【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
「………。いよいよ、ですね…」
日が暮れて暫く
プラネタワーの最上階にあり、犯罪組織が横行する前はネプテューヌがぐうたらしてゲームをする為に使われていた部屋の窓際で、プラネテューヌの夜景を眺めながら、イストワールは声に緊張を滲ませていた。
「うむ。堪え難き日々を耐え抜いた甲斐もあり、犯罪組織よりノワール様……いや、全ての女神を救う決戦の時が、とうとう訪れたな……隣、失礼する」
「あなたは…」
そんなイストワールに対して、何処からともなく現れたグロウは感慨深いとでも言いたげな声を上げて、ふよふよと浮いているイストワールの隣に立つ。
「明日の事で、少々話があったのだが……その様子では、まず貴女からだったようだ」
「話…ですか?」
首を傾げているイストワールの隣に立ったグロウは、きょとんとした表情で本の上に座っているイストワールを見ながら用件を切り出した。
「……まあ、そう時間は掛かるまい……先程、アナザーに渡していた携帯から連絡があったのだが……どうにも、少し考えたい事があるから作戦の決行を一日だけ待ってくれとの事だ」
「ああ、そんな事でしたか……そうですね。ネプギアさん達もお疲れでしょうから、一日だけ休息を挿んで体調を万全にしていただくのも良いでしょう……はい。でしたら、後の連絡は私がしておきますので、グロウさんはもうお休みしてください」
グロウはアナザーに渡したと言う携帯から着た連絡をイストワールへ伝え、イストワールはそれを丁度良いと受諾した。
「時に、イストワール殿……」
「……まだ、他になにかありましたか?」
そうして、グロウからの要件が終わった時だった。
「……いい加減に、
グロウは普段以上に真剣な表情をすると、イストワールへそう問い掛けた。
「……いえ、これは
その問いに対してイストワールは、心なしか暗い雰囲気を漂わせながらそう返した。
「…………そうか、邪魔をした。では私も、そろそろ眠るとしよう……」
そして、返答を聞いたグロウは場の空気を読んだのか、もう眠るとだけ言ってその場を去って行った。
月の無い夜の下
バーチャフォレストの入り口で俺は、先程やっと痛みが引いた胸が熱を帯び、まるで胸の熱と連動するかの様に身体の内から噴き出る膨大な力に身を捩らせて歓喜と興奮に打ち震えていた。
「は、ははは……はハHAハハhaはは!?!?………………力が高まる……!!溢れる…?!!」
異常な量の力が俺の体内で膨れ上がっているのを感じる。
異常に高まった俺の力は、血のような紅い闘気ではなく、闇より深く、絶望よりも暗く黒い闘気となって体外へ溢れ出て、周囲の大地を砂に返し、草花を枯らし尽して不毛の大地へと貶めた。
「アハ…あははははははっははははっはははは!!!!」
本来の俺の特性とは似ても似つかない力だが、そんなどうでも良い話は関係ない。
これだけの力が有れば――――――
「嗚呼…最っ高じゃねえか!!これだけの力が有るなら、犯罪神だって血祭りに挙げて殺れ…………?!?!」
そんな思考に至った瞬間、俺の意識は冷や水でも浴びせられたような衝撃を受けていた。
「……いやまて、犯罪神?犯罪組織ではなく?」
焼けるような胸の熱が引き、高まった力が霧散したのを感じる。
溢れ返った力が急速に内に戻り出し、周囲に齎した
「俺が闘うのは犯罪組織の連中であって犯罪神ではない……なのに何故、
そして何故、
確かに、俺はネプテューヌよりも若干前の時代に生まれている。
そう考えれば、前の代のパープルハートの生存していた年代で犯罪神を見ていても可笑しくはないかもしれないが……それがまずあり得ない。
生まれて100年後なら―――或いは、当時の女神と契約でもしているならまだしも、数十年の年月で得た力程度で、
そして、犯罪神も犯罪組織も、その当時には存在していない。
「……それに、もしも俺が当時の教会と関係を持っていたならば、イストワールとて何かしら言って来る筈……」
そう。全ては俺の勘違いで、気の所為の筈だ。
きっと俺は、仮想敵で最大の力を持つだろう犯罪神を例に出す事で、俺自身の高まり続ける力を絶対的なものだと主張したかったのだ。誰に主張するのかは知らんが、
「…………まあ、最早そのような事など関係ない。さっさとプラネテューヌへ戻って、駄女神共の救出作戦の実行を急かすとするか」
でなければ……俺は…………一体、ナンノタメニ、活D卯sri羅?
……携帯?渡されてませんし、描写外ってオチもないですよ?