【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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ルウィーの双子女神好きの人!WARNING!!です!


第四十一話

俺は今、所々に意味は分からんが石壁を彫って造られたのだろうレリーフや、恐らく歴代の女神と教祖と思われる人物を模したのだろう石像(因みに、歴代女神かどうかの判断基準は胸だ。歴代の女神らしき石像は全て胸部がまな板だった。教祖の方は知らん)のある狭い部屋で、精神的にかなりキツイ話しを無理矢理聞かされていた。

 

「――――良いですか?命は大事なのです。不用意に殺すなどと、言ってはいけないのですよ?」

 

「…………」

 

「…………あの、聞いていますか?(ちょっと強く叩き過ぎちゃいました?……けど、あのまま西沢ミナ教祖とお話しさせる訳にはいきませんでしたし…………)」

 

(…………くだらん)

 

しかし、何故俺はこんな場所でこいつのつまらん戯れ言を聞かされねばならんのだろうか?

確か、最後の記憶ではルウィー教会の執務室らしき場所で、イストワールから国を出る前に聞かされていた約定を破った愚か者の頚を刎ね飛ばし、その首を晒した上でここの連中からゲイムキャラの情報を吐かせる予定だった筈なのだが…………そう言えば、後頭部に大きな衝撃があったような……?

 

「あのー、本当に聞いてますかー?」

 

(まあ、どうでも良い……のか?)

 

本当はどうでも良くない気がするのだが、俺の本能が矢鱈とそれ以上気にするなと警鐘を鳴らしてくる為、これ以上気にするのはやめておこうと思う。

 

…………しかし、まあ

 

(あぁ、この部屋は良い。何となく落ち着くし、何より必要以上に陽が差さん)

 

この部屋は良い部屋だ。少なくとも、俺個人の感想としては上の中に相当する。

少なくとも昔、ネプテューヌ(駄女神)に勧められた半吸血鬼(ダンピール)自治区の一角よりは気に入った……この悪趣味な石像群さえなければ、ここで暮らしても良いと本気で思う程に

 

(……正直、半吸血鬼(ダンピール)自治区の同類達は嫌いではないのだが……家屋の趣味だけは噛み合わん)

 

連中にも俺と同じく吸血鬼(ヴァンパイア)の血が流れている以上、程度の差はあれ太陽に苦手意識ぐらいはある筈だが…………まあ、自治区の連中は人間の血の方を優先しているのだろう。うん。

 

―――そんな時だった。

 

【「…………聞いてますか?」】

 

「……ッ!?」

 

底冷えするような(焼き殺されそうな)声が聞こえ、思わず声が聞こえた方を向いたが…………

 

「…………?どうかしましたか?」

 

「…………何でもない」

 

そこには、いつも通りの能天気な笑みを浮かべたハクの姿があっただけだった。

 

「まあ、お説教はこのぐらいにしてと……そろそろネプギアさん達に合流しましょうか?」

 

「………………そう、だな(先程の寒気は一体……?)」

 

…………まあ、気にしない方が賢明と言うもの……なのか?

 

 

 

そして俺は、このルウィーで最後になる、のんびり出来る時間を終えたのだった。

 

 

 

【ジジッ……えのげ…ザザッ…を確認、これよりとう………を開始します…………】

 

「『…………』」

 

「えっちょ、アナザーさーん!?何処に行くんですかって速い?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ、やっと帰って来られましたわ」

 

「…むー、むーむー…」

 

「むー!むぐぐむむー!?」

 

あれから、二人の女神候補生を縛り上げて風の魔法で浮かせながら街を歩いていれば、気絶中の縛られてる女神候補生を見咎めた衛兵達に追い回され、貧弱なこの身体に鞭を打って全速力で逃げ回り、途中で女神候補生を浮かせている魔法を反魔法装置(マジックキャンセラー)で強制停止させられてしまい、自力で二人を抱えて逃げ回る羽目になったりとまあ…………本当に、反魔法装置(マジックキャンセラー)が肉体強化魔法にまで影響を及ぼすようでしたら捕まっていましたわ。

 

「遅かったではないか……いつも時間にも仕事にも遊びを持ち込まずにきっちりしている汝にしては珍しい」

 

「いえいえ、生憎ですが、わたくしも単騎で一国の教会に備えられている全兵力を掻い潜って厳重に保護されている―――ましてや、当人自身もそれなりに強い女神候補生を浚うのは困難ですので」

 

「ハッ!だからオレ様が手を貸してやろうかッつったんだよ!そうすりゃあこんな無駄な時間を使うことも無かったろうになァ!!」

 

そんなわたくしに、同僚のアレイスト(変態)さんとイヴェルト(チンピラ)さんはそれぞれ思い遣りの籠った言葉を掛けて来ますが……言っては難ですが、勇者様に言って欲しかったですわ。ええ、とっても

勇者様からでしたらわたくし、罵倒や暴力でさえご褒美ですもの……まあ、勇者様はお優しいですから、そんな事はしませんけれど(してくれませんけど)

 

それに…………

 

「そう言うな。我等は実力に多少の差はあれど、対等の地位を頂く身、多少なりとも融通を効かせ合う程度の器量もなくば…………いや、すまんな。忘れると良い」

 

「オイゴラァ!テメエ今の間は何だってんですかァ?!」

 

「いや、気にするでない。私も大人気なかったと、これでも少々反省している」

 

「あ"ぁ"ん"?!どう言う意味だオイ!!!!」

 

「…………(ガクガクブルブル)」

 

