大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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刹那「地球のあ号標的と相互理解するチャンスをくれ!」
夕呼せんせー「無理よ。っていうか自爆したんでしょ月のは、それともあれと共存しろって言う気?」
刹那「そうか・・・これも世界の歪みか・・・」
夕呼せんせー「人の話聞いてんの!?」
刹那「俺は・・・諦めない・・俺は、ガンダムだ!」
夕呼せんせー「はぁ?」
クロウ「そうか、やはりな。」
ティエリア「それが君の答えなんだな、刹那。」
ロックオン「それでいい、刹那。お前は変われ。」
アレルヤ「それが世界のあるべき姿なら・・」
夕呼せんせー「・・・・ついてけないわ・・・」


さすが刹那、略してさす刹


第7話 ソレスタル・ビーイング

息が荒い。

今まで訓練は積んできた、必死になって体力でも衛士としても皆についてこれるように。

負けないように突然、飛ばされていたこの世界で必死になって喰らい付いてきた。

その甲斐もあってシミュレーターでは一人前の衛士だと思ってた。

けど、現実は違った。

死の8分

なんでそう呼ばれてるのか、初陣で初めてわかる。

新任は死の恐怖に押しつぶされて普段の実力の半分も出せずにやられていく。

遠くに広がる光景、圧倒的な数のBETAで文字どおり大地が埋まっている。

腐った汁をぶちまけた染みがこちらに向かってくるようなおぞましい感覚。

砲撃もやった、第一線で防御もした。

それだけの事をして尚、この数の暴力。

(純夏、俺はもうここまでかもしれない・・・・)

恐怖でレバーを握る手が震える。死の予感

『白銀、まだ接敵すらしていないのにそんなに力むと辛いぞ。』

そう言ってくれるのは速瀬 水月中尉

だが彼女とて知っているのだ新型 BETAの事を・・・

そんな時にCPの涼宮 遙中尉から通信が入る

『前線の戦術機へ、援護射撃が来ます!指定区域にいる機体は注意!』

(援護射撃?まだ予備の自走砲でも残ってたのか?)

そして次の瞬間、遠くにいたBETAの群れに光の雨が降りそそいだ。

「な!何が!?」

通信にざわめきが入ると、聞きなれない女性の声が通信に割り込んできた。

『こちらはソレスタルビーイング。これより国連軍の援護に回ります!』

そして見た、上空をビームを放ちながら凄まじい機動でBETAの群れの方へ突っ込んでいく4機の戦術機を・・・

『おい、坊主!そっから離れな!チィットばかし危なくなるからよ!』

軽妙そうな声が通信に入ると上空から飛んできた凄まじい威力の弾丸で今まで視界を埋めていた要撃級が30匹ほどまとめて吹き飛んだ。

『リ・ブラスタT、武力介入するぜ!』

『何?この戦術機?』

『米軍の新型?』

『嘘でしょ・・・要塞級があんなに簡単に・・・』

目の前の光景は信じがたいものだった・・・

 

・・・・

大気圏上空 プトレマイオス2

「トレミーを降下コースに!ラッセ、アンチビーム爆雷を針路上に射出。

レーザー照射に注意して!アニュー、照射を受けたらトランザムで加速。

その後は GNフィールド最大で一気にヨコハマ地区に降下します!」

「了解!操舵をこちらに!強行突破します。」

「アイよ!全く、繊細なんだか強引なんだか!」

 

「モビルスーツ隊は全機、カタパルトデッキで待機です!

高度300で発進、ヨコハマ基地に襲来したBETAを駆逐するです!」

 

「現在、ヨコハマ基地は防戦中ですが損害状況は既に2割に到達。」

「まずいわね、損害の度合いが予想より早いわ・・・

おまけに彼らの通信や索敵をGN粒子で阻害するわけにはいかない・・・

ミレイナ、ヨコハマ基地とは通信は繋がった?」

「ダメです!通信が混雑してて、こちらからの通信が繋がらないです!」

「ああもう!連携もなしにぶっつけ本番で武力介入なんて破界事変以来ね!」

そう言うとスメラギは日本地区の地図をデータから引っ張り出す。

「ティエリア!GN粒子の拡散具合を日本の地形と照合して計算して!

GN粒子が彼らの無線を阻害しないギリギリのタイミングを割り出すのよ!」

「了解!・・・・計算した!ヨコハマ基地から向かって異種の出現地点の5kmの場所なら迎撃に最適だとヴェーダは判断した!」

地図上にガンダムの迎撃地点が表示される。

「わかったわ!ガンダム4機はその地点からBETAを殲滅して!クロウはヨコハマ基地に急行!

速やかにヨコハマ基地に到達したBETAを殲滅して!

ガンダムの GNドライブが無線に影響を与えるまでは作戦開始から8分と推定。

8分以内にBETAを殲滅できなければ私たちの戦略負けよ!」

 

「相変わらず無茶な作戦だな。4万のインベーダーもどきを8分以内に殲滅しろとは。」

クロウがぼやく、だがその目は無茶だとは思っていても無理だとは思っていない。

今までもそうだった バアルの群れを速やかに殲滅しろ。

Z-Blueだろうが連邦だろうが大して変わらない異種への対処方法。

「一人平均8000匹・・いや、この地球のなんつったけか?

