掛かりかねない程の軸を突いた暴言を口にしていた。

 

「……どう言う意味かは聞かん…が、貴様はオレが必ず始末する」

 

「『アハッ♪怒った?ねえ怒っちゃったの?たかが死に損ないの生け贄(エサ)如きの為に?』」

 

そんなアナザーの暴言に対して、ブレイブは視線に仲間を侮辱された事による憤怒と殺意を乗せながら、半ばから溶断された大剣を構える。

それを見たアナザーも、更なる罵倒と煽りを口にしながら全身から黒い靄を放出して漂わせる。

 

【………………】

 

そうして、アナザーは退屈そうにブレイブを眺め、ブレイブはそんなアナザーを睨みながら怒りを募らせていたその時だった。

 

「『―――ッ、――』」

 

一瞬ではあったが、アナザーの表情が苦痛に歪み、制御を誤ったのか、ブレイブの正面に配置された黒い弾と靄の配置が一部崩れ―――

 

「オオオオオォォオオォオオオオオォォォオオオオオオッッ!!!!」

 

「『しまっ―――』」

 

―――その崩れた配置に目掛けてブレイブが突撃し、半ばから溶断された大剣を喪失、身体の至る所を溶かし、腐らせ、裏返りながらも即死だけは辛うじて回避しながら包囲網を突破し―――

 

「シ、NE――――」

 

「『まっ―――』」

 

ズガアアアァァアアアァァァァァアアアアアアアァァァァァアアアアン!!!!!

 

―――そのまま最後の力を振り絞りながら正面からアナザーを抱き締め、そのまま自爆したのだった。




…………書いてて思ったけど、一体、どっちが悪役なんだろうか……いやまあ、キャラ的にはこれで正解な訳ですけども

前回からアナザーの能力が変わってないかとか言われそうですが、別にアナザーの能力が変わった訳じゃないんですよね……あの状態でも普通に血を操作する事も出来ますし

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