案の定、毎度の如く言い争うお二人は、今にも爆発して殺し合いを始めそう。その間に挟まれてしまっているリンダ(下っ端)はガタガタ震えてますし…………ハア

 

「はいはい、時間が押しています。急いで儀式の準備を始めませんか?」

 

「言われるまでもないとも、汝が必要な材料(ルウィーの女神候補生)を回収した今、もはや私が儀式を始めない理由などない」

 

「……チッ」

 

さて、色々ありましたが、これでマジック・ザ・ハードから与えられた任務を終えられそうです。

わたくしは、この国の莫大なシェアの塊(女神候補生2人)を、アレイスト(変態)さんが数日掛けて地面に敷いていた魔法陣の所定の位置へ配置して、魔法陣の外に退去しています。

 

『封印されし神の従僕よ……今こそ、其の身を縛る天の縛鎖を破る時……』

 

「「むー、むーむーむーーー!?!!」」

 

アレイスト(変態)さんが式を組み上げ、詠唱に合わせて魔法陣より顕れたのは身の毛も粟立つおぞましい触手でした。あぁ、このサイズが勇者様のモノだったらどれ程素晴らしい事でしょう!

 

『……咎人よ……其の身へ捧げし怨神の血は、汝を縛りし縛鎖の鍵……我は開く、天界の門を……』

 

「「むうううぅぅぅぅうううううーーーーー!!??!?!?」」

 

そして、その触手は先端から尖った針のような鋭い何かを生やすと、捕らえた女神候補生2人の見た目相応の華奢な細腕へ荒っぽく刺し穿ち、ドクン!ドクン!と脈打ちながらその血を啜らせて吸収していきます。

 

…………正直な話し、心が痛まないと言えば嘘になります。これでも、子供は好きですし。

ですが、これも犯罪組織(勇者様)を犯罪神マジェコンヌから切り離す為に必要な行い(試練)なのです。だからこそ、この任務()だけは絶対に果たして見せます。

 

「天を裂け!地を砕け!海を渇かせ!今こそ、汝は現世へ舞い戻る!」

 

「ギャハハハハハハアアアァァ!!イイネイイね最ッ高にハイってヤツだアアアアアァァァァァ!!!!」

 

「「……………………」」

 

(あぁ、これで……やっと)

 

そうして、必要なだけの血を吸い終わった女神候補生の2人は触手から解放されると同時に気絶し、地上でぐったりとうつ伏せに寝かせられ、明滅する魔法陣の中心からはわたくしの(アイカメラ)に、先程の触手達が無数に殖えて絡み合い人の形へと変貌していく光景が映りました。

 

………そんな時です。

 

―――ゾッ

 

「ッ!?!?」

 

「うわ!?」

 

「ぬおっ!?!?」

 

何故か背筋へ強烈な寒気を感じ、わたくしは近くに居たリンダ(下っ端)さんとアレイスト(変態)さんの手を掴み、(義足)の出力を限界まで引き上げて後ろへ下がりました。

 

「アアアアアァァァァァアアアァァアアァァアアアアア!?!?!?」

 

「「……………………」」

 

『…s……つ…a…』

 

そして、それは結果的なものではありましたが、正解でした。

魔法陣の中心で触手から形成されていた人型―――ボロボロの衣類を身に纏う長い銀髪の男は、わたくしの近くに居なかった為に避難させられなかったイヴェルト(チンピラ)さんを捕まえると同時に、その鋼のように硬い肉体を闇に呑ませて足から融解させ、捕食しているのです。

因みに、イヴェルト(チンピラ)さんよりも触手の近くに居た女神候補生の2人は既に食べられてしまったのか、姿は見えません。

 

『転移魔法、SET!空間座標―――指定』

 

「お、オイオイ……なんだよアレ……?」

 

「ふむ、私はトリックから、封印されていたのは数代前の犯罪組織四天王の頂点に君臨していたマジックの前任者と聞いていたが……」

 

わたくしが避難する準備を進める中、呆然とするリンダ(下っ端)さんに対して、アレイスト(変態)さんはこの任務に就く前にトリック(超弩級変態)さんから聞かされた話をしています。

 

「ハア!?マジック様の前任者ァ!?アレが!?!?」

 

「そうだ。確か名は―――」

 

「生憎ですが、もう時間です。これからギョウカイ墓場へ転移するので、無駄話でしたら後でごゆっくりどうぞ」

 

そして、驚くリンダ(下っ端)にあの怪物の名を告げようとするアレイスト(変態)さんですが、そのような時間などありません。

驚く程に頑丈な筈のイヴェルト(チンピラ)さんは既にその全身の八割を融かされ、完全に息絶えてしまっています。恐らく、アレをわたくしやアレイスト(変態)さんが喰らえば例え魔法で障壁を張っても数秒と持たないでしょう。

 

『……つさつ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺――――!!!!』

 

転移(テレポーテーション)!!』

 

そして、狂ったようにわたくしへと、肉眼での視認が不可能(初めて眼球が機械で良かったと思いましたわ)な速度で駆けてくる怪物に対して、事前に張っておいた魔法障壁で稼いだほんの数瞬でわたくし達はギョウカイ墓場へと転移する事で、この拠点―――世界中の迷宮から避難したのでした。




と、言う訳で、今回はこれで終わりです。
今回出て来た嘗ての犯罪組織四天王の頂点(仮)ですが、その力はこれから分かりますよ…………ええ、ルウィーで封印されていたキラーマシンの代わりですがなにか?(開き直った)

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