奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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とりあえず、試合内容は全部書けました。
ちょっと、ワンパターンでしょうか?


第18話「ぶつかり合い」

「いきなり強烈なのをお見舞いしてくれるじゃない!」

 

「……!」

 

 試合開始直後に牽制の一発を彼女は何事もなかったかのように私目掛けて突っ込んで来た。

 私はそれを見て、迂回するように彼女の死角に回り込もうとした。

 

 外しましたか……

 

 試合開始と共に放った一発は外れた。

 これはセシリアさんの時もそうであったが、最近多い。

 更識さんの時に当たったのは彼女が避ける必要がなく、一夏さんの時はまさか突っ込んでくるとは思わなかった。

 

 やはり、代表候補生は侮れないですね……

 

 セシリアさんもそうであるが、代表候補生は何だかんだで勝負の駆け引きを理解している。

 やはり、初撃を避けるのは流石だとしか言えない。

 現在の相手である鈴さんは私の攻撃を初めて見たかもしれないのに避けた。

 ただもしかすると、彼女は私のこの前の試合の情報を調べたのかもしれない。

 鈴さんの今までのガサツな性格から考えられないことではあるが、それが当たりだとしたらそれはそれで脅威だ。

 

 ですが、セシリアさんにあった隙がないことからすると……

 

 だが、私はそれよりも逆に脅威に感じている推測がもう一つある。

 それは彼女が前情報なしで避けた可能性から考えられる彼女の反射神経だ。

 反射神経に関しては一夏さんもすごかったが、彼女の場合は彼以上の可能性がある。

 なぜならば、一夏さんはセシリアさんと私の試合を見て、ある程度私の戦術を知っていたので対策を取れていたが、鈴さんは情報による優位性なしで私に隙を見せずに攻めて来ている可能性があるからだ。

 そうなると、情報ありでこの状態よりも情報なしでこの状態の方が厄介だ。

 もちろん、彼女が私の試合を見た可能性も否めないが。

 

 少し、確かめてみますか……

 

 私は自分の考えた二つの推測の内、どちらが正しいかを測るためにあえて、鈴さんの右側に連装砲の照準を合わせた。

 そして、そのまま砲撃した。

 

「おっと……!」

 

「……!」

 

 すると、彼女は私の予想通りにそれを最小限の動きで避けた。

 普通ならば、今のはもっと遅く避けるか、先にあえて無駄な動きを付ける。

 と言うことは彼女は殆ど無意識のうちに最善の動きを出している。

 

 なるほど……いわゆる天才と言うやつですか……

 

 私の出した推測のうち、彼女は後者だった。

 しかし、ある意味これはやりやすいのかもしれない。

 彼女のような人間は強いには強いが、頭で考えるよりも先に身体が勝手に動いて最善手を打ってしまう。

 つまり、読み易いと言うことだ。

 将棋でもそうだが、最善手ばかり打って来る相手と言うのは誘導しやすい。

 ただその場合は気を抜けないのだが。

 ならば、次の手は決まった。

 

「……っ!」

 

 私は単装砲を向けて彼女に撃った。

 そして、間を置くことなく、今度は連装砲を撃ち、そして、今度は連装砲から再び砲撃した。

 こうすることで彼女の移動を妨げ、尚且つ私の真意を悟らせないためだ。

 

「連続攻撃?

 ちょっと、これは避けるのに苦労するわね!」

 

「……!」

 

 その連撃を彼女は全て回避した。

 普通ならば、一発ぐらい当たるはずだ。

 彼女の回避能力と反射神経には驚かされる。

 彼女自身の才能もあるとは思うが、相当な訓練を積んでいることが理解できる。

 だが

 

 もらいました……!

 

「……っ!?」

 

 彼女の方向転換を妨げ、砲撃で誘導したことで私は彼女の背後に回り込むことに成功した。

 どれだけ優れた動体視力を持っていようとも見えない所からの攻撃は誰も避けれない。

 元々、私が迂回しようとしていたのはこのためだ。

 そのまま、雷撃をしようとしたその時だった。

 

―ボコッ!―

 

「っ!?」

 

 鈴さんが前を向いていて、彼女の機体に何の変化もないのに関わらず、突然私の身体をまるで目に見えない拳のような衝撃が襲い、私は吹き飛ばされた。

 「IS」における戦闘において、初めての先制攻撃を受けた。

 

 

 

「な、何が起きたんだ……?」

 

 試合開始と同時に雪風の先制攻撃を見た後にそれを避けた鈴に俺は驚いたが、その後の雪風が突っ込んで来た鈴に対して弧を描く様にして移動しながらの連続攻撃を鈴に浴びせて、それが鈴の背後を取るための一手だと理解して、今度は雪風に驚かされたが、その直後に雪風が突然吹き飛んだことに俺は戸惑いを覚えた。

 

 あの雪風が……先手を喰らった……?

