Re:ゼロからはじめる俺のハンター生活は間違っているのだろうか   作:名無し@777

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第一章 やはり俺と彼奴とヤツの道は間違っている。
一話


 俺は極力働きたくない。

 この精神は揺るぎないものであると自負している。例えるならばコーヒーのなかで一番うまいのはMAXコーヒーであるという事実並みに揺らぎがない。だが、今回ばかりは曲げなければならないだろう。本来ならば妥協点を見つけて楽な処に落ち着かせるのだが生憎───俺の『仕事』に妥協点は存在しない、否、存在してはならないのだ。

 

「グガァァァァァァァァァッッ!!!」

 

 地形上、一本道になっている場所で俺は――奴と一直線上に対峙していた。回りは森林に囲まわれており、所々に焦げた後が伺える。理由としては至極簡単、奴が放つ火球が木々を燃やしているからだ。

 不思議なことに火は他の木々に移る事無く鎮火していくため、幸いにも火の海にならずに済んでいる。この森丘に生える草木は特殊な性質があるとかないとか。詳しくは知らないが木々が燃え盛る事はないという事実が解ればそれで良い。

 彼の飛竜の風貌は翼にあった鋭利な爪が両翼共に砕けており、堅牢な甲殻は節々に皹が入っている。その風貌は満身創痍もかくやといったものだ。だが、それでも奴の勢いは止まる気配を感じさせない。

 叫び終えた飛竜は、俺が与えた傷など痒くもないと言わんばかりに俺の方へ憤怒を表に現わし、突進してくる。

 

 俺が奴と刃を交えてから二日近く。着々と蓄積させてきたダメージは既に倒れてもおかしくないまでにある。

 

 しかし。しかし、倒れること無く、此方に向かってくるのだ。

 

 ハンター協会が制限している時間帯は刻一刻と迫り、遂には今際までにきている。ならば───リスクを背負ってでも攻めに転じるしかない。

 

 目前に迫り来るのは死の塊。

 その一撃をくらえばに二度と陽の目を拝むことが出来なくなるのは明白である。ならば、回避することが最善の策なのかもしれない。だが、一本道であるが故に避ける場所すら無い。無論、もとより避ける気など無く、むしろ、この機会を待ち望んでいたのだ。

 

 武士の心得に従い、神経を研ぎ澄まし、太刀を低く構える。

 

 飛竜との距離はもう五メートルもない。

 

 怖くて、恐くて、足が震えるような感覚に陥る。

 

 

 それでも俺は─────やらねばならない。

 

「平塚流ブシドースタイル 比企谷八幡、推して参る」

 

 

 迫りくる飛竜と接触する刹那、研ぎ澄ました感覚を一気に爆発させ、 飛竜の両足の隙間に飛び込み、すれ違い様に 一閃。腹を切り裂き、血が勢いよく飛び散ちっていく。

 

 武士道を基盤とした技術の新たな極地。ブシドースタイルの真髄であるカウンターは俺の十八番である。渾身の一撃を敵に刻んだ感触を噛み締めながら、前転を行い体制を整える。

 

「グガァァァ……」

 

 後方から飛竜の最後の咆哮を聞き、太刀を鞘に戻す。

 

 振り返れば、死んでも尚、 空の王者としての貫禄を残したまま彼の飛竜は地面に横たわっていた。張り詰めていた緊張が切れ、その場に座り込む。

 

「あー、疲れた……もう働きたくねぇ……帰って小町の料理食べて寝たい……」

 

 恐い、怖かった。

 でも、それでも勝った。

 今日一日または俺は生き延びることに、守り抜くことに、成功したのだ。

 

 人の命など容易く薙ぎ払えう力を宿した生命体。

 彼等との死闘は何度行っても恐怖心は無くなる事はない。

 

 だが。止まることは許されない。例え、戦闘の最中、死ぬことになったとしても、俺は悔いることはないだろう。

 

 俺は『彼女達』を守って死ぬことが出来たのだと誇れるのだから。

 

 

 

 

 

 

 モンスター。

 人外なる存在は俺たち人間に危害を加えることがある。

 それらに対処する人間、つまりは、モンスターを狩る人。

 

 

 皆は俺達の事を『モンスターハンター』と呼んだ。




 数々のSSを拝見させて頂き、分不相応ながらも私自身、SSを書いてみたいと思いました。その中で私は『モンスターハンター』という世界観に魅了され、私の書くSSはモンスターハンターを題材としようと決心した次第です。
 拙い文章ではありますが、貴殿に少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 では、長い。長いお話になると思いますが最後までお付き合いくださいっ。

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