【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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今回も割と日常パート風味です。


第三十話

いきなり訳の分からない事態(何故か着替えていたハク)が遭ったが、その後は特に何事も無く事は進み、俺は今、待合室のソファーでハクと向かい合って座っていた。何の拷問だ。

 

「…………で、何の心算だ?」

 

「はい、要件ですけど……あの、他の方は何処に?」

 

丁重な物腰でそれだけ言うと、ハクは小首を傾げた後にキョロキョロと周囲を見回しだした。

 

「ハア?他の奴?」

 

「はい。お仲間が居るのでしょう?通信でグロウさんから要件は伺っています。アナザーさんがお世話になっているようですし、これからは私もお世話になるのですから挨拶ぐらいはしておこうと思ったのですが……」

 

……ああ、そう言う

 

「お前は俺の保護者かなにかか?と言うか、俺の名前しか呼ばなかったから他の連中は教会で教祖に挨拶してからクエストに行くとか言ってたぞ」

 

「え?」

 

俺がそう答えると、ハクはポカンと口を半開きにした阿呆のような顔でこう言った。

 

「…………あの、実は―――」

 

「は?」

 

その言葉を聞いた俺は、訳が分からないとしか言いようがない微妙な気分になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナザーと空港で別れた私達は、事前に調べておいたマップで一直線に教会まで向かい、その教会の中で教祖に会っていた。

 

(……と言うか、本来なら空港の中で女神候補生本人と話をする算段だったらしいのだけど、私達が教会に来ちゃったからそのまま教祖と話をする事になっちゃったんだけどね)

 

……まあ、そんな事は置いといて、教祖の箱崎チカに軽い挨拶の後、この国の女神候補生を仲間にする話を終えてさあクエストに行こうかと言う話になってたんだけど…………

 

「…………はい?」

 

訳が分からないわ……聞き違いかしら?

 

「だから、残念でしょうけど、この国でクエストを受けるのは諦めてと言ったのよ」

 

「いえ、その少し前なんですけど…………」

 

「えっと……クエストをこの国の女神候補生のハクって奴が殆ど消化しちゃったって……マジ?」

 

一体、どんなワーカーホリックなら、近年犯罪組織の横行で激増したクエストを消化できるのよ…………流石に冗談よね?

 

「マジよマジマジ……アタクシも、まさかあの子1人でお姉様のご不在に加えて犯罪組織の横行の相乗効果で一時期は上位危険種が各ダンジョンに何体も出現するぐらい溜まってしまったクエストが無くなるなんて思ってもなかったから、その気持ちは良く分かるわ」

 

そう言って、この国の教祖――箱崎チカは、頭痛を堪えるように頭を抑えながら椅子に座り直した。

 

「……まあ、そんな事はどうでも良いわ。とにかく、一刻も早く御姉様を救出してちょうだい!アタクシもあの子が単独でギョウカイ墓場に突撃しないように抑えるのはもう限界だったし、何よりもアタクシが御姉様に会いたいの!大急ぎで!特急で!!」

 

「わわっ……ちょ、落ち着いてください!私達はまだゲイムキャラさんに力を借りなk「その辺は問題ないわ!あの子がもう力を借りてるから、気にせず行っちゃって!」…………え?」

 

そして、もの凄い剣幕で捲し立てた箱崎チカは、さらっと爆弾発言(?)をして私達を空港にまで送り返す乗り物の手配を始めてしまった。

 

「……ここの候補生って……どんだけ」

 

そして、ユニの一言が全員の思いを表していたのは……まあ、必然でしょうね。

 

「あいちゃん、私達はこれからどうしましょうか?」

 

「……そうね。ルウィーにでも行くしかないんじゃないかしら?…………リーンボックスでしなきゃいけない事もないし」

 

…………まあ、旅が順調なのは良い事よね!

 

「手配が終わったわ!数分後に黒い車が来る筈だから、教会の入り口で待ってなさい!」

 

そして、箱崎チカが手配した乗り物でリーンボックス空港に送って貰った私達は、アナザーとリーンボックスの女神候補生(ハク)と合流した後にそのままラステイションにとんぼ返りする前に雪国ルウィーを旅する為の準備に取り掛かったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、言う訳なんです」

 

「……お前は仕事のゾンビか何かか?」

 

ハクからリーンボックスのクエスト事情を聞かされた俺は、呆れ半分残念半分の微妙な気分でソファーに座り込んでいた。

と言うかだ。確かに以前、趣味はクエストマラソンと聞かされた事はあるぞ?あるんだが……だからと言って、誰がクエストマラソン20時間を毎日こなしてると思うよ?アホなのか?こいつは

 

「……まあ、ここで待て居ればネプギア達も帰って来るんだろう?だったら、俺は暫くここで待つ」

 

「はい。そうしていただければ助かりますね。あなたを外に出して万が一にも見失うと、一般人や他の健常な企業諸共犯罪組織関係者を血祭りに挙げてしまいかねませんから」

 

…………些か心外だが、別にどうでも良いか

ナチュラルに蛮族扱いされている事に思う事はあるが、こいつ相手に話を咲かせる趣味はない。ある程度は流しておけば問題は起きないので、基本はスルーが一番だろう。

 

「それにしても、ラステイションからの通信でグロウさんから聞かされた時は驚きましたよ」

 

「…………」

 

…………スルーしたいのだが、こいつは意地でも話を咲かせるつもりらしく、ニコニコと笑いながら只管捲し立てるように喋り続ける。

 

「何時も何時も、人間が嫌いで森の中に引き籠り、偶に気が向けば街中にふらっと現れては教会からお仕事を貰ってモンスターを血祭りに挙げる以外では姉さん達とさえも会話をしたがらないあなたが、まさかお仲間を作って一緒に旅をするなんて、思いもしませんでした」

 

「…………」

 

そして、一区切り喋りたいだけ喋ると、こちらの反応を待つかのように一旦喋るのを止め、俺が喋るのを待っているようだったが……俺が口を開く気配さえない事を察すると、それでもなお、諦めずに只管言葉を捲し立て始めた。

 

「今はどんな気持ちですか?お仲間とは仲良くやっていけてますか?無茶苦茶はしてませんよね?毎日ちゃんと三食食べていますか?お仲間には他の候補生の方も含めて女性が多いと聞いていますが、色々と気を使っていますか?大虐殺をして血塗ろな光景を造っていませんよね?ブラッドバスとかブラッドジュースだとか言って、血塗ろライフは送ってはいけませんよ?――(以下、延々と話は続く)――」

 

「……………………」

 

そして、その話はアイエフ達と合流するその時まで続いた。正直、殆ど拷問染みた時間だった。




と、言う訳で、次回でリーンボックスからはおさらばです。(早)
と言うか、本来ならネプギア一行がやるべき事を全部リーンボックスの女神候補生ハクにやられちゃってるんですよね……事件の芽なんて発生しようが無いぐらいきつめに
犯罪組織の下にある組織も、(一年程前にハクの八つ当たりで)殆ど壊滅を免れてるだけってレベルで潰されてますし、モンスターに至ってはクエストマラソンで絶滅寸前(と言うか犯罪組織が無かったら本当に絶滅)に追い遣られてますし

…………まあ、なんでもかんでもやれば良いってもんでもないんですが(実際問題、問題自体は既に表面化してますし)

因みに、アナザーとハクはお互いにどう思ってるかですが…………


アナザー→危険物。天敵

ハク→更生させる対象。生きてる年月の割には子供っぽい?

…………こんな感じですね。恋愛フラグのレの字もありません。なのに、周囲は今回みたいな事があるから色々と誤解してややこしい感じに……

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