大惨事スーパーロボット大戦 Z After 天獄戦争 Muv-Luv 作:溶けない氷
新統合歴1年
宇宙は新たなる戦乱の時代を迎えようとしていた。
神は死んだが、生命の本質は闘争であることには違いはなかった。
銀河外縁分においては人類の存在そのものを“神”への冒涜とみなす星間連合”コヴナント”が人類種殲滅を宣言。
統合政府の植民星が多数破壊され、わずか半月で10億を超える人命が失われた。
一切の交渉が不可能な上に技術力でも圧倒的な新たなる敵に対し統合軍は一方的に敗北していった。この未曾有の大混乱に対し、統合政府は有効な手を打てずにいた。
ウィンダミア王国の反乱に始まった、銀河辺境の大混乱を前に統合政府は成すすべを持たなかったのだ。
折しも地球ではザンスカール帝国・コスモバビロニア主義者、木星連邦が連邦政府からの独立を宣言、これに宣戦を布告し、太陽圏内戦の始まりである。
そしてこのような状況にも関わらず、宇宙怪獣とも違う未知の生体兵器群”バイド”と銀河外縁分において人類は接敵した。
ありとあらゆる核兵器、反応兵器、マクロスキャノンに次元兵器が使用されたが
加速度的に進化するバイド相手に統合政府の艦隊・有人惑星は次々と吸収・同化され撃破されていった。
折しも外銀河の謎の勢力から”我々はXXX、我々はお前達を同化する。抵抗は無意味だ。”
と謎の通信を統合政府は受け取り多数の艦船が行方不明。
事態は深刻であった。
更に銀河各地においてもかつて別の次元で消滅したはずのデビルガンダムの個体が出現し全勢力と無差別交戦を開始した。
神は死んだが戦争は続く、それでも人類には未来を勝ち取る強さがある!
統合軍が負けるはずない、嘘だから信じちゃダメだよ(大本営発表
BETAの内部情報網を人類言語に置換
発 A-1 宛 G-4464k245
なぜ規定の作業定位置を離れたか、理由を報告せよ
G-4464k245
返信:追加の生産物資の必要性を認める
A-1
返信:そのような指示は認められていない、至急規定の作業に戻れ
G-4464k245
返信:追加の生産物資の必要性を認める
A-1
返信:規定ユニットの思考プロセスの破損を確認、速やかに再生処理を開始せよ
G-4464k245
返信:緊急予備プロトコルを開始 不足エネルギーの補給可能ポイントを検索中…検索中
H-11にて必要エネルギーの補給可能 必要エネルギーの7%と推定
発 A-1 宛て 作業ユニットN-23534 から R-1342534
理解不能なメッセージを受信。破損したG-4464k245を解体、再生処理を実行せよ
…緊急事態!
思考ユニット11に事故発生!至急付近の作業ユニットは作業を中止し思考ユニット11を修理
デビルガンダムによるハイヴ襲撃、人類側から見てのBETA内戦の始まりであった。
その光景は異様であった、地上からの迎撃に当たったのはBETAのいつもの取り合わせの戦車級や闘士級、要撃級。
進撃するのはデスアーミーを初めとするデスバーディーにデスビーストといった地上軍のMS部隊。
するとすかさず陣地からつぶらなお目目の光線級と重光線級が空中のデスバーディーを視認し、
レーザー照射を開始する。
だが問題は一つ、落ちない。
デスバーディーの装甲はDG細胞によって構成された一種の生体金属であり、連邦軍のビームライフルといった兵器にもある程度は耐えられるように耐熱性に優れている。
つまり戦術機とは違い一撃では落とされない。
超低空で侵入した空中部隊は手に持ったビームライフルで飛び道具を持った光線級を攻撃するか、
あるいは己の機体そのものを巨大な爆弾と化して対空砲である光線級に特攻をかける。
勿論、BETA側もただでやられているわけではない光線級のレーザーが直撃するたびに装甲は確実に融解し、蒸発。中には燃料に引火したのか爆発するものも多数。
そのほかにも要塞級の触手で低空飛行したものが叩き落とされ、要撃級に殴り落とされるものも多数。
だが、それで作戦は完遂した。
機動力に劣るデスアーミーが戦場に到着すると棍棒ビームライフルが火を吹いた。
DG側の目論見は、BETA側の飛び道具を一定時間封じることにあった。
それだけの為のバーディーは消耗品、この目眩しのために数百の空中兵力が蒸発しあるいは叩き落とされたが補充すればいいだけの話。
人類にはできない戦術の登場だった。
蜂の巣を突いたようにH26:エヴェンスクハイヴからBETAの群が飛び出てくる。
その数は後から後から湧いて出てくるように無尽蔵という形容詞がふさわしい。
今までのソ連軍による決死の間引きがなんだったのかというほどに出てくるが
今回の連中の相手は人間ではない、裏切りのBETAであるDGだ。
すると突然、空を切り裂く巨大なレーザー光で
どこから持ち出したのかソ連がг標的と名付けた巨大光線級が突然ぽっかりと開けられた穴から出現した。
現在進行形でソ連の前線を食い破っていたг標的をBETAは大慌てで前線から呼び戻したのだ。
流石にこれだけ大型となると母艦級をいっぱいに使っての輸送であり、普段は使わない。
更にいうとツインサテライトキャノンの充電が無駄になった。
そのレーザー照射の威力は凄まじく、集中射撃でのプラズマ爆発によって一撃でデスバーディー数百機が蒸発・撃墜された。
この混沌とした戦場にあってこの一騎当千の働きを見せるг標的の登場によって戦局はBETA側に大きく傾くと思われた。
だがDG側も数に任せてチャージ時間を眺めているわけではなく、次から次にビームライフルを発射し果敢に接近戦でг標的に有効な対地上砲撃をさせない。
そもそもが味方を巻き込めないように設定されているだけに個別に射撃するしかない。
ゲーム的にいうとMAP兵器を封じられて、せいぜい全体攻撃しかできない状態だった。
その間にもデスビーストが今度はг標的に取り付いていく。
г標的も負けじと触手で応戦するが、四方八方から打たれる上に護衛役の要撃級がデスアーミーにかかりきりで援護に回ってこない。
突進のための助走を必要とする突撃級では近すぎ、自然接近戦では戦車級が主力となる。
デスアーミー一体に十以上の戦車級が取り付いて齧り取ろうとするが、相手も素手で掴んで潰したり極端だと味方に取り付いた戦車級をためらいなく味方ごと破壊する。
人間である衛士にはできない乱暴な戦い方であった。
こんな機体を消耗し尽くす無茶な戦いは人命が安い(更に言えば非ロシア人部隊は人間とすら見られていない)ソ連でもできはしない。
無人機でしかないDGの強みだった。
地上では採算度外視の消耗戦が続くが、流石に物量では先制して溜め込んでいたBETAの圧勝だった。
г標的がビームライフルで穴だらけになっても、地面がぐちゃぐちゃに踏まれた戦車級で真っ赤になっても後から後からハイヴから増援が送り込まれてくる。
物量の正面からの消し合いでは援軍の来ないDG側が不利であった。
では、肝心のDGはどこにいるのか?
なぜ地上にBETAはおびき出されたか?
彼?は待っていた、エヴェンスクハイヴの本陣の守りが手薄になるのを…