大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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そもそもG元素を集めてる『創造主』は何の為にG元素を使うつもりなんでしょうか?
宇宙中からかき集める程の必要性となると軍事用しか思いつきませんねぇ・・・


第4話 BETA創造主の敵

「トランザム!ライザァァァ!」

 

 00クアンタの機体が赤く染まり、ツインドライブが唸りを上げる。

00クアンタのGNソードに粒子が収束し、超高密度に圧縮されたビームが閃光となって大地の中を突き進んでいく。

 

「軸線上の目標を一掃して進む!」

最大有効射程(?)およそ1万kmにも達するライザーソードの最大出力からすれば深さ16km程度の穴をえぐる程度はさほどの問題ではない。

たとえ岩だろうと膨大な熱量を受ければ蒸発する。

今や月面からハイブ中枢までは直径30m程の大穴が開いていた。

 

『粒子ビームのハイブ中枢フロアへの到達を確認!」

トレミーからの報告を受けた刹那はトランザムを停止。

対話のためのクアンタムバーストに備えるためにもここでGN粒子を過度に使いすぎるわけにはいかない。

そして通路の狭さを考えれば突入可能なのは00のみ。

刹那はいまだに赤熱して発光している壁の通路に00を滑り込ませ、凄まじいスピードで降下していく。

 

途中で幾つかの広間を通過することとなったが、刹那はダブルオークアンタを一切減速することなくむしろ加速してGNソードで一閃のもとにBETAを斬り伏せながら加速していく。推定中枢までの距離が500mにまで迫ると

00は速度を落として降下するが刹那は奇妙な感覚を覚えた。

「妙だな、なぜ迎撃態勢をとらない?」

 

上階でうろついていたBETAが刹那の開けた通路伝いに絶え間なく流入しているため

広間は既に赤一色に染まっているが、それらが降りてくる様子はない。さらに言えば

中枢フロアにある反応はたった一つ

その一つが何なのかは言うまでもない、BETAの指令ユニット。

だが指揮官を敵にさらす軍隊がないように、

なぜ貴重な指令ユニットをいまだに無防備な状態にしているのか・・・・

(原作で言うところのあ号標的の月面ver)

 ELSの時の様にこちらを迎え入れようとしているのか、

それとも何か別の思惑があるのか。

「罠か、対話か・・・・行こう。ここで考えていてもラチがあかない。」

 そして、遂にダブルオークアンタは中枢エリアへと到達した。

作戦開始から30分後のことであった。

 

-黒の月 ルナハイブ1 BETA 指揮ユニットの広間-

そこは醜悪なBETAが作ったとは思えないほどに

幻想的で壮大な広間だった。

周囲の壁は青白く光り輝き、さながら神聖な大聖堂を連想させる。

広さはZ-Blueの戦艦が一堂に並べられそうなほど(超銀河ダイグレン以外)

だが、ここが聖堂ならば中央に存在している『アレ』は邪神に違いない。

中央の台座から伸びる『アレ』・・・・

人間ならば直感的に生理的嫌悪感を抑えられない形状の物。

今まで押さえ込んでいた考えが一気に吹き出す。

(アレは、バアルだ・・・分かり合えない異種!)

だが今にもセブンソードコンビネーションでぶった切りそうになる衝動を

抑える。

(違う・・・俺は・・俺たちはわかりあうために来たんだ・・)

シリウスに向かったノノから聞いた話、

宇宙怪獣が人間に似た形態をとり人間とコミュニケーションを取ろうとしていたという話を思い出す。

宇宙怪獣が宇宙の消滅を望む意志の具現であるのなら

それが人間とコミュニケーションを望むというのは

宇宙も存在し続けることを一方ではどこかで望んでいるということ。

(そうだ、俺たちは皆、いがみ合う双子・・・・。

宇宙意志ですら消滅への意志と存在への意志で揺れ動く。)

刹那は『アレ』への嫌悪感と敵意と理性と相互理解への意志で揺れ動く。

「ティエリア!これよりクアンタムバーストで目標との対話を試みる!」

『了解した。僕とヴェーダでノイズを取り除く。」

「例え、宇宙から見放されても・・対峙し続ける!それが俺たちの戦い!

クアンタムバースト!」

00からトランザム以上の膨大なGN粒子が溢れだし、広大な広間を光で埋め尽くしていく。

 

(くっ、情報の奔流が・・・)

凄まじい情報の嵐の中で刹那は溺れそうになる。

人間とは全く異なる思考形態や情報量を持つ異種との深層領域での意識共有。

それは宇宙生物との対話を可能にする反面、強力な脳量子波を持つ刹那でなければ自我の崩壊すら招きかねない危険な諸刃の剣。

状況を見守るCB+借金王は何もできないのが歯がゆい。

(ELSとの対話と同じ・・・ノイズを除去して本質を見極める。)

そして情報の奔流、光の先に見えたものは・・・

 

 

