【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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今回は、グロウとイヴェルトの視点です。なお、変態と暴言にご注意ください。


第十五話

side グロウ

 

 

(さて、これからどうするべきか…………?)

 

ユニ達が犯罪組織に捕まったと報告を受けた私達は、漆黒人機軍の本部があるラステイション郊外の平地にて調査の報告を受け取っていた。

 

(よりにもよってミッドカンパニーに立て籠もっているとは……面倒な話だ)

 

因みに、ミッドカンパニーとはモンスターの大量発生が原因で廃棄されてしまった廃工場である。

当然、そこに住まうモンスターも非常に厄介であり、下級モンスターの大群に加え、『下位危険種(R4i-SDHC)』『中位危険種(キラーモシーン)』『上位危険種(シュジンコウキ)』が揃い踏みだ。当然、掃討には私を含めた漆黒人機軍が総出で掛かっても相応の被害が出る。……何故、それなら早々に退治しなかったのかと?

勿論、私とて被害を出す事を恐れて放置していた訳ではない。ただ、犯罪組織が健在な上に女神を欠いたラステイションの現状では漆黒人機軍の手が足りていないのが問題なのだ。なにせ、人間と機械の割合が2対8なのでな。

それに、機械とてタダではない。修理にも時間を要する事を考えれば、『当時』必要が無かった場所の掃討などしている場合ではあるまい?…………私は誰に説明をしているのだ?

 

……まあ、それはさておき、だ。

 

(私としては、あの単純バカが態々人質を捕って立て籠もるとは思っても見なかったのだが……まあ、籠ってしまった者は仕方あるまい。生身でそこらの要塞よりも頑丈な奴だが、そう言う日もあると思って諦める他にない)

 

「さてさて、こんな時に面倒を持ち込んだ虫けらは血祭よ~?ってなオチに持って逝きますかねえ……」

 

「殺してどうする!今回は捕らわれた候補生達の安全が最優先だ!!」

 

「あ~……はいはい。了解しましたよっと……めんどいけど」

 

「何か言ったか?」

 

「いや何にも~?」

 

そう言って、協力者であるアナザーは目的地であるミッドカンパニーへと向かって歩みを始めた。

 

(全く、物騒な所は相変わらずか……まあ、あれで戦力としては非常に優秀なのは知っている。私としても、阿呆の様に頑丈な狂戦士(バーサーカー)や、上位危険種(シュジンコウキ)は手に余ると思っていたのだ。どうにか手綱を握って誘導する他あるまいな……)

 

そう思い、私はアナザーの対応を抑制から誘導に切り替える事を決めた。

元より、アイツとて契約事は守るので必要以上に心配はしていないが、同時に必要以上に抑えが効かないので抑制など出来はしないのだ。

しかし……

 

(思えば、随分と遠くに来たものだ……)

 

思えば、前世では親の手で机に齧り付かされてまで勉学に励まされたと言うのに、いざ就職してみれば早々に営業方面に廻されたのは予想外が過ぎた。

運動すら殆どしなかった身には日々を過労気味のオーバーワークで全身に疲労が溜まり、ふとした拍子にした些細なミスが元で大事に発展した所為で会社をクビにされ、その頃にちょうど親も死んでいた所為で頼る身寄りも無く、就職難で次の職場も決まらずにホームレス生活が始まり……挙句に、そんなホームレス生活に慣れてきた頃合いで最後は路上で寝ていたら居眠りしていた大型トラックに轢かれてお陀仏である。恐らく、大多数の人間は不幸だと思い同情ぐらいはされる人生だったと客観的には思う。

 

実際、死んでから出て来た人の運勢を決める担当の神とやらも不幸な手違いでしたとお悔やみ申し上げられた程だ。恐らく、自分の生涯は客観的に観て比較的不幸な人生ではあったのだろう。

その後、あれよあれよと転生する事が決まり、一般的に観ればショッパイにも程がある『天才は無理でも秀才には成れるだけの才能』だけが与えられ……恐らく、一般的な感性をした人物であれば怒り狂って大暴れしたのではないかと思う酷さだ。

 

ん?らしいとか恐らくとか、酷く他人事のようだなと?

……まあ、他人事ではあるな。実際に、私は己が不幸だと嘆いた事が無いのだから

 

(寧ろ、前世で死んだ恩恵で私は最高の職に就いているのだ!給金が多いのは玉に瑕だが、それを用いて我が至高の女神の守護せしこの国に奉仕せよとの事であったのだろう!!やはり、私は幸福な生涯であると断言出来る!!!)

 

そう!やはり、人生とは多大な苦痛が無ければ成り立たぬ!!幸福な絵面?鞭を持った美少女な上司が薄給で休日無しの長時間労働で私を扱き使う事だが何か?

