【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
今回は3570字と少し長め
バーチャフォレスト最深部
ガン!ガリッ! ガンガン!!ギャリギャリ!
ウォーーーーン!! ギチギチギチギチ
バーチャフォレストの奥深く。
普段は静かで、蟲の鳴き声や木々の葉が擦れる音位しか聞こえず、犯罪組織が幅を利かせている昨今では数少ない『平和』な森の奥だったのだが、現在は森の獣やモンスターが暴れ回り、木々は倒れて花は散り、地面には光ながら粒子に変換されかけている植物の残骸や獣の血と肉と臓物が散乱する神秘的ながらも凄惨な風景と化していた。
そんな森の中、1つのディスクを囲んで立っている人間が2人居た。
「チッ……頑丈なディスクだなァオイ」
「確かにな………面倒な仕事を引き受けてしまったよ。本当に…………」
1人は、ネズミをモチーフにしている灰色のパーカーを着て鉄パイプを肩に担いだ灰色の肌の少女?で、もう1人は蒼い服を着てその上から純白のコートを羽織っている銀色の瞳が特徴的な黒い表紙に金色の刺繍が施された分厚い本を持つ蒼い髪の青年だった。
「……急ぐぞ。アイツに見付かったら私でもただでは済まぬ」
「わーってるよ!だから急いでんだろうが!!これ以上急げってんならテメエも手伝いやがれ」
「断る。何故、私が下っ端程度の指示に従わねばならん」
「誰が下っ端だ誰が!!」
「構成員は下っ端だろうに………不服なら部隊長にでものし上がって出直して来い」
そんな風に言い争いながらも、下っ端と呼ばれた少女?はディスクを殴る手を止めないし、蒼い髪の青年も周囲を異様に気にしている。
2人は何かに怯えるように焦っていて、任務でなければ疾うに逃げ出していると言わんばかりに周囲を警戒しながら全力で紫色のディスクを殴り倒していた。
そして、そんな2人の必死の努力も間に合わず、死神の鎌が振り下ろされようとしていた。
「…………最後の言葉は、それで良いかぁ?」
「「?!!?」」
そして、周辺一帯に大きな爆音が響き渡った。
同刻 バーチャフォレスト最深部 入り口
一方でその少し前、プラネテューヌの教祖イストワールからゲイムキャラの情報を受け取ったネプギア達は、バーチャフォレストを抜けてその最深部の入り口に居た。
「ここに、ゲイムキャラが………」
「どこから探せばいいんでしょうか?」
「さぁ?奥まで行けば分かるんじゃないかしら」
そう言って、ネプギア達を先導しようとアイエフが先頭に立った瞬間、バーチャフォレスト一帯を揺るがす程の爆音が響き渡った。
「な……何?!」
「分かりません!でも、急がないと……ゲイムキャラさんが危ない!!」
「ッッ!!急ぐわよ!」
アイエフ達は、先程の爆音である最悪な結末を想像した。
即ち、犯罪組織によるゲイムキャラの破壊だった。
それを考えたネプギア達は、全速力でゲイムキャラが居るだろうバーチャフォレストの奥地へと駆け出して行った。
バーチャフォレスト最深部 side???
「ハァ……はぁ……殺ったか?」
先程まで緑豊かだったバーチャフォレストの最深部は、蒼い髪の青年が咄嗟に放った爆裂魔法によって灼熱の大地へと変貌を遂げていた。
燃え上がる火の手は周囲の巨木を燃やし、吹き飛んだ土は周囲に飛散する。
当然、モンスター達も例外ではなく、その身を焦がした黒い塊が周囲に四散し、光の粒子へと変換され続けていた。
「………チッ……もう、魔法は打ち止めだな。これ以上は帰還用の転移魔法にも支障をきたす」
本来、青年にとって先程の爆裂魔法は奥の手の1つであった。
少なくともこんな序盤の序盤に使用する魔法ではなく、ましてや帰還用の転移魔法を使うのに必要な最低限の魔力を除いた全魔力を使用して使うのは論外の一言であった。
しかし、命に変えてまで隠し通すようなレベルの切り札ではなかったので青年は爆裂魔法と言う奥の手を切ったのだ。
(しかし、本格的に乖離しているな……既に『知識』に頼るのは不可能か?)
