【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
大して変化が無いと思いますが、今の時点で改善できる限りの改善はしました。
世界中の迷宮跡地から少しだけルウィーの首都へと近付いた場所――
そこは今、周辺の山が幾つも崩れ、植物も動物も悉く薙ぎ倒され死に絶えた死の大地と化していた。
『殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺!!!!』
「『や…ザッザザザ…かを……ジジッジジジッ…す…』」
しかし、その元凶である2人はそんな事は知らんとばかりに殺し合う。
『殺殺、殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺!!!』
「『……っづ…に…ジジジッ…ん…げジジッき……ガガガッし』」
喉から黒く染まった泥のような血を流しながら、殺!と叫ぶ血塗れな銀髪の男は、ただ左腕を振るうだけで周囲へ衝撃波を撒き散らし、脚で大地を踏み締める度に大地を砕く。
逆にそれとぶつかり合うアナザーは平時以上に無機質な無表情のまま、何故かノイズが走っている声をこれまた無機質に淡々と発しながら、本来なら全身に膨大な量の血を纏い、その身を完全に狂気に委ねても尚、受け止める事の敵わない筈の拳を正面から力任せに殴り返し、同じように周囲へ衝撃波を撒き散らしていた。
更にその上空ではこの地へと来る道中のモンスターから搾り取ったのか、大量の蒼い血が蠢いた。
上空で蠢いている膨大な蒼い血は、唐突に発生する黒い靄の様なナニかと激突する。
空を飛んでいる鳥系のモンスター達はその余波で死に絶えて、蒼い血を操っているアナザーには問答無用で全ての血を吸い上げられ、
そんな世界の終わりのような光景の中で殺し合う二人―――しかし相当な無理のある強化だったのか、アナザーの肉体は血塗れな銀髪の男と殴り合う度に何故か黒く染まった血を噴き出しながら自壊する。
銀髪の男の拳を防ぐ為に差し出した右腕は、拳そのものこそ防いだが腕の筋肉が断裂し、関節も砕けてだらりと垂れ下がる。
また、銀髪の男の顔面に叩き付け脚で蹴られた左腕は、皮膚が裂けて白い骨が服を突き破って飛び出している。
『殺殺!殺殺殺殺殺、殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺!!!』
「『うつ…ザザ…ん、や……ジジッ…をてん…ガガガッくきを……ザッザザザ……す』」
それを好機と見たのか、血塗れな銀髪の男はアナザーに追撃する。
しかし、アナザーは急激に黒く染まった血を固めて全身に纏い、更には自壊した箇所をその黒く染まった血で固めた事で破れた皮膚から流れる血を塞ぎ、断裂した筋肉と砕けた関節を補強して肉を喰い破った骨を強引に中へと戻した。
『殺!殺殺殺、殺!殺殺殺殺殺殺殺!!!!』
「『とう……しジジジジッじょうほガガガガくガガッ……ふよ……ザザきギギギギう』」
そして、そのまま硬化した黒い血を刺々しい鎧のような形状にして頭部を除く全身に纏い、血塗れな銀髪の男へと先程以上の速度で向かって行った。
(…………)
ふわふわとした不安定な感覚
はっきりとモノが視えない状況
ああ、これは夢だと……不安定な意識の中で想う。しかし、直ぐに記憶から抜け落ちる。
『―――』
『――、―――』
(………)
目の前には、俺と誰かが居る。以前勧められた明るい部屋に居る。
何処となく楽しそうな雰囲気であり、何処となく懐かしいと思う。
『――――――』
『―!―――』
しかし、俺はこんな知らない。目の前の誰かは誰だろう?どうでもいい。
『―――!』
『―、―――』
更に誰かが増えた。分からない。小柄だ。
『――――!!』
『―、――――』
『――。―――――、―――――?』
『――、――!―――――!』
『―、―――』
『――、―――』
三人で抱き合い、何かを話すと、目の前の俺は玄関から出て行った。
そして、特に意味もなく、場面が切り替わった。
『―――!――!――――!!』
燃える。燃える。瓦礫と死体と死人紛いの生者が溢れる。
恐らく、平和な田舎町だったのだろう瓦礫の山は、時折崩れ生きている人間を潰し、死体は其処等中に溢れている。
(…………)
目の前で駆け回る俺は、誰かを探しているのだろうか?理解できない。興味は低い。しかし視界は閉じない。離れる事も
『――、―――』
表情は見えないが、相当必死になって何かを探していた目の前の俺は、半壊状態としか言いようがない。一件の家屋の前で立ち止まった。
(………)
そして、比較的損傷の少ないその家屋に覚えでもあったのか、目の前の俺は
『――――――――』
『『……………………』』
其処に在ったのは、案の定、全身を明らかに人為的に破壊された誰か達の姿だった。
寧ろ、俺はこの結末を《《妥当だと》》断定する。
一体なにを期待していたのかは知らないが、人間の言う秩序だの理性だのと言う言葉は、結局の所は単なる幻影だ。何かあればそれだけで人間は獣としての側面を是として表にする。
はっきり言って、家屋が半壊していた時点で希望など持つべきではなかったのだ。
『―――――――!!!!』
俺は、目の前で嘆きの慟哭を挙げているらしき俺を観て、心の底からそう想う。
そして、失った果てに絶望の叫びを挙げる位ならば、極力離れずに共に居れば良かったのだと
『――!――!!――――!!』
そして、そんな目の前の俺を見張ってでもいたのか、周囲にはなにかを持ったボロボロの服を纏う人間達で溢れ返っていた。集団で袋叩きにするつもりなのだろうか?
『―、――――――――!!』
『―、――――――!』
何かを言いながら、周囲の人間達が近寄り、目の前の俺に刃物を振り下ろした時だった。
『………………………は、ハハhaはハハははは!?!?』
それは、目の前の俺から聞こえた初めてはっきりと聞き取れた声だった。
俺よりも少し低いその声は、狂笑としか言いようがなかったが……しかし、そんな笑い声は直ぐに消え去った。
『――!?』
『……………………』
目の前の俺は、振り下ろされた刃物を右手で受け止めると共に、親指以外が殆ど削げたにも拘わらず、痛みさえ感じていないかのようにそのまま刃物を奪い取り、流れ出た己自身の血を操作し、刃物を振り回した。
『……………殺』
『――――――――――――――!?!?!?!?』
そして、逃げていく人間達の腕や脚を斬り裂き、そこから流れた血を支配する事で対象を死ぬ限界まで吸い上げる。
『―、――!?』
『……………………』
そして、周囲でしぶとく生き残っていたネズミやゴキブリ等を吸い上げた血で包み、潰した。
『――?―、――、――――!?!?』
『――!―、―――――!!??』
そして、そのネズミやゴキブリ等を潰した血を元の持ち主の血管の中に無理矢理戻し、残骸を強引に血管へ挿れたのを確認すると同時に、血流を強引に進める事でその人間達は死に絶えた。恐らく、内側から血管をズタズタに引き裂かれて即死だろう。
『殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺!!!!!!』
そうして、目の前の俺は紅かった筈の髪が白くなり、そのまま狂ったように暴れ出したのだった。
【くすくす、残念だけどここでおしまい!アナタにはこんな結末の記録なんて必要ありませーん!おとなしく
(……………………イラッ)
それ以降の映像は、俺には流れて来なくなった。
【―――、わた―の『―』を―げ――】
【!?!?】
(……………………)
そして、なにか異物が挿ってくる感覚が残ったままに、俺の意識は浮上した。