Re:ゼロからはじめる俺のハンター生活は間違っているのだろうか 作:名無し@777
ラギアクルス!狩ることが出来ました!!
はい、拍手。
ごめんなさい。調子に乗りましたお許しを。
これでやっと次に進めます……!
人々が世話しなく蠢く街道に男二人が見詰め合ってる。この文面だけみれば気色悪いと思うだろう。だが、生憎、見詰め合う二人に流れている空気は重い。
「……御主は我と似ている。だからこそ疑問に思うだろう。何故『死神』を信頼しているのかと」
「……ああ」
「我にとって己自身を除けば一番信頼における。何故か、それは、死神は『強い』からだ」
「ふん……。『死神』なんて奴が本当に強いとは限らないだろう。噂は所詮噂に過ぎん。実力がある者を慕うなら上位ハンターの誰でもいいだろうが」
「そうであろうな。噂の事などどうでも良いの だ。我が『死神』の強さを感じるのは、実力ではなく、狩りの姿勢だ」
「あ?」
「八幡はソロで狩猟をするハンターをどう思う?」
単独で狩をするもの。ソロハンターは数は少ないものの存在する。
メリットとしては他者との連携を気にする必要性がない。自身の好きなタイミングで行動を起こす事が出来る。なにより報酬が全て自分の懐に入るのが大きい。
以上のような幾つかの魅力的なメリットはあるが、集団での狩猟と比べればデメリットの方が確実に高い。
単純に狩りの危険性や成功率が違うのだ。
複数のモンスター同時にを狩る場合に、敵の攻撃を捌き切れなかったら一度で窮地に立たされてしまう。死んでしまう可能性もあるし、死ぬことはなくても後遺症が残るほどの怪我をする事だってある。
だが、仲間がいれば違う。
攻撃を受ければ援護射撃が飛んでくる。
攻撃する手数が違えば与えられるダメージの量も大きく違う。それはつまり、死の危険性を低め、クエストの成功率を高める。
『アベクター』が良い例だろう。
彼奴は皆実力者であるとはお世辞にも言えないが、自分の短所を皆が補い、自分の長所で皆を補っている。
全てが上手いように填まっているのはブレイン役である葉山隼人が優秀であるからという点もあるがそれを抜きにしても集団で狩る事がどれ程のメリットがあるのかを現している。
難易度が高いクエストになればなるほどその落差はは如実に現れてくるだろう。
結論、『普通に』考えればソロは非効率であると言わざる得ない。
「ソロはコミュ力が皆無の馬鹿な奴等だろ」
ブーメラン? んなことはとっくに知ってる。綺麗に受け止めてやるよ。
「ぐおふぅっ……! ま、まあ、それも確かにあるだろう。しかし、コミュ力が皆無であれ、掲示板に募集をかければ良いだけではないか?」
「……ふむ」
結局は狩りをするうえでコミュニケーションをとらねばならないとはいえ、確かに腕さえあれば文句を言う奴等は少ない。仲良しこよしでパーティを組んでいる分けではないのだ。クエストが成功さえすればいい。
「『死神』ほどのレベルが受けるクエストならば集団で狩をするのが鉄則のようなものだ。しかし、それでもなお、ソロで狩をする者にはきっとそれ相応の理由があると思っている。
我はその強き意志を信頼しておるのだ。
強き信念を持ち、ソロハンターで下位クラスにも関わらず二つ名を持つハンターは『死神』を他におらぬ」
材木座の言葉に今までの苦行が思い出される。
何度も死ぬかもしれないと思った、数え切れないほど苦い思いをした。
だか───
「だから我は彼のようになりたいと強く思う、そして、己の目標であるからこそ信頼しているのだ」
───俺は別に強い意志など持っていない。
ただ、技量を高め、金がいるからソロで狩るまでだ。
それに使用武器、スタイル共にソロ向きなのだから、おかしくはない。崇高な意思をもってソロで狩猟している訳ではないのだ。
要はこの男、材木座義輝は『死神』というハンターを勝手に美化し崇めている。
きっと、俺が死神だと言えば失望するだろう。罵倒されるかもしれない。
だから嫌なのだ。
勝手に期待して、勝手に裏切られた気持ちになる、こんな奴等を俺は、自身含めて嫌悪する。
「……馬鹿が」
「なんだと?」
「あのな、お前が言っている事は全て間違っている。勘違いしてるんだ。いいか、『死神』と呼ばれるハンターは───」
材木座に現実を教えるため、決して口外した事がない真実を吐露する。しかし、俺の声に被せるように前方から声を投げ掛けられた。
「あーーーーっ!この前の変な人とファンさんだ!!」
此方にばいんばいんと女性特有の膨らんた部分を大きく揺らして走ってくる。
走り方といい、醸し出されている雰囲気もまさしくビッチ。
「なんか変な男が見詰めあってて気持ち悪いな~って、思ってたら君達だったんだねっ」
「黙れビッチ。気持ち悪くない。むしろ勝手にあらぬ方向に想像するお前の方が気持ち悪いわ」
「ビッチじゃないし! ちょっと友達の影響を受けただけというか……。ってか、なんなのその態度! さっきと全然違くない!?」
「知るか。つか、お前誰だよ。あの場に居たからって全ての奴がお前を見ている思うなよこのビッチが」
「またビッチって言った! まじありえないし! 私、葉山くんと優美子と一緒にいたじゃん!」
「あ?」
葉山と優美子と言えば『アベクター』のメンバーであり、先程まで材木座が揉め事を起こしていた相手だ。
「お前、本当に誰だよ」
「逆に本当に知らないんだ……。まぁいいや、私は」
肩に下げている遠距離武器の一つ、火竜の燐を使用したライトボウガンを手に持ち、言葉を続ける。
「改めまして、『アベクター』の新メンバー、ガンナーの由比ヶ浜 結衣ですっ。 よろしく、ファンさん!」
彼女、由比ヶ浜 優衣はそういって向日葵の様に微笑んだ。