MSみたいなのが大抵は受け持ってくれるんなら半分も退治すりゃいいだけだ。

楽勝だろ?」

ロックオンの言うことは正しい。

どんなに大きくともせいぜい60m級のバアル。

それを、たかだか4000匹程度も片付けられないようでは

今までの戦いを生き延びられるはずもなかった。

(今回ばかりはソレスタルビーイングも目立たないかもな・・・ま、それに越したことはないが・・)

クロウにはガンダムが活躍する世界は不幸だという思いがある。

戦争があるからガンダムは戦う、

ガンダムは歴史に埋もれる方が良い。

ガンダムが記憶の彼方に追いやられる時代の方が幸せなのだ。

クロウの予想は不幸にして外れることになる。

黒の地球はこの日、異星からの御使い。

火の文明の産物。

ガンを冠する力。

ガンダムを知ることになる。

 

大気圏に突入したトレミーは早くも予想通り、地上からのレーザー種による対空迎撃を受けることになる。

『右舷GNフィールドに命中!フィールド保持率98%』

ミレイナの報告によれば一発の威力自体は大したことはない。

だが連続して照射されれば・・・

 

その時、地上に展開していた重光線級はあらかじめ指定された高度より下に『物体』が

降下してくるのを見た。

巨大な瞳がもたらす驚異的な解像度はそれを目標と認識、速やかに照射を開始した。

「GNフィールドを展開!」

「GNフィールド、安定してますです!シールド損耗率も許容範囲内!」

「ラッセ!アンチビーム爆雷発射!少しでもレーザー攻撃を逸らして!

アニュー!トランザム最大加速!ガンダムの到達時間を少しでも稼いで!」

それまでは迂闊にも飛び上がったり、山の上から視界内に入った戦術機を照射していた光線級もいくら照射しても今までの目標のように消えないトレミーを遂に補足。

重光線級に加えて光線級も照射に加わる。

だが・・・・

『黙って撃たれっぱなしになってやるほど、俺は甘くねぇんだよ!』

ラッセがそう言いながらGNキャノン、GNミサイルで応戦を開始する。

 

 

 

『分かっている・・・対話が出来ないのなら

俺が!俺たちがこの星の明日を切り開く!

クアンタの力を全て使う!』

そう言うと刹那の00が形質を変える

機体の背部から発せられるGN粒子がまるで淡い色のベールを纏ったようになり、

その機体構造自体も変化していく。

真化融合のその先、全ての生命がお互いを認め合い分かち合い

宇宙へと広がっていくイメージを体現する者。

『草花も兵器に宿る。マリナ・イスマイール、俺はこの星の為に戦う!』

それは本来は対話のための力、だが今だけは人に仇なすバアルを討つための力。

『刹那・F・セイエイ。ELSクアンタ、出る!』

 

『脳量子波による対話が失敗した以上、バアルでしかない。

いつかは対話も成し遂げられるかもしれない・・・だが今は。

ティエリア・アーデ。ラファエル、出る!』

 

『僕たちにできることをやる!この星の人々の為に!だからハレルヤ!』

『わかってらぁ!チマチマやってる暇はねぇ!

トランザムでブワァーッと行ってサッサと片付けるぜ!』

『姿勢制御はこちらに!全速を出せ!』

『アレルヤ・ハプティズム。ハルート、出ます!』

 

『半分を受け持って2万、一人が1分に500匹。やってやれない事はないさ!

ロックオン・ストラトス。サバーニャ、出るぜ。』

 

『人を襲う化け物なら遠慮はいらねぇな。

スメラギさん、予定通り俺はヨコハマ基地でこの星の軍隊連中の直掩に回るぜ。』

『わかったわ、クロウ。それと気をつけて、BETAの中には次元獣に酷似したタイプがいくつか見られるわ。』

リブラスタのモニターに佐渡島ハイブから出現した新型BETAの情報が表示される。

『こいつは!』

ブルダモン、ライノダモン、そして最大級のディノダモンに酷似したBETAの姿は嫌でも破界戦役、再世戦役を思い出させる。

そして蹂躙された日本の荒れ果てた光景がオーティス、そしてリモネシアを思い出させることも・・・

『データからDフォルトは装備してないのが大半みたいだけど、

あれらが元々は対御使い兵器なら・・・

クロウ、刹那とあなたを優先して狙ってくると思うわ。気をつけて。』

スフィアが至高神ソルの欠片である以上、クロウもまた御使いの亜種とみなされる可能性は極めて高い。

『嫌な事を思い出させてくれるじゃねぇかBETA!

おまけに、よりによって御使い呼ばわりとはつくづく不快な連中だな!

