Re:ゼロからはじめる俺のハンター生活は間違っているのだろうか   作:名無し@777

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三十八話

 

荒れ狂う暴風。それは自然現象だけで起きているのでは無く、眼前に佇むモンスターが引き押していた。

ナルガクルガ。俺の愛用する装備の素材であるモンスターだ。では狩るのは容易いのかといえば違う。ある時は重症を負って一か月間ベットの上で眠らされたこともある。

 

尻尾からまき散らされる棘が俺達を襲い、躱せば突進から、強靭な顎で噛みついてくる。それら動作は連動していて休む暇もない。だが、各モーションにおいて一瞬ばかりの隙はある。

 

俺に噛みついてくると同時に、それを察知し、奴の右腹に潜り込み、刃を滑らせる。突き、切り上げ、切り下ろす。反撃を食らうギリギリまで攻撃を行うが故に少しでもひくタイミングを誤ればお陀仏になっていたが、今回は違う。

 

 バァン!

 

何かが弾ける様な音ともに、ナルガクルガ顔面に火が飛び散る。連続してなる狙撃音は寸分の狂いもなく、奴の右目付近を捉えていた。俺は太刀使いであるために、ヘビィボウガンについては浅い知識しかないが、あの小柄な少女が身の丈の二倍あるボウガンを手足の様に扱っている事の異常性は理解できる。

 

サーシャの神業ともいえる援護狙撃によって、俺は安全マージンをとりつつ攻撃と回避を繰り返すことができていた。

 

戦闘から数十分が経過し、川崎はキャンプベースで待機、サーシャは相棒を手にして遠距離から俺を援護する立ち回りをみせ、ナルガクルガ何処かに逃げて行った。

 

「サーシャさんまじぱないっす。ゴルゴ41並みにやばいっす」

 

「このくらい、余裕」

 

ナルガクルガが飛んでていった方角を見据えながら、合流し、メンテナンスを行う。あまり時間はかけてられない、回復されてしまっては戦闘は長引いてしまうからだ。

 

「ほんじゃ、このままお願いしますよ」

 

「ん」

 

武器をしまい、俺たちは息の根をとめに行くべく走り出した。

 

 

 

嵐。荒れ狂う風。木々はなぎ倒され、川は波を立てている。その場に立っていることさせ、力を入れなければ難しい状況下で、前方で繰り広げられる戦いに刮目していた。

 

「グルルルル……」

 

奴を発見した時に、直ぐに身を隠す。

奇襲をかけるためではない、ナルガクルガともう一体、謎の巨大なモンスターと対峙していたからだ。その付近には今回のクエスト内容にあった二つ名モンスターであるジンオウガが倒れていた。

 

「ガァァ!!」

 

ナルガクルガはにらみ合いの末に、謎のモンスターにとびかかるが、奴に近づいた瞬間、減速し、いとも簡単に吹き飛ばされる。されど、体を捻らせて受け身をとり体制を立て直した。お返しと言わんばかりに尻尾地面に叩きつけ、そこから生じる風の大砲を奴に向けて放つ。だが、それも奴に近づくにつれて失速し、遂には霧散していった。

 

「……。」

 

雄たけびも上げることなく、少しの溜めも無く。圧倒的なブレスをはいた。その威力は先刻のナルガクルガhが放った大砲と比べれられないほど、その速度と破壊力で、ナルガクルガは避けることも叶わず、クリーンヒットし、岩に叩きつけれて絶命した。

 

 

なんだよ……あれ!

 

 

如何にナルガクルガが俺達との戦闘で弱っていたとしても、あれほど圧倒的なものなのか。加えて言えばジンオウガも近くてくたばっていた。それも、奴の仕業なのだろうか。奴が纏う風の衣と、奴がいるこのエリアで起こる異常な嵐。この狩場にきて感じた異常は、眼前のモンスターによって引き起こされていたのだ。

 

サーシャに手でサインを送り、ベースキャンプに戻ろうとした時だった。奴は俺に眼光を向けた。その瞳からはまるで呪縛の様に目を離すことができず、固まってしまう。

 

一体、何秒、何分見つめあっていたのだろうか。突如として、奴は溜をつくって――ブレスをはいた。体は硬直し、動けない。頭では分かっている。あれはやばいと。

 

動け、動け、避けろ、動け。

 

幾ら体に指示を出しても、体は動こうとしなかった。あのブレスがもう近づいてくる。死を悟ると同時に、横から衝撃が伝わり、奴のブレスの中心からはずれ、その余波で吹っ飛ばされる。

 

俺に体当たりでブレスの中心から外してくれたサーシャは仲良く吹っ飛ばされ、もみくちゃにされながらも、即座に立ち上がり、俺をかばう様にして前に立つ。

 

「ハチマン…!」

 

「だ、大丈夫だ」

 

「でも、目が酷い」

 

「それはいつも酷いから大丈夫」

 

「くる……!」

 

サーシャの一言で、俺はとりあえず、右後方に向かって遮二無二に走る。

豪音が聞こえてきたと同時に後方を見据えれば地面がめくり返り、奴の爪痕が残れていた。

 

ただ飛び込んできただけ。たたそこに存在しているだけ。それだけで、天変地異を起こすモンスターは総称として『古龍』と呼ばれる。その生態は不明であり、各個体の情報はブラックボックスであることが多い。

俺達が対峙しているこのモンスターはその中の一体。今の俺では一発食らえば意識を失ってしまうだろう。

 

細心の注意をはらい、どんな攻撃も避けるために見ていると、奴は初めて雄たけびをあげる。

 

「キュオォォォォォォ」

 

その雄たけびに対して、本能的に耳を塞いでしゃがみ込んでしまう。硬直状態にあった俺に向かって、奴は再度突進をしてくる。

サーシャは少しでも気をそらそうと拡散弾をばらまいているが、奴は知るかと言わんばかりに突っ込んできた。

 

今度こそ、本当にやばい。

突進してくる奴に対して直撃だけは避けようと硬直した体で脳内でシュミレートしていたが、それは無駄になる。

 

「キュオ……」

 

突如、奴は苦悶した鳴き声あげて、突進が止まる。

何事かと目を凝らせは奴の近くに一つの人影があった。

 

赤髪をはためかせて、握るその宝剣は奴の体を切り裂いていく。高速の剣技を魅せつけた後、彼はその場から退避し、俺の方まで走ってくる。

 

「やあ、大丈夫かい」

 

「おかげさまで。どうして此処にいるんですかって聞くのは野暮ですかね」

 

「いいや、答えよう。スバルの助言によって、友である君を助けるために此処にきた」

 

「だからスバルって誰だよでもありがとうございます神様スバル様」

 

「御礼は帰ってから直接言えばいいさ。さて、無駄話もこのくらいにしないと、彼もそろそろ動き出す」

 

 

ラインハルト・ヴァン・アストレア。ハンターとしての二つ名、「古龍殺し」は太刀を下段に構えた。


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