 

(そもそも、その点から言ってあの教祖は――――――≪長い上に変質的な内容を含むので省略します≫――――――しかし、あんな者でも我が至高の女神が任命したのだ。仕方あるまい……しかし、鞭を渡した程度で動揺することであろうか?全く、これだから合理主義者は困るのだ。寧ろ、どうせならばその無表情な顔で目だけ塵でも観るようなモノに変えて――――――≪長い上に変質的な内容を含むので省略します≫――――――……うむ。このような思考をしている場合ではないな。早々にユニを救出して、ノワール様をお救いせねば……!!)

 

そうして、私は日課としている日記へ記す内容を脳内で纏め終えた頃に丁度ミッドカンパニー前に到着したのだった。

 

(さてと……イヴェルトよ。私は今、生きている!!)

 

 

side out

 

side イヴェルト

 

 

「おいアレイストォ!テメェどこ行ってやがったぁ!?」

 

「貴様には関係あるまい?私には私の、貴様には貴様の目的がある」

 

そう言って、アレイストの野郎は、下っ端(雑魚)が事前に用意したらしいソファーで寛ぎ始めた。

 

(だぁクソ!!あの野郎!このオレ様を嘗めやがって……!!腐れ英雄をぶっ殺したら次はアイツを……!!)

 

そもそもオレは、あの腐れ英雄をぶっ殺すまではこんなムカつく野郎との行動でも我慢しなきゃならねぇ現状に非常にムカついていた。

はっきり言って、籠城なんざオレの趣味じゃねーし人質はもっと趣味じゃねえ。寧ろ、あの腐れ英雄と正面から殺り合ってる方がまだ性に合っている。

しかし、ジャッジの野郎はオレにこいつと協力しろと、態々オレの肉体に刻まれたシェアを送る為の刻印まで使ってあの野郎に従えと命令しやがった。正直、アタマがイカレてやがんじゃねーかと一瞬でも心配した程だ。

しかし、あのイカレ野郎があの腐れ売女のクソババアとクソガキにしか発情しねえ万年発情期の変質者に暇潰しでしやがった賭けポーカーで負けたのが原因でオレにとばっちりが来ただけだった。死ねボケナスが

 

しかしまあ、面倒な話しながら、あの刻印まで使われている以上、命令には逆らえねえ訳で……

 

(しゃあねえ、とっとと敵をぶっ殺したら返す手でアレイストの野郎をぶっ殺して、次にジャッジの野郎をぶっ殺す!!)

 

オレは、分厚い鋼鉄製の扉越しにでも伝わってくる殺気を感じながら、渇きを癒してくれる血戦の気配を堪能していた。

 

 

side out

 

side ???

 

ミッドカンパニーの近くには、二つの小柄な影が在った。

 

「ここにアタシの嫁が捕まってるんだね!いっくよー!!」

 

1つの影は、そんな頭が悪そうな声を上げると、ミッドカンパニーの内部に突撃して逝った。

 

「潜入か……ワクワクするわね!よぉーし!いっくぞーー!!」

 

そして、もう1つの影は目にも留まらない速さで、ミッドカンパニーの天井より中に侵入したのだった。




次回から幾話程で、ラステイション編は終わります(多分)
ゲイムキャラ?…………抜かりないです!(メイビー)
最後の影は……皆さんのご想像にお任せします。まあ、多分バレバレでしょうけど(特に1つ目の影)


因みに、周囲からのグロウへの認識はこうなっています。



ノワール→下僕。絶対に裏切らないと確信している。

ケイ→有能だけど変質者。人の噂に心外過ぎる悪評を入れやがったクソ野郎。

ユニ→目指すべき目標。いずれ超えてみせる。

漆黒人機軍の部下→尊敬する上司。この人に何処までも着いて行く。

ラステイションの一般人→現代に生まれた憧れの英雄。自分達もこうなりたい。

イヴェルト→あの腐れ英雄!絶対にぶっ殺してやる!!

アレイスト→討伐対象。天敵

アナザー→旨そうな食料



逆に、グロウからの周囲への認識はと言うと……


ノワール←至高の女神。死ねと言われればどのような惨い死に方でも死んで魅せるし殺せと言われれば誰であろうと、勝てなくても是が非でも殺しにかかる。命令には絶対服従

ケイ←至高の女神が任命した教祖。但し、個人的には女神への敬意が薄いので嫌い。

ユニ←至高の女神の妹御。故に望む事には己が身を物理的に磨り潰してでも協力する用意がある。

漆黒人機軍の部下←至高の女神に奉仕する仲間

ラステイションの一般人←至高の女神が守護する民

イヴェルト←面倒な敵で、至高の女神の妹御に危害を加えた怨敵。抹殺対象その1

アレイスト←至高の女神の妹御に危害を加えた敵。抹殺対象その2

アナザー←出来れば漆黒人機軍に勧誘したい。自分と同格以上の強者だが扱い難い。



…………うわぁ
……我ながら、これは酷い。

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