クロウ・ブルースト。リ・ブラスタT、出るぜ!』

 

—横浜基地 香月副司令 イリーナ・ピアティフ副官 管制室にて--

「それで、状況は?」

珍しく管制室を訪れた香月博士。

普段は研究室にいることが殆どだが、流石に基地が陥落しそうです

と言う状況では危機感を覚えずにはいられなかった。

もっとも聞いたところで最悪な状況なのが変わるわけでもないが。

「BETA総数、約4万が帝国軍の第一防衛線を突破。

配置についた国連軍部隊が交戦中。」

「接敵から2時間で第一線が抜かれるか・・・・

これはいよいよもってまずいわね・・」

第一防衛線があっさり突破された理由は明白だ。

新型BETAの登場。

今までのBETAが戦術機で基本的に『殺せる』のに対してこいつらは『殺せない』のだ。

その重装甲と複雑な戦闘機動は一対一ならBETAを圧倒するはずの戦術機をあろうことか上回る。

(駄目となったら・・使うしかないわね・・・)

博士は最後の緊急手段、反応炉に仕掛けたS-11の起爆スイッチをポケットの中で触って確認する。

これを使えばBETAは撤収するだろう、だが同時に人類の勝利の手段が永遠に失われることをも意味する。

(第5計画派はもっとG弾の改良でなんとかなると抜かしてるけど、

問題はそこじゃないのよねぇ。)

佐渡島ハイブはG弾の使用にも関わらず健在。

これは明らかにBETAがG弾に対応したという証拠だ。

当然、他のハイブも対応していると考えるのが自然だろう。

加えてこの大攻勢、ハイブが落とされていないにも関わらず

BETAの大軍が横浜基地目指して前進しているというのは明らかに戦略的行動だ。

戦略的行動・新兵器の投入・人類の新兵器への対応

BETAのこれまでとは全く違った行動こそ脅威なのだ。

G弾をいくら強力にしようと限度はあるし、対策はいくらでもある。

(人類もこれでおしまいかしらね・・・)

負ける?負けるのか?人類は、これまでの努力も犠牲も全て無駄になるのか?

と、重い現実に押しつぶされそうになっていると副官のピアティフ中尉が

「博士!外からの通信です」

「はぁ?通信?今になってどっからよ?」

帝国軍も防戦で手一杯、米軍は逃支度の今となっては入ってくる通信なんぞ弔電くらいなもんだろう。

「今、回します。」

『国連軍横浜基地へ、こちらはZ-Blue・ソレスタルビーイング先遣隊。

ただいまからそちらの援護に回ります!』

(Z-Blue?ソレスタルビーイング?天使?国連軍にそんな部隊あったけ?)

「この際、どこの部隊であろうと救援はありがたいけどどれくらいで到着するわけ?

こっちは後、1時間も持てば御の字よ。」

すると女性の声で、到着まで45秒だと告げられた時

『信じられないと思われますが、事実です!説明は後でしますので!』

タチの悪いイタズラかとも思った・・・・

が、報告が入る。

『副指令、太平洋上に肉眼で・・・信じられませんが猛スピードで接近する300m級の物体があります!再突入駆逐艦ではありません!』

『そちらからも肉眼で確認できたと思いますが、我々はソレスタルビーイング。

機動兵器ガンダムを保有しております。速やかにBETA駆逐を支援しますので部隊に伝えてください!』

するとコンピューターの上に援護射撃の効果範囲が表示される。

「 CPに伝達して!援軍が来たから指示通りにしろって!」

「副指令!良いのですか!?』

「構わないわよ、どうせこのままじゃBETAに対抗する手段なんてないんだからもう一か八かよ!」

(あいつらが私の思った通り、白銀 武と同じ平行世界からの訪問者なら

BETAを駆逐できる科学力がある可能性も無きにしも非ずね・・)

夕呼は様々な可能性を計算する、一瞬で考えたパターンはなんと12通り。

しかし全ての思考のパターンをとんでもなく斜め上の方向に裏切られたのはまた別の話だ。

 

 

 

ここで考えて欲しい。

レーザー級の命中率は100%であると言われる。

それは半ば真実であり、半ば間違っていると言える。

レーザーが最大出力になるまでは数秒の余裕があり、

照射を受けてもすぐさま軌道を変えれば致命傷にはならない。

あるいはそもそも照準を合わせることができないほどの超機動をすればいい。

実に簡単な事だが、この世界の技術者に提案すれば

『そんな事ができるわけない。』というような答えが返ってくるだろう。

戦闘機で鋭角的な動きなどしたら機体以前にパイロットが持たない。

そもそも戦術機にそんな機動を可能にする機構など装着したら

空中でのバランスを取ることなど出来ずよくて失速、悪ければ地面に激突するだろう。

だが、ここにそんな事を当然のように行う機体が当然にようにいる。

『クアンタ!まずは重光線級を駆逐する!』

横浜基地にある程度接近するとセンサーで優先排除対象の光線級のデータを正確に把握する事が帝国・国連のデータリンクも介してできた。

機動というよりは密集していた重光線級のすぐ上空へワープして出現したELSクアンタはGNソードとソードビットでトレミーを狙っていた15体の人類種の最大の脅威を排除した。

トレミーから発艦してから排除まで2.1秒。

レーザーヤークトの世界新記録をあっさり更新したが本人にそんな気は無い。

 


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