 

 俺の戸惑いの理由はただそれだけだった。

 たったそれだけだ。

 なのにたったそれだけのことが俺には信じられなかった。

 

「雪風さんが先手を取られた……?」

 

 隣からセシリアが動揺の言葉を漏らした。

 セシリアも鈴と同じように雪風の最初の一撃は避けた。

 恐らく、俺だったら初見であれは避けられない。

 しかし、セシリアと鈴の違いはその後の展開だ。

 鈴はその後の雪風の連続攻撃を全てかわしている。

 もちろん、セシリアと鈴の戦い方が違うことも関係していると思うが、それでも雪風の攻撃を全てかわした事に俺どころか、あのプライドの高いセシリアさえも驚きを隠せない。

 多分、俺たちが挑んでもあれは殆どかわせない。

 さらには鈴が俺たちが出来なかった雪風に先手を与えると言うことをしたのだ。

 驚くしかなかった。

 

「あれはなんだ……?」

 

 俺たちほどではないが、箒も驚き雪風が食らった攻撃の正体が気になったようだ。

 箒が俺たちより動揺していないのはやはり、実際に雪風と戦っていないのが大きいのだろう。

 

「あれは恐らく……「衝撃砲」ですわ」

 

 そんな箒の問に答えたのはセシリアだった。

 

「「……「衝撃砲」?」」

 

 セシリアの口から出た聞き慣れない単語に俺と箒は首を傾げた。

 

 

 

 雪風ちゃんが先手を奪われるとはね……

 

 初戦は意外な形になった。

 今までの雪風ちゃんの試合の中ではいつも先手は雪風ちゃんが取っていたが、今回の試合で初めて雪風ちゃんが先手を取られたのだ。

 

「お嬢様、あれは……」

 

 虚ちゃんは多少、驚いているようだが、何が起きたのかは理解しているらしい。

 

「ええ、あれが例の「衝撃砲」らしいわね」

 

 鈴音ちゃんの放った見えない攻撃。

 それは空間そのものに圧力をかけて、その衝撃をぶつけるものだ。

 つまり、水鉄砲の空気版に等しいものだ。

 ある意味、あれは私の「霧纏いの淑女」の水のヴェールと同じ実現できたら単純に強い機構だろう。

 セシリアちゃんの「ブルー・ティアーズ」のように人工物を使った兵装ではなく、あくまでも自然に存在する物質や物理現象を利用したものだ。

 

「これは割と雪風ちゃんにとっての天敵(・・)になるわね」

 

 今の「衝撃砲」と鈴音ちゃんの戦闘スタイルを見て私は雪風ちゃんの苦戦を予感した。

 

 

 

「ほらっ!今度はこっちの番よ!」

 

「くっ……!」

 

 先程の見えない一撃を受けて流れを取られたことを理解した私は即座に距離を取ろうとするが、彼女は当然のようにその隙を見逃さずすぐに身体を反転して追撃を仕掛けて来た。

 私はそれを目にして

 

 ここは後ろ(・・)に逃げるよりも―――

 

「……!正気?」

 

 ()に向かうのみです!

 

 彼女に向かって突撃を仕掛けた。

 戦いにおいては逃げながら戦うのはとても困難なことだ。背中を見せれば完全にあちらに主導権を握られる。

 ならば、あえて衝突覚悟で彼女の真正面から向かうだけだ。

 何よりも、先ほどの攻撃の正体をこの目で確かめない限りは対策が取れない。

 故にこれから見極める必要がある。

 

「面白いじゃない!!」

 

 私の突撃を見て彼女もまたニヤリとと笑いながら接近してきた。

 奇しくも今の形は反航戦に近かった。

 

 反航戦の分かれ目は度胸の大きさです……!

