大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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г標的さん
「待ちきれないから来ちゃった。これで災害処理は済んだも同然だな!」
炎のMS乗り
「ツインサテライトキャノン、いっくぜぇ!」
「こんだけ待たせてといて、出落ちかよ」



第32話 月は出ているぞ

 

 

一方で蒼の地球。

ELSとの対話、イノベイターへの人類の覚醒。

それらを経てこの血塗られた星は対話と融和への道を歩み始めた。

はずだった。

だが、戦争の傷跡は未だ癒えず。

そしてあまりにも早い人類の急速なイノベイターへの覚醒は旧人類と彼らイノベイターとの軋轢を生んでいた。

天獄戦争より3ヶ月、急速に拡大する反イノベイターテロリスト”人類軍”

それに呼応する形で参加し、あるいは混乱の影で利益を貪ろうとする

”ロボットマフィア残党”に”アマルガム残党”更にWLFの残党。

彼らを背後に残す形でソレスタルビーイング及びゼロはこの星を後にした。

だが、彼らには後に残した仲間がいる。

絶対的に信頼しうる強力な仲間たちだ。

 

旧ブリタニア・ユニオン ニューヨーク

西大西洋の大都市であり地球最大の経済拠点の一つ。

19世紀以来この都市は飛行機を使ったテロこそあったものの外敵の本格的な攻撃を受けたことのない世界遺産にも登録された摩天楼で有名な古都だった。

現在、その世界でも有名なブロードウェイは戦闘の真っ只中にあった。

『我々は、人類軍!イノベイター至上主義に走り旧人類への復興支援も疎かなままでありながら、

急激な対外支援、イノベイター優先のインフラ整備を行う今の連邦政府を打倒し

再びブリタニア・ユニオンの自由と独立を勝ち取るべく立ち上がった正義の使者である!

オールハイル・ブリタニア!』

旧ブリタニアのMSやGN-X,ロボットマフィア、コダール、バーグラーにスコープドッグにブリタニアのKMFなど雑多な機体構成の部隊が連邦軍とにらみ合っていた。

連邦軍は質でこそGN-XⅤを中心とした部隊のため勝っていたが数、更に市街地という特性上から重火器を使えずにらみ合いが続いていた。

そんな中に彼女たちの姿はあった。

『ったく、イライラするね。いつまでゼロ気取りのあいつらに好き勝手喋らせてんのさ!』

紅月カレン特務少尉は愛機の紅蓮の中でひとりごちる。

戦後の混乱期、軍人が不足した連邦軍においてZ-Blue所属の彼女の能力は群を抜いていたため

学生でありながらKMFデヴァイサーとして特例を許されていた。

『・・・・昔の私たちも、外側から見たらあんな感じだったのかな・・』

反乱軍は旧ブリタニアの軍人崩れ、カレンは新日本のレジスタンスの旧黒の騎士団出身。

文字どおり立場が逆転して相対することになるとはどんな皮肉だろう。

『そうかっかしても仕方ねぇぜ嬢ちゃん』

『そそ、怒ると美人が台無しだぜ』

『傭われ者ってのはこういうとき不便だな』

今はカレンの部下という立場になっているレッドショルダー崩れの3人の

グレゴルー、バイマン、ムーザ。

そしてひたすら無口なクエント人のシャッコ。

 

『別にイライラしちゃいないよ、連中の主張が支離滅裂なのが気にくわないだけ』

ブリタニア独立、イノベイター優遇策の中止、統合政府への参加の中止

戦争復興事業の不平等の是正から雇用問題に関してまで右から左のありとあらゆる社会の不満をぶちまけているが要求が支離滅裂で何を主張しているのかよくわからない。

『こちらクラッシャー隊、付近の住民の避難は完了した模様

21世紀警備保障と竹尾GCに感謝だな。』

 

クラッシャー隊、21世紀警備保障と竹尾GCに神ファミリーの

ゴッドマーズ、トライダー、ザンボットと言った特機に鉄人とブラックオックスもICPOとして未だ活動をしぶとく続けるロボットマフィアを追ってここへ来ていた。

だがここで恐るべき報が入る。

『こちらグレゴルー。中央銀行で爆発、銀行が襲われている。

そっちは囮だ!』

そして次の瞬間、大通りに展開していた雑多な機体が動き出す。

『チッ、まんまとおびき出されたってわけ!さっさとぶっ潰して強盗を止める』

瞬間、紅蓮が加速し目の前のATスコープドッグを輻射波導で消し飛ばすつもりだったが・・

次の瞬間、ATがダッシュ華麗なターンピックさばきで紙一重の回避行動を取って30mmを乱射してきた。

『嬢ちゃん、こいつら全部モビルドールだ!』

ATを初め、MSやKMF、ASに至るまでがロボットに過ぎないがその動きは

かつては単調なものだったが今の動きは明らかに一流のAT乗りのものだった。

『ロボットの癖によく動くじゃない、でもねぇ!』

円運動を行い、華麗に距離を詰める紅蓮の爪がスコープドッグを引き裂く。

この日、NYテロ事件の鎮圧による死者こそ出なかったもののこれほどまでの多量の機体とそれに搭載されたモビルドールシステムの出所が問題となった。

なお、銀行強盗はいつも通り一週間前に脱獄したベックの犯行だったが鉄人にボコられてまた刑務所に逆戻りした。

 

