【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
バーチャフォレスト
緑溢れる自然公園の大きな木下
元はスライヌを代表とする弱小モンスターの巣窟で、子供の遊び場として機能していたそこは、犯罪組織の横行とそれに伴った四女神の失踪により、幸いにも危険なモンスターが出た訳ではなかったが、スライヌ等の弱小モンスターの数が増大し狂暴化した影響でクエストの処理も追い付かなくなり、冒険者やハンターも駆け出しでは膨大な数の暴力により圧殺されてしまい、数が多くても問題なく討伐できる中堅冒険者以降の層からも、弱小モンスターしか居ない関係上旨味が殆ど存在しない事から放置されてしまい、すっかり廃れてしまっていた。
そんなバーチャフォレストでは、現在蒼い血が溢れて池のようになりスライヌやダイコンダー等の残骸が大量に溢れた凄惨な光景が展開されていた。
中でも特に凄惨なのは、殆どの死骸には同士討ちをしたとしか思えない状態で転がっている、数匹のスライヌの死骸だ。
その数匹のスライヌ達は、ある個体はその全身に牙で付けられたような歯形があり、またある個体は名前の由来にも関係している犬のような口や耳、尻尾を毟り取られ、スライヌではなくスライムと化している。
そんな死骸が溢れた蒼い血の池の中心部だったが、そこだけはまるで平和そのものであり、一滴も血が溢れておらず、そんな台風の目のような場所には一人の紅い血のような長い髪をした男が立ち、やる気がなさそうに周囲を眺めていた。
「久し振りにここで昼寝しようと来てみればうじゃうじゃと………雑魚の血は不味いから、適当な一体を汚染して内側からぶち壊してやったが、昼寝出来る環境じゃ無くなったな………面倒な事だ」
そう言って、男は暫く考え込むような動作をすると妙案でも思い付いたのか顔を上げる。
「取り敢えず、ここの奥地に雑魚の入り込まない良さげな昼寝ポイントがあったはずだからそこで寝よう」
そう言って、男は森の奥地へと向かって行ったのだった。
ギルド:プラネテューヌ支部内
一方その頃、女神救出に半分失敗したアイエフ達はどうにか救出に成功した『女神候補生』ネプギアのリハビリの為に、ギルドでスライヌ退治のクエストを受けていた。
「さて、このくらいならリハビリにも丁度良いでしょうし、スライヌ退治にバーチャフォレストに行きましょう」
「そう言えばアイちゃん、ギアちゃんを助ける前にバーチャフォレストに行きましたけど………」
アイエフがバーチャフォレストの名前を出した際に、微妙に蒼い顔をしながらコンパは声を上げる。
「どうしたのって………言うまでもなかったわね」
「はいです。あれはひどい光景だったです………」
二人としては、余程思い出したくない光景だったのか、微妙に吐きそうな顔をしながら遠い目をしている。
そんな空気の中、話に着いて行けないネプギアは心配そうな顔をして声を掛ける。
「あの、バーチャフォレストがどうかしたんですか?」
「あぁいや、アンタは気にしなくっていいのよ。寧ろ見ない方が良かった訳だし」
さあ、さっさと行くわよっと、アイエフはコンパを伴い、急かすようにギルドを出て目的地のバーチャフォレストに向かって行った。
「………?って、待ってくださーい!」
不思議そうにそれを見ていたネプギアも、自分が置いて行かれそうな事に気が付き、急いでアイエフの後を追い掛けたのだった。
バーチャフォレスト
「おかしいわね……何時もならその辺にうじゃうじゃ居るスライヌが、今日に限ってこんなに少ないだなんて」
「そうですねぇ……犯罪組織が台頭してる影響で、モンスターさんも活発になって、普段は人の影を見ただけで突進してくるのに、今日に限っては殆ど出て来ませんねぇ」
そう言って、二人は周囲をキョロキョロと眺めて目的のスライヌを探す。
「あの、アイエフさん。わたし達が捕まってる間にそんなにモンスターがいっぱい出てくるようになったんですか?」
「ええ、普段はこの辺にも、広場を埋め尽くす勢いで溢れ返ってて、とてもじゃないけど奥まで行けなかったんだけど………」
「今日に限ってはモンスターさん達を少しも見ませんねぇ~」
救出されたばかりで、イマイチ状況が分からないネプギアはアイエフ達に問いかけているが、返ってきた答えと現状を比べた差異に疑問が深まっただけらしい。
チンプンカンプンとでも言いたげな顔で周囲を見回している。
実際問題、ネプギア達一行がバーチャフォレストに入ってからスライヌを含めて、モンスターに遭遇した回数はほんの数回ほどでしかなく、その過程でスライヌの討伐クエストはどうにか達成したのだが、アイエフとコンパは状況がおかしいと言う事で、バーチャフォレストの奥地にまで向かっているのだ。
「「「……………」」」
そして、暫く森の中を進むと、今度は開けた広場のような場所に出たのだった。
…………厳密には、スライヌを筆頭にチューリップやダイコンダーを含めた残骸と、蒼い血が池のようになっている『広場だった』と思われる場所ではあったが
「アイちゃん………これって……?」
「ええ、そうでしょうね………相変わらずエグイ戦闘跡を残していくわ………まだ遠くには行ってないでしょうし、探しn………って、ネプギア?」
「…………………………」
二人して、気分が悪そうな顔をしながらコンパとアイエフが今後の相談をしている時に、一人呆然と立ち竦んでいるネプギアを見てアイエフは声をかけるが、異様に反応が薄い。
「………キュ~」
「気絶してるですぅ」
「仕方無いわよ。私だって前に見た時は吐きそうな位キツかったし」
そう言って、アイエフはネプギアを背負うと、コンパと共にバーチャフォレストの入り口へと向かって行くのだった。
………その後、意識を取り戻したネプギアは色々なショックから更にネガティブなオーラを纏いへこんだのは言うまでもない。
一応、ステータスの一覧表みたいなのを作ろうと思う。