 

 私は突撃しながら連装砲を構えた。

 彼女に少しでも緊張感を与えてこちらがこの状況を制するためだ。

 そして、砲撃しようとしたその時だった。

 

 あの表情は……

 

 一瞬のことだった。

 一瞬のことではあったが、私は彼女の表情にある違和感を感じた。

 それを見た私は

 

「……っ!」

 

 身体を少し、中央から右にずらして彼女の右側を砲撃した。

 次の瞬間だった。

 

―ブオッ!―

 

「……ぐ!」

 

「嘘……?今のを避けたの!?」

 

 私のいた位置を「何か」が横切った感覚がした。

 それはまるで「風」が殴ってきたようなものだった。

 

 なるほど、これが先ほどの攻撃の正体ですか……

 

 どうやら彼女の「IS」は空気ないしは「圧力」に関係する機構を保持しているらしい。

 正体を把握したとはいえ、これは厄介だ。

 今までのことから理解できるが、彼女の例の攻撃は私の砲撃と違って、「構え」を必要としない。

 むしろ、あれは正確さよりも突撃支援や死角を補うためのものだ。

 

 ただ、正体が解ればこっちのものです!

 

 幸い、先ほどの攻撃はそう言う戦術から保険(・・)で放った砲撃で射線が外れて避けることができた。

 さらにそれに加えて、身を以って理解したことだが砲撃の威力はこちらの方が上だ。

 反航戦についても未だに五分五分だ。

 

 肉を切らせて骨を断つのみです!!

 

 私は彼女に接近すると同時に長期戦になっても競り勝てるように雷撃した。

 雷撃と砲撃ならば、雷撃の方が上だ。

 仮にこの際にあちらの例の攻撃を喰らってもこちらよりもあちらの方が被害が大きい。

 さらに雷撃の威力は暫くの怯みを与える。

 そこに砲撃を加える好機も得られる。

 

―ボンっ―

 

「……?!」

 

 突然、鈴さんの前で私の放った魚雷に異常が生じた。

 そして、その直後

 

―ドーンっ!!―

 

「なっ!?」

 

 魚雷は標的に当たるよりも先に勝手に爆発した。

 魚雷は爆炎と煙を周辺にまき散らして誤爆したのだ。

 それはまるで

 

 これはあの時と……!

 

 更識さんとの勝負が決まった時と同じであった。

 それを理解した時だった。

 

「はあああああああああああああああ!!」

 

 偃月刀を今こそ薙ぎ払うかのように構えた彼女が煙の中から現れた。

 彼女の偃月刀が今こそ私の胴に当たろうとしたのを見て私は

 

―ガキィン!―

 

「グッ……!!」

 

「ちっ……!!」

 

 既に展開していた錨の柄の部分で受け止めた。

 その時、私は焦りの表情を、彼女は悔しそうな表情を浮かべた。

 そのまま私は偃月刀を受け止めたまま彼女に左手の砲口を向けた。

 

―ドゴーン!―

 

「おっと……!」

 

 私が至近距離から放った砲撃を彼女は難無く避けた。

 私はさらに追撃として、両手で連続砲撃をしたがやはり彼女には当たらなかった。

 

「やるじゃない、アンタ」 

 

 ある程度、避け終わり再び距離を置くと彼女は私に向かってそう言った。

 

「お生憎、こう言ったことは初めてじゃありませんので」

 

 私がすぐに彼女の反撃に対応できたのは更識さんのとの戦いにおける経験から来るものだ。

 あの経験がなかったら危険だった。

 

 動きは読み易いですが……

 これは不味いですね……

 

 一連の流れを見て私は鈴さんの戦術に脅威を感じた。

 彼女は直情的で動作やしぐさを、目線を見ればすぐに攻撃のタイミングを読めるほど分かり易い。

 さらには牽制をすれば、簡単にこちらの思う通りになる。

 だが、その弱点を補うかの如く「例の機構」がその穴を埋める。

 最初の一撃と「IS」の性質上から考えられることだが、「例の機構」には恐らく死角がないのだろう。

 ゆえにある程度の距離における迎撃能力は高い。

 また、私の雷撃を迎撃したことを考えると、()だけではなく()にも対応できるのだろう。

 つまりは三式弾と徹甲弾の双方の切り換えができるようなものだ。

 

 こちらの攻め手を殆ど奪われたようなものですね

 