このような思考から分かる通り、青年は所謂転生者……それも、神様転生と言われる分類に入る人物だった。
青年は前世ではしがない一般人であったのだが、心臓発作で急死した結果、神を名乗る老人の暇潰しに付き合う対価に2つの特殊能力を得ていた。
そして、生前愛用していたゲーム『超次元ゲイム ネプテューヌmk2』の平行世界に転生を果たしたのであった。
「しっかしまぁ、相変わらずバカみたいな威力の魔法だよな?固有能力持ちってのは皆こんなバケモンばっかなのかよ?」
「知るか……いいから下っ端は下っ端の仕事を全うしろ」
そして、青年は得たチート能力で無双してハーレムなり荒稼ぎなりをしようとしたのだが、非常に残念な事に、そこまで目立つような行いをすると教会に目を付けられてしまう可能性が非常に高く、うっかり自分の目的がバレると粛清されかねない状況が既に出来上がっていた。
(全く、前に俺のような存在を送り込んでいたのならそう言えと言うのに……お陰でこちらは予定が丸潰れだ)
どうにも、過去に自分と同じように神様転生をした存在がいたらしく、そのご同類は非常に『無茶苦茶』な輩だったらしい。
教会へお祈りに行った際に、偶然転生者への注意書を記した書物を観ていなければ多種多様な意味合いでアウトだった。
書物を見た限りでは、一般的な良識の範疇での行動を心掛けていれば消される心配は無いようだが、自分の目的は『あらゆる』魔法の研究とホムンクルス数体の美少女を侍らせる事なのだ。人間の美少女でも良かったが、はっきり言って面倒な人間よりも法的には人形でしかないホムンクルスの方が色々都合がいい。
ただ、研究したいあらゆる魔法については禁術も含まれているし、ホムンクルスの方も製作には取得が難関な資格と莫大な設備費用に、一体製作する度に面倒至極極まりない書類審査が待っていた。
(だからこそ、私は犯罪組織に身を寄せている訳だがな)
そして行く行くは、幹部に出世して得た資金の裁量からホムンクルスの製造に手をかけて、犯罪神が復活した瞬間に組織を裏切り、どさくさに紛れて行方を眩ます際に眠っている犯罪神へ強烈な禁術を叩き込んで犯罪神の器を破壊するのだ。はっきり言って、折角ホムンクルスを造ったのにゲイムギョウ界諸共滅亡とか、溜まったものではない。
「しかし、先程の男は一体何だったのだ?」
「あァん?テメェ、大隊長なのにそんな事も知らねェのか?」
(……ウザイ。やはり、人間の女などクソだな。こればかりはトリックのロリペド野郎と同意見だ。)
私が先程の血のような男の事で疑問を口に出すと、訳知り顔で下っ端のリンダが長々とウザイどや顔で説明を始めた。
曰く、あの男は何人もの犯罪組織の部隊を滅ぼしている。
曰く、あの男は今は捕まっている女神達への信仰心はないらしいが何かの約定があるらしく、人質としての効果はない。
曰く、あの男と殺し合った者は発狂して血祭りにあげられる。
曰く、あの男は
以上の事から、無闇に接触する事を禁じられていて、接触した者への援軍はどんな理由があっても禁止されている。
「へへっ……まぁ、結局はあの様だったがなァ?」
「……へぇ?そんな噂されてるんだ?」
「ああ!何でも、『
「おい、今のは私ではないぞ!?」
「へ?」
ギギギギギ………
そう言うと、下っ端は声が聴こえてきた方向……つまり、私が居る場所の反対方向へと、ぎこちない動きで顔を向けた。
「やっほー?さっきぶり……と言う訳で、シネ」
ガガガガガガガガッガガガッガガガガッガガッガガッガッガッガガ………
「うおおおおおぉぉぉぉ!!」
そこには、先程消し飛ばした以上の蒼いモンスターの血を背後に浮かべ、その血を弾丸のように射出してくる
射出してくる弾丸の余りの勢いに、咄嗟に張った障壁は崩壊まじかである。
私は、そんな状況で最後に出来る手段を採った。
「おい下っ端!一旦引くぞ!!」
「け……けどよぉ」
私は事前に用意していた転移魔法を起動させ、撤退の用意を始める。
しかし下っ端は、破壊し損ねたゲイムキャラに未練でもあるのか中々逃走を行わない。
「ええい!早く来ぬならば貴様は置いていく!」
「ちょ……分かった!分かったからアタイを置いていくな!?」
始めからそうすればいいと言うのに、本当に使えない下っ端である。
私は、何となくの勘で用意していた転移魔法を用いてこの
「チッ……転移魔法か!?」
そして、そんな声を最後に私の視界は白く塗り潰され、転移魔法による離脱は成功したのだった。
今回出たオリキャラの大隊長(仮)ですが、現時点でネプギア達が戦った場合、女神化してもしなくても関係無しにネプギア達が敗北します。
アナザーが爆発を受けてぶっ飛ばされた後、戻ってくるのに時間が掛かったのも、ダメージが大きくてネプビタンを飲んでたのが原因です。
そして、問題があればどうぞ活動報告の中にお願いします。