【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
「ちゅー……ネズミ遣いが荒い教祖っちゅね」
おいらは今、リーンボックスの教祖、箱崎チカの命令で迷子センターから出張サービス(?)で車を運転して教会までお迎えに行ってるっちゅ。
なんでも、人数が多いらしいから黒くて長い奴で来いとか言われたっちゅけど……今時、教会を訪れる団体客なんていたんっちゅね。ビックリっちゅ。
「…………まあ、ハク様にはお世話になっちゃってるっちゅし、しょうがないっちゅけどね」
色々と思う所はあるっちゅが、浄化と称して融解光線なんてぶちまけられてフェードアウトするような人生よりは100倍マシっちゅ。
夢(?)だったマスコットの職業も得て、人気もそれなり且つ堅実に伸びているっちゅ…………けど
「でも、なんか足りないんっちゅよね……?」
不思議っちゅよね。
間違いなく死ぬよりはマシ所か破格の待遇なのに、妙に懐かしくなるんっちゅよね……マジェコンヌの中級構成員だった頃が
こう、なんて言うか…………数年前に食べ飽きた筈のやっすいジャンクフードをまた食べたくなるような……でも、見付からずに結局は今の家庭料理を食べてるような…………
「………………まあ、犯罪組織に帰ろうにも、とっくに居場所なんて無くなってるっちゅし、そもそも犯罪組織に戻ったらハク様に浄化されかねないっちゅ……気にしない方が一番っちゅ」
…………まあ、今の待遇が不満って訳じゃないんっちゅし、どうでもいいっちゅよね。
………………なによりも、浄化されて融けるのはマジ勘弁っちゅし。
(本当に、あの状況から良く生還出来たものっちゅよ)
―――回想―――
2年前、おいらは犯罪組織の中級構成員として、ビラ配りから犯罪神様のフィギィア売りやマジェコンユーザー獲得の為の営業をする為、当時の上司だったレミィと言う、幹部直属の大隊長の下の下の上級構成員の女の下で働いていたっちゅ。
「おいネズミ、どうだった?」
「難とか3人程マジェコンユーザーを獲得できたっちゅよ!」
「そうかい!アタイは0だ……まあ、フィギィアの方は4人の爺や婆に売り付けてやったけどね!アッハッハ!!」
黒髪で清楚そうな上司の女は、見た目に似合わないガサツな口調で成果を確認して、おいらの成果を聞くと自分の成果も告げて豪快に笑い出したっちゅ。
……けど、ガサツながらも豪快なこの女は、いつもこんな感じでお気楽と言うかなんと言うか…………姉御肌のレディースって感じの女っちゅね。
「しっかしまあ、
「そうっちゅねぇ」
最近はリーンボックスの支部が何者かによって壊滅寸前にまで追い遣られてるっちゅ。
基本的に完全に壊滅してる訳じゃないんっちゅけど、偶に実験施設が襲撃されていると、施設や研究員がドロドロに融かされた後、自然に冷えて固まったような惨状で見付かるっちゅし…………本当に、ラステイションと言い物騒になったものっちゅよ。
「ったく、大隊長と隊長達はなに考えてんだか……こんな所で営業したって人的被害や施設への被害が増すだけだろうに」
「まあ、おいら達は下ッ端っちゅからね。サイ様の命令に逆らえる程偉くない以上はどうしようもないっちゅ」
「それもそうだね……おっと、こんな話をしてる場合じゃなかったね」
そして、そろそろ出発しようかと言う時に、当時のおいら達にとっての災厄の権化は音も無く忍び寄っていたっちゅ。
「…………見付けた」
「「ッッッ!?!?」」
声がした方に振り返ると、そこにはニコニコと笑っている天使のような女が一人いたっちゅ。
勿論、天使と言っても可愛いとか綺麗みたいな褒め言葉ではなく、文字通り、天使の様な翼を持ち、頭に円環が乗っかってる感じの見た目的な話っちゅ。
そんな女を怪しいと思ったのか、レミィは女を警戒しながら前に出たっちゅ。
「……あんた、誰だい?」
「見てわかりませんか?解りませんよね?解ろうが解るまいが構いませんけど……一応聞いておきましょうか」
そんなレミィの殺気雑じりな問いに対しても、この天使擬きの女は何でもないかのように受け流し、逆にこう聞き返してきたっちゅ。
「…………素直に投降する気はありませんか?投降して更生すると誓うなら、見逃してあげても良いですよ?」
「……あ゛?」
けど、その問いはレミィにとっては地雷そのものっちゅ。
普段から赤の他人や年下に上から目線で言われるのが大っ嫌いだと公言してるような女っちゅ。
この後の惨劇を想像すると、ちょっと同情はするっちゅけど……まあ、おいらには関係ないっちゅ。
「……アハハ……そこまで嘗めた事言われるとはね…………楽には殺さねえぞクソガキ」
「……?」
ドスが効いた声で天使擬きの女に話しかけるレミィと、そんなレミィの様子に気が付いていないのか、能天気にニコニコと笑っている天使擬きの女