 砲雷撃戦は殆ど封じられたにも等しい。

 白兵戦はあちらの方に一日の長がある。

 彼女は直情的であるが、機体の性能がそれを武器に変えている。

 しかも、彼女本人の反射神経と無駄のない動きもあって最高の相性だ。

 

 見事な組み合わせですね……お見事です……

 

 彼女は余計な考えを捨てて戦っている。

 それは決して、闇雲に戦っていることを意味しているのではなく、彼女は無意識のうちに最善の戦い方をしているのだ。

 それが私の手のひらの上であってもだ。

 だが、彼女はまさに炎だ。

 ゆえに私が火傷を負う。

 

 ですが、私も負けるつもりはありませんよ?

 

 明らかに不利な状況なのに私は心のどこかでこの状況を楽しんでいた。

 それに加えて私は

 

 一か八かです!!

 

 今から賭けに出ることに高揚感を感じてもいた。

 

 

 

「くっ、中々当たらないわねぇ」

 

 先程のぶつかり合いの後に距離を取ってから、私たちは互いに移動しながらの砲撃を繰り広げているが、お互いに外し合っている。

 だが、これはただの外し合いではない。

 

 こっちは見てからの判断と言うのに……あっちは完全に予測しながらやってるわね……

 

 私は持ち前の反射神経で避けているが、雪風は見えない私の砲撃を避けている。

 つまりはどこに来るかを理解していると言うことだ。

 

『はあ~……

 仕方ありません。

 あなたの場合、下手に考えるよりも思うがままに戦った方がいいのかもしれません』

 

 先生の呆れ半分の一応の褒め言葉が私の脳裏に蘇ってきた。

 

 くぅ~……先生に一応のお墨付きの才能が裏目に出るとは……!

 

 先生は最初、試合における「読み合い」を教えようとしたが、それを実行した途端に明らかに私が不調子気味になったことで私は今の戦闘スタイルを特化することになった。

 しかし、先生はその後に『妥協は許しませんよ?』と言って地獄の訓練を課したが。

 

 こっちが前に出ようとするとすかさず、砲撃で防ぐし……

 やっぱり、さっきのを決められなかったのは痛いわね……

 

 唯一、試合を決めにかかるチャンスを逃したことに私は後悔している。

 これでは千日手だ。

 

 やっぱり、伊達じゃないわね……!

 

 私は雪風の実力を実際に戦ってみて感じてみたが、一瞬でも気を抜いたら負けることを感じていると共に心の底から彼女を強いと思ってしまった。

 

 仕方ない……持久力には自信があるし、この際時間切れを狙うわ

 

 どうしても決定打を与えられないことに私はもどかしさを感じつつ、卑怯だとは理解してはいるが私はあっちのエネルギー切れを狙った。

 幸い、最初の不意打ちのおかげでシールドエネルギー残量はこっちの方が上だ。

 それに先生との訓練の影響で長期戦は別段苦ではない。

 このままならば、私の勝利だ。

 

 ただ、油断はできないわね……

 

 長期戦を続ければどうなるかなど、当然雪風は理解できているはずだ。

 必ず彼女は攻勢に出てくるはずだ。

 それは最初の雪風の戦い方を見ていれば解ることだ。

 

 でも、その時こそこっちのチャンスでもあるわ

 

 私の最初の一発は雪風が攻めて来たことでできたことだ。

 つまり、たとえ雪風であろうと攻めになれば隙が生じると言うことだ。

 

『いいですか、鈴音さん。

 「攻め」と言うのは隙を生むことでもあります。

 気をつけると同時にその機を逃がさないようにしなさい』

 

 私に頭脳戦が無理と判断しながらも先生はそう言った肝心なことだけは確りと教えてくれた。

 ならば、私はそれだけを実行するのみだ。

 私が待ち構えていた時だった。

 

 ……!いきなり来るとはね……

 

 雪風は私が考えるよりも圧倒的に早く攻めて来た。

 彼女は先ほどと同じように真正面から攻めて来た。

 また彼女は「逆落とし」を仕掛けて来るようだ。

 しかし、一度防がれた攻撃を雪風が性懲りもなくやってくるとは思えない。

 

 何かあるわね……

 

 必ず彼女は何かしらの秘策を用意しているはずだ。

 それぐらい考えなくても理解できる。

 

 まあ、関係ないわ……

 

 だが、それが解っていても私は焦りも恐怖も感じない。

 

 どんな手で来ても正面から叩き潰すだけよ!!