ーBETA 指揮ユニットの思考-

製作者-創造主 

名称ー上位存在

製造年月日ー不明

目的ー資源回収

知的生命体の定義ー珪素によって構成される知的生命体

元々はたった一つから始まったことことは理解している。

知的生命体の存在しない惑星に着陸。

作業用『存在』を駆使して、その星の資源を回収。

回収した資源は特殊な元素へと変換され、

定期的に創造主の元へと送られる。

その星の資源の回収が完了すると、

上位存在は己の複製を別の惑星へと射出。

そういったルーチンワークをひたすら繰り返し

倍々ゲームで増加した結果

上位存在の総数は10の37乗に増加した。

 

『やはり・・彼らもまた作られた存在だったんだな・・・』

ティエリアの漏らした感想はこの多元世界にも当てはまる。

人の手によって作られた生きたマシーン

宇宙には豊富に存在する炭素を材料にしたロボット

本当にバスター軍団によく似ている・・・

『意識』は火星から月面に到着した降着ユニットが月面での資源回収を行うシーンを移る。

そんな中『災害』が発生した。

(災害だと・・・・)

刹那はその表現の仕方に何かしらの不愉快感を覚える。

まるで人を人と思わないその表現のしかた・・・御使いを連想させる・・・

『テンプティ達はねぇ、全ての生命の・・

ううん、この宇宙の全ての存在の最上位に存在しているんだよ!』

『この宇宙は、一億2000万年の間に悪しき命で満ち溢れた!』

場面には月面でのこの星の人間種との戦闘風景が映し出される。

いや、『存在』にとっては『災害』に過ぎない。

突撃級に粉砕されるロボット、要撃級に押しつぶされる車両、戦車級に噛み砕かれる生身の人間。

(ティエリア・・・俺はもう我慢の限界かもしれん・・)

だが、そんな災害もすぐに収束し、しばらくは本来の資源回収という任務に専念していた。

・・・・同位体を近隣の惑星に飛ばしながら・・・

(それがこちらの地球か・・・・)

 

「そんな時に僕達が訪れた」

情報接触を行ってきた存在は実に奇妙であった。

ELS母星でハイブリッドイノベイターへと進化した刹那、

ELSと融合したクアンタ、そしてヴェーダ端末存在としてのティエリア。

創造主のプログラム通りに未知の存在は調査する必要があった。

 

刹那の意識に『上位存在』の意識が流れ込んできた。

『肯定』

「では、お前に質問する。お前は我々を知的生命として認めるか?」

『否定』

「なぜだ?珪素で構成された知的生命体・・・ヴェーダだけではない、オックス、モーム、ドロシー、ローレライ。

全て珪素で構成された彼らも知的生命体ではないと主張するのか?」

『肯定、知的生命体の定義は自然発生した珪素生命から進化した存在。

それらは屈折進化した存在であり知的生命に含まれることはない。』

要するに人間にとってバクテリアや虫が同じ地球の生命であっても知的生命体であると認められないようにヴェーダを初め、

『炭素生命の手を経た生命はありえない』という認識なのだ。

例えて言えば、虫が卵から生まれようと細胞分裂して増えようと虫は虫ということだ。

「言いたいことはわかった・・・だが意識共有でわかったはずだ。

俺たちは人間は・・・意識を持った知的生命体なんだ。」

『否定』

「人間は・・・あくまでも物理現象でしかないという理解なのか?」

『肯定』

「お前達『存在』が地球で行っている資源回収が人間を苦しめている・・・・

行動を中止することはできないのか?」

『否定、本ユニットに他惑星での行動に関する権限は無い。』

「・・・地球のユニットと交信して資源回収を中止させることはできないのか?」

『否定、惑星間の交信は安全のために許可されていない。』

(・・・・安全のため?何のために?)

刹那はその表現の仕方に疑問を覚える、まるでBETAに敵がいるようなその存在の仕方に・・・

(・・・・そもそも・・・こいつらは何の為に資源を集めて送っている・・

送られた資源で何をしようというのだ?)

「答えてくれ、お前達は何の為に資源を回収する?」

『機密事項』

「お前達に敵はいるのか?」

『肯定』

「お前達の敵は何だ?」

その問いに刹那は自身の思いを脳量子波に乗せて、言葉を紡ぐ。

『極めて危険な敵対的高次元生命体。最新の情報で4体を確認』

(まさか・・・まさか!)

その恐ろしい想像に刹那は背筋に冷たいものを感じた。

『彼ら』と戦ったのはほんの半年前にすぎないのだ・・・

ゴクリと緊張しながらその問いを投げかける。

「お前達の・・・『創造主』の『敵』とは御使いか?」

刹那の投げかけたイメージ。

喜びのアドヴェント、楽しみのテンプティ、怒りのドクトリン、悲しみのサクリファイ。

それに対して上位存在は・・・

『肯定、極めて危険な敵である。』

 




発覚!BETAの敵は御使いだった!
そりゃ、あんなハチャメチャな敵なら宇宙中からG元素集めても対抗できるかどうかわからんもんね。

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