そして、レミィが魔力弾を10発程生成すると、それを天使擬きの女に目掛けて一気に射出したのが、その後の悪夢の始まりだったっちゅ。
「死に晒せ!!」
「あらあら、交渉は決裂と言う事でしょうか?」
「死ね!!」
当初はおいらも、天使擬きの女―――ハク様が、レミィ―――当時の上司だった女に血祭りに挙げられる事を信じて疑っていなかったっちゅ。
なにせ、上級構成員とは言っても、戦闘に限って言えば隊長クラスの中堅とほぼ同程度のレミィが怒りに任せて能力まで使って手加減無しの一撃をぶち込んだっちゅ。
普通に考えれば、頭が可笑しいとしか思えないような格好の女は全身を撃ち抜かれて死に至り、その躰を破壊し尽されると思うのが自然っちゅ。
「アッハハハッハハッ!!まだまだ終わりじゃねえんだよォ!!!!」
(……何時もの事ながら、キレると本当に怖いっちゅよね)
上司だった女は、複製や増殖の効果を付与でもしたのか、射出中に威力を落とさずに分裂して行く魔力弾を何発も何発も撃ち込んで行ったっちゅ。
そんな大量の魔弾で天使擬きの女に当たらなかった魔弾は、周囲の木々は破壊し土煙を上げて視界を覆ったっちゅ。
「ハッ!ガキは素直に寝てりゃいいんだよ!!……行くぞネズミ」
「了解っちゅ」
(……これで、あの天使擬きの女は死んだっちゅね。と言うか、あの質量の魔弾を叩き付けられて生きてるならマジもんのバケモノっちゅ)
しかし、そんな予想を裏切り上司だった女が魔力弾の乱発で巻き上げた土煙が晴れると―――
「……はぁ、どうしてこう、犯罪組織の人っておバカさんが多いのでしょうか?」
「「……は?」」
そこには、躰がぐちゃぐちゃになっている筈の天使擬きの女が、五体満足、全くの無傷で立っていたっちゅ。
しかも、訳の分からない事に、女には土煙が巻き上げられたにも拘らず、長い金髪にも、無駄に露出が多い衣装や肌にも埃1つ付いていなかったっちゅ。
―――これは後で聞いた事っちゅけど、普段から能力で周囲の埃や塵を
「…………仕方ありませんよね。姉さん達を捕まえて世界を好き放題しようなんて考えは、改めて頂かないと困りますし…………荒っぽくなってしまいますけど、死なないでくださいね?」
「ナメてんじゃねーぞクソガキャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
(姉さん達を捕まえて世界を好き放題?この女はなにを言ってるんっちゅか?)
当時のおいらは、なんでこんな頭が可笑しな女の姉を捕まえたら世界を好き放題に繋がるのかを考えたっちゅけど、あまりよく分からなかったっちゅ。
ただ、当時のおいらでも解ったのは――――
「キレイに、浄化してあげますから……」
「ア――――――――――――」
「ぢゅーーー?!?!」
――――目の前で様々な特殊効果を付与したらしき魔力弾を撃ち込でいたレミィが、頭が可笑しな女の手で、グズグズの粘液に変えられてしまったって事だけっちゅ。
(……ヤバイっちゅ?!殺されるっちゅ!?!?)
そして、次はおいらだろうと思ったっちゅけど…………
「……それで、貴方はどうしますか?大きなネズミさん?」
「全面降伏するので、命だけはお助け下さいっちゅ!!??」
投降を呼びかけられたので、全力でDOGEZAして慈悲を乞う事にしたっちゅ。
―――回想終わり―――
……まあ、この後なんやかやと色々遭って(誤字じゃないっちゅよ?)今の
「あ、あれかしら?」
「運転手さんは……………?」
「でっかいネズミだね!」
おっと、考え事をしている内に着いたっちゅね。
おいらの視点はここでおしまいにさせて貰うっちゅ。
「ネズミさん、かわいいですね。あいちゃん」
「え?……ええ、コンパがそう思うんなら、そうなんじゃないかしら?(かわいいの?アレ)」
(…………ぢゅーーーーーーーー!?!?!?!?)
この日、おいらは運命の出会いをしたっちゅ。
ぶっちゃけると、この時期のハクは色々と荒ぶっています。主に犯罪組織に対して、殺意とまではいきませんが更正させる際に躊躇なく浄化しようとしたり、非人道的な実験所を研究員諸共融かし尽くしたり…………
犯罪組織の指揮系統(と言うか権力の強さ)
犯罪神>>>>越えられない壁>>>>マジック≧トリック=ブレイブ≧ジャッジ>>>>大隊長>>>>隊長>>>>上級構成員>>>>中級構成員>>>>下級構成員>>>>その他(バイト含む)
【レミィ:LV47】
筋力:C 魔力:A+
耐久:D+ 幸運:D
敏捷:C+ 異能:B
『固有能力』
『名称』
魔弾(タスラム)
『効果』
魔力弾に様々な付与効果を与えられる。回復弾や毒弾に麻痺弾まで自由自在
【サイ:LV87】
筋力:B 魔力:A+
耐久:C+ 幸運:B
敏捷:A+ 異能:S
『固有能力』
『名称』
魔力喰い(マナイーター)
『効果』
周辺15メートルに存在する者の魔力を喰らう事が出来る。特に、対象が属性魔力持ちだった場合、その属性を一定時間保持出来る。