【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第二十一話 改善後

「……何のつもりだ?マジック」

 

「………………」

 

突然現れたマジックは、マジックにとって神器である戦鎌(バトルサイズ)を用いて、敵である筈のコヤツを護る為に俺のブレイブソードを止めた。

その行いは当然、犯罪神様を裏切る行いであり、如何に四天王のリーダーと言えど、到底赦される行いではない。

 

「…………」

 

「どうした!何も言えぬと言うのか!?」

 

そうしてマジックを問い詰めると、溜め息を吐きながらも重々しく口を開き……

 

「…ハァ……犯罪神様より『この者を次の器に』と神託が下された」

 

「……なん…だと…………」

 

信じられない内容が飛び出て来た。

無論、犯罪神様や仲間を疑う気はない。だが、これは…………

 

「何かの間違いではないのか?」

 

「…………私が犯罪神様からの御言葉を聴き違えると?」

 

「……いや、そう言う訳ではない。些か信じ難い内容だったものでな」

 

そう、俺1人で潰せる程度の雑魚を器にする等と……どのようなお考えの基でそのような結論に至ったのかは知らぬが、何れにせよ俺には理解出来ない事に代わりはない。

 

そのような考えがマジックに伝わったのか、更に補足が加えられた。

 

「……安心しろ。犯罪神様も弱者を器になどはしない」

 

「と言うと?」

 

「この瀕死の状態から生還し、このまま強くなれば、との事だ」

 

「…………成る程、将来性に期待しての話であったか」

 

納得の話ではある。

だがしかし、それは逆説的に犯罪神様と並び得るだけの潜在能力がコヤツに秘められていると言う事ではあるまいか?

 

(ならば尚の事、今この場で仕留めておくべきではあるまいか……?)

 

「……あぁ、それとだ」

 

ブレイブソードの柄に加わった力を見咎めながら、マジックは思い出したかのように口を開き始めた。

 

「犯罪神様はこうも仰っておられた―――『我が器候補を器として覚醒させ、献上した者の願いを1つだけ叶えよう』―――とな」

 

「…………っ!?」

 

その言葉に、俺の心は大きく揺れ動いた。

犯罪神様のお力は強大だ。それこそ、我ら四天王では出来ない事であろうと、犯罪神様のお力添えさえあれば、大抵は叶ってしまう程に……

そう、子供達の幸福も、相棒を蝕み、今もなおその命を削り続けている病の完治も、犯罪神様のお力があれば十分に可能ではある。

しかし、叶うのはどちらか一方のみ

 

(……………俺は、どうする?一体、どちらを叶えたい?)

 

これが両方共に叶うのであれば、こうも悩みはしない。

しかし、叶うのは一方のみ……その事が、俺を苦悩が苛んでいく。

 

「……帰るぞ」

 

「…………ああ、そうであるな」

 

そして、願いを叶えると伝えられた時に俺の脳裏を過ったのは果たして一体どちらだったのか……俺には結局分からないままだった。

 

 

 

 

 

 

「……gi…グア…」

 

【ダメージ大

損傷率……不明。しかし、上半身と下半身が切り離された事によって失血死の可能性が大

パッシブスキル:『生命維持:流血』を発動

肉体の周辺に残存する全血液を支配、それに伴い操作を開始】

 

「ガフッ……」

 

不明である(理解出来ない)……一体、何が遭ったのだろうか?

 

何時の間にか、気が付けばどこぞの工場の中に居た俺は、かなり鋭利な刃物で一刀両断にされただろう身体を見て、訳が分からないと言う思いで溢れていた。

 

(確か、俺は犯罪組織にとっ捕まったネプギア達の救助にミッドカンパニーにまでやって来て…………それから、どうなった?)

 

思い出せない。何かが突然、俺の意識を侵蝕したかのような……いや、どちらかと言えば、不快な力の波動を感じたような……

 

(……一体、何が遭ったと言うのだ?)

 

その思考は、静まり返った工場にネプギア達が現れるまで続いた。

どうやら、俺は相当酷く暴走していたらしく、出口にまで運ばれる最中でも、ミッドカンパニー内部は大量の死体と光に分解されかけている機械系モンスターを中心としたモンスターの死体が散乱し、出入り口では扉が拳大の痕を中心に、まるでティッシュのようにグチャっと潰れていた。

恐らく、暴走が原因で記憶が曖昧なのではないのかとの事だったが……

 

(しかし、俺の記憶が曖昧なのは、本当に暴走した事が原因なのか?)

 

その辺の記憶も無い以上は、どうしようもない事ではあるが…………一体、どうなっているのだろうか?

 

…………因みに、これは完全に余談だが

この後、滅茶苦茶アイエフに怒られた。

 

 

 

 

 

 

 

光に包まれた闇の中で、黒い影が蠢き続ける。

 

【本当に、今回ばかりは焦ったな】

 

その影は、汗を拭く真似のような動作をしながら、誰に聞かせる訳でもなく、ただ独りで光に覆われた闇の中で呟いた。

 

【しかし、確かにあの子を生かせと命じたけど……まさか、あの使えない駒、(アタシ)からあの子を……】

 

そうして、黒いナニかの動きが数瞬だけ止まると、そこから堰を切ったかのように激しく燃え盛る。

 

【アハ……アハハハハハハハハ!!!!あの使えない駒が!!あの子を(アタシ)から奪う?アハ♪……潰してやる!滅却してやる!!引き毟って最後の欠片になるまでバラしたらもう一度あの悪夢と絶望の狂気を骨の髄まで……イエ!魂の髄まで叩き込んでやる!!!!】

 

そうして、激しく暴れ、周囲の光を喰い破ろうと暴れ出した闇だったが、暫くすると、急に大人しくなった。

 

【…………そう、貴様は、そうまでして(アタシ)を阻むんだな】

 

そうして、一旦元の立ち位置にまで戻った闇の塊は、何処までも冷めた冷淡な声で言い放った。

 

【なら、この気色悪い極光の中から魅せて貰おうじゃない。あんな女神(劣化品)如きになにが変えられるのか……400年前の女神(塵芥)の焼き直しにならなきゃいいけど】

 

そう言って、極光に抗い続けた闇は、中心にある闇の中へと潜って行った。

 

【……アッハ♪そうね。取り敢えず、新しくいっぱい手に入れたあの子の写真や吐息や足跡や肉片に雑じりっ気のない純度100%の血や唾液etc.でも整理して並べ直すとしましょうか】

 

【……………………………………………………………(汗)】

 

……………………………潜って行った。




……………と、言う訳で、これからあの変質者は少なくともmk2が終わるまでは出て来ないでしょう。
……多分、きっと、メイビー

因みに、パッシブスキルとか出て来ましたが、どっちかと言うと固有能力の応用ですね。自分の血液を支配下に置いて操作する事で、失血死だけは免れてます。
……まあ、自分の血液は元々支配下にあるので、やろうと思えば何時でも操作出来る訳ですが


……次回、さらっと飛ばされたネプギア達の回だと思います。ぶっちゃけると、今回書かなかったのは気分です。
ただ、これからの方針にちょっと変更が出るかも?

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