 

 雪風がどのような手を打ってきても私はいつもの様に迎え撃つだけだ。

 私は再び、激突覚悟の正面突撃を敢行した。

 そして、そのままさっきと同じようにお互いに砲撃をした矢先だった。

 

「はあっ!!」

 

「……!?」

 

 雪風はそれを狙っていたかのように筒状の何かを私に向かって投げかけて来た。

 そして、それは

 

―バっ―

 

「……っ!?」

 

 空中で分解して四つの缶詰状のものとなった。

 私はそれを見た瞬間、有無を言わさずに龍砲の散弾モードで撃ち放った。

 そして、それらは

 

―ドガーン!―

 

「くっ……!やっぱり……!」

 

 それらは衝撃によって爆発した。

 やはり、あれらはグレネードだったらしい。

 

「でも、甘かったわね……!!」

 

 私はグレネードの黒煙で見えなくなった雪風の方を向きながら龍砲を構えた。

 

その手(・・・)は私でも解るわ!!」

 

 そのまま散弾モードで煙の中から出て来た彼女のロケット弾を撃ち落とした。

 どうやら、今回の彼女はグレネードで私の注意を惹きつつ、その煙と爆炎で視界を奪って「逆落とし」をして来ようとしたのだろう。

 私は彼女の攻め手を防いだことに偃月刀を構えながら煙の奥にいるであろう雪風に向かって近づこうとした。

 

「……ん?」

 

 私は妙な気配を感じた。

 その直後だった。

 

「はあっ!!」

 

「なっ!?」

 

 煙の中から突如、雪風が現れた。

 彼女の手を見てみると彼女は素手だった。

 そして、彼女は私が切り伏せようとするよりも先に私に肉薄した。

 

―ガシッ!!―

 

「ぐふっ!?」

 

 彼女は両腕を私の脇下に回して挟み込み、そのまま前のめりになって加速しながら前進した。

 私はその衝撃で思わず、集中力を失った。

 だが、次のことで私は嫌でも判断力を戻された。

 

―ズダダダダダダダダダダダダダダダダダ―

 

「こ、このぉ……!!」

 

 彼女の肩部と背部から機銃みたいなものが出てきてそれらが一斉に射撃を開始した。

 このままでは私のシールドエネルギーは大幅に削られる。

 私は彼女のホールドから逃れようとしたが、速度の影響と彼女の腕の位置で偃月刀のリーチの長さが災いして使えず抜け出せなかった。

 

 こうなりゃ、龍砲で……!!

 

 私は自分も不時着するのを覚悟で龍砲で彼女を至近距離で砲撃しようした。

 その時だった。

 

「……え?」

 

 突如、私は視界が逆転した気がした。

 

「ちょっ!?アンタ、まさか―――!?」

 

 私はその理由が雪風が宙返りをしているからだと言うことに気づいた。

 彼女は私を抱えながら高速度で宙返りをしているのだ。

 私は襲い掛かるGによる圧迫感を感じるとともに雪風が何をしようとしているのかを気付いた。

 そして、それは

 

「はあっ!!!」

 

「て、きゃああああああああああああああああああ!!?」

 

 正解だったらしく、突如として私を浮遊感と落下感が襲った。

 彼女は加速しながら私を抱えて機銃で射撃しつつエネルギーを削って、その後十分に速度が上がったと見て宙返りをしてそこに遠心力を加えて私を地面に向かって投げつけたのだ。

 当然ながら私は制御を失ってその勢いで

 

「がふっ!!?」

 

 地面に墜落して激突してしまった。

 

「痛ぅ……」

 

 あまりの衝撃に私は目を閉じてしまった。

 だが、それが失敗だった。

 

「あ」

 

 なぜならば、私が体勢を立て直すために目を開けた瞬間、ロケット弾が回避も迎撃もできない地点に来ていたからだ。

 そして、そのまま

 

―ドガーン!!―

 

―試合終了。勝者 陽知 雪風―

 

 それが決め手となって私は敗北した。




ワンパターンと言いましたよね?……あれは嘘です。

ただちょっと、最後ギャグぽかった気がします。
しかし、あれを初見で受けたら鈴の反応になると思います。

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