【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第三十七話

『や、やっと着いた(わ/わよ/のだ/ですぅ)』

 

(し、死ぬかと思ったわ……!!)

 

まるで片付けが下手な四捨五入したら三十路女(嵐を呼ぶ五歳児とその妹の母、因みに旦那さんの足は死ぬほど臭いとの噂がある)の自宅にある、これでもかと物が詰め込まれた押し入れが崩壊して、文字通り山のように崩れ落ちる私物のような勢いで私達に襲い掛かってくる雪崩を、雪山から死ぬ気で下山しながらある時は偶々そこにいたエンシェントドラゴンを囮にして数秒稼ぐ事で回避し、またある時は変身し空を飛んでるユニにエクスマルチブラスター(X.M.B.)でビームをブッパして貰う事で吹き飛ばして時間を稼ぎ、またある時は私物のワイヤーで適当な逃げ惑うモンスターを複数体とっちめて(即興だったけど)木々に絡める事で縛り上げ身動きを出来なくした上で雪崩れへの壁にして、どうにか私達は下山した。

 

「さ、散々な目にあったですぅ。早く教会に行ってあったかいミルクが飲みたいです」

 

「RED.ちゃんはココアが良いのだ!」

 

「その前に、ほら、ネプギア……起きなさい」

 

コンパの意見には全面的に同意したい所だったが、今は取り敢えず、私の背中で気絶してるネプギアを起こすのが先よ…………流石に、もうこれ以上は背負ってられないし

 

「ん、んぅ………ハッ!?血塗ろはイヤァァァァァァ!!??」

 

「あいたぁっ!?」

 

「………………あ、あれ?アイエフさん?」

 

「……ネプギア」

 

背中から降ろしたネプギアの頬を軽く叩いて起こしたら、思いっきり叫んで飛び起きたネプギアに張っ倒された件について……っと、言ってる場合じゃないわよね。

 

「…………あ、あれ?ここは……」

 

「…………ネプギア、ちょっと落ち着きなさい。ここはルウィーの街の中よ」

 

「あ、ハイ」

 

叫んだ後に、アッパーカートの姿勢で拳を振り上げたまま困惑したような反応をしているネプギアは、ユニがが落ち着くように言うと、数秒程深呼吸をして…………

 

「……あの、私が気絶しちゃってた間、一体何があったんですか?皆さんボロボロですし、ハクさんも居ませんし」

 

「その事だけどね―――――――――――――と、言う訳なのよ」

 

これまでの経緯について教える為に、一先ずネプギアが気絶している間に何があったかを簡潔に話したユニは、説明が終わると同時に疲労がぶり返したのか、頭痛を堪えるように頭を押さえていた。

 

「……うわぁ」

 

「あらためて聞いていると、頭が痛くなってくるですねぇ」

 

コンパが言うように、現状は非常に頭が痛くなるような状態だった。

なんで私達、対アナザー用の抑制効果を期待してハクを仲間にした(勿論、犯罪組織相手の戦力としても期待してるけど)のに、こんなに頭を抱えないといけないのかしら?

 

(…………まあ、言ってもしょうがないのかしらね。実際問題として暴走の抑えを任せられるならそれだけでも結構助かるし)

 

「ねーねー!いい加減教会にい行こーよ!そこできっと新しい嫁との出会いが待ってるだろーし、流石にちょっと疲れたよー」

 

「そうね。取り敢えずルウィーに来たんだから、教祖に挨拶の一つでもした方が良いのは確かなんじゃないかしら?」

 

「そう、ですよね。ルウィーの女神候補生の方ともお会いして、協力をお願いしないといけませんし…………」

 

「じゃあ、早速教会に行って女神候補生さんに会いに行くです」

 

私がハクの事について少し考え込んでいる内に、皆はルウィーの教会(道は判ってないのに)へ向かってどんどん歩いて行った。

 

「あ、ちょ……すみません、教会ってどっちに行けばいいかしら?……ああ、そうですか、はい。ありがとうございました…………待ちなさーい!」

 

そして、私もその辺の適当な通行人へ手早く道を尋ねると、先に先にと進んで行く皆を追って駆け出した。

……と言うか、皆そもそも教会までの道は知ってるのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………疲れた)

 

ルウィーのわりと奥の方の、()()()()()()()()()()()()()()で俺は、ただただ脱力し、つい先程までどんよりして曇りだった、晴れ渡る青い空を見上げながら、脱水気味な所為か矢鱈と痛みを主張している頭を更に刺激するデカい声に顔を顰めていた。

 

「さて!では先に教会で待っている皆さんに合流する為に、早く雪山を下山しましょう!」

 

「………………」

 

そう言いながら、この天変地異擬きの元凶(ハクのやつ)は駆け足で下山しているが、雪が解けて水になり、そのまま一気に蒸発した水分が周囲に湿気として溢れている為に、はっきり言ってもの凄く暑苦しい。ここに目隠ししたまま連れて来たルウィーの住人に聞けば、恐らく10人中10人がここを真夏のラステイションの荒野と間違えるだろうと思う程暑苦しい。

 

「ふんふんふ~ん♪♪」

 

「………………」

 

 

その証に、目の前で呑気に鼻歌を歌いながら歩いているハク(元凶)の服は、普段から無駄に体にフィットしている所為で体のラインが浮き易いのに、今ではべっとりと肌に張り付き、その中身が(規制的にダメな箇所だけは固有能力で乾かしているのか無事だが)透けている。はっきり言って、かなり不愉快だ。

 

「色々と思う所はありますが、偶にはこうして思いっ切り身体を動かすのも良いものですね。良ければまた、今度は健全なスポーツとかを一緒にしませんか?あ、勿論ルールを厳守ですからね?」

 

「…………」

 

…………挙句の果てにこれだ。

俺は、こいつのこう言う所が特に気に入らない。

先程までの闘争の結果、周辺一帯の生きているものはこいつの手で消し飛んでいる。しかし、こいつはその辺を気にする事がまずなく、あったとしてもそれは見せ掛けで、そもそも被害に遭うのは大概がモンスターや吸血鬼だ。

 

「……………………」

 

「…………?」

 

別に、モンスターや吸血鬼を庇う気は一切ない。そもそも初めに奴ら(レッサーヴァンパイア)を殺しにかかったのは俺だし、それをこいつが殺そうが、俺が殺そうが、そんな事は些細な事だ。

 

「……どうかしましたか?」

 

「…………何でもない」

 

しかし、こいつは救うと、護ると宣いながら殺す(壊す)。そして、それを認識していても、恐らく根本的な部分で意識には留まらない。仮に留まっても、精々が『残念だった。また次に頑張ろう』……この程度だ。

何故かは解らんが、その矛盾が異様に気に障る。俺にとっては些細な事の筈なのに、何故かこいつ等(女神)がそのような行いに走っていると、引き毟ってその生命を終わらせ、早々に別の女神を生成させたくなる。

 

(何故だ?何故、こんなどうでも良い事が気に障る?…………解らんな)

 

…………まあ、これ以上は考えても仕方あるまい。

今はとにかく、この暑苦しい地を離れるのが先決だ。

 

 

 

そして数時間後、俺はルウィーの教会でアイエフ達に合流した。




…………はい。取り敢えず、次回からは教会に居る状態で始まると思います。
…………あ、因みに今回のアナザーの非常に理不尽至極極まりない事での困惑は、mk2の時点で原因共々わかると思いますよ?…………多分、きっと、メイビー

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