 

・・・・・

「では、貴方は統合政府への派兵には反対というのね」

「いえ、大統領閣下。無論、反対とまではいきません。

しかしですな、連邦とウィンダミアはまだ公式には開戦しておりませんし

元々ウィンダミアの工業基盤は脆弱なため主力兵器の可変戦闘機ももっぱら輸入に頼っております。

防衛研究所の試算ではかの国の軍事予算は既にGNPの45%に達しているとの計算ですから

下手に兵力を投入して負けを繰り返すより、経済封鎖による持久戦の方が効果は高いと・・」

 

蒼星の地球連邦、イノベイターを多数抱え今日も今日とて内ゲバ真っ盛りである。

「反対!連邦のこれ以上の兵力増強はアロウズの再来を呼び込みかねず・・・」

「バカを言うな!翠星のCVやザンスカールの脅威のこともあるし、今の戦力では・・」

「所詮は地方の局地戦だ!ウィンダミアにしても統合政府が対処すべき事案であって・・」

「そこまで言うなら、それぞれの州が独自の予算で兵を募ればいい。

我がAEU圏はサイデリアル戦からの復興も未だままならないのだから、被害が殆どなかった日本州が出せばいい」

「それでは私兵になりかねず、連邦の意義が・・・」

「アロウズ、ダメ絶対」

議会は全く進まなかった。

 

・・・・・

一方で帝国参謀本部

香月博士からもたらされた情 報を元にこの国の軍のトップが集結し突如として現れた

Z-Blue的には突如として現れたのはこの星の方なのだが

 

一方でこの国の軍上層部が先の横浜戦、および佐渡島消滅に関わったZ-Blueに対応するべく

この件に関して緊急会議が開かれていた。

香月博士からもたらされた情報により、彼らの存在とその背後に存在する他惑星の巨大政府という事象に対応しなければならなくなった彼らの悩みは尽きることがない。

「そんな馬鹿げた夢物語を信じろというのか!?」

「バカバカしい、ついに横浜の魔女は気でも触れたかのか!?」

「だが現に映像でも見ただろう、あの超兵器の数々が今の科学力を遥かに超えた物だということは明白だ」

「それこそ、あの女狐が秘匿していたLost Gの成果なのではないのかね?」

ロストGとは、横浜ハイブ攻略時に発見されたG元素が北米に着陸した降着ユニットから回収されたそれに比べあまりにも少なすぎたことから当時は発見できなかったG元素を横浜基地の香月博士が密かに保有しているのではという疑いから始まった噂である。

DEC、あるいはフォールドクオーツとも類似した(あるいは精錬方法の違いからか?)G元素。

確かに希少な戦略物資ではあるが、統合政府は現段階で性能で劣りこそするもののフォールドカーボンを量産できる。

いつかは人類もプロトカルチャーのように完全な量産が可能になるのかもしれない。

「確かに、異次元からの来訪者などという馬鹿げた主張よりは遥かに信じられるな」

どれだけ過大評価されているというのかあの博士は。

やはり天才と名がつく以上、分身したり時空間を超えたり物理法則も因果律も超越する程度は基本なのだろうか?

だが、同時刻に恐るべき報告が飛び込んできたことによって一時的にこの会議は中断された。

「ほ!報告します!巨大BETAがエヴェンスクハイヴハイブより出現!衛星からの映像を回します」

そこに映し出されたのは全長が100mはあろうかという巨大なBETA

「現在、ソ連軍が目標と交戦状態に入りました。

既に迎撃兵力の2割が消滅、推定5万以上のBETAがこれに随伴する形で東進しております!」

北方からもたらされた最悪と言っても言い過ぎではない報に動揺する帝国軍。

「ば、馬鹿な!BETAにそんな行動がとれるなど」

現状で、この国に北方の守りはほぼ存在しないと言っていい。

兵力は先の佐渡島攻略戦、横浜防衛戦で壊滅状態にある。

今、ユーラシアに辛うじて噛り付いているソ連が叩き出されれば日本はどうなるか

北と西から同時に圧迫を受ける2正面作戦を強いられることになる、つまり日本消滅の危機である。

・・・一方でその頃、この星の外周軌道上に到着していたネェル・アーガマからもソ連が仮称として名付けた超重光線級(гゲー標的)が観測できていた。

「艦長、この星の極東シベリア方面に大型の熱源を感知しました」

「話に聞いていた、レーザー砲の化け物か。以後、標的をG級と呼称する」

現在地点から地球のG級までの距離は15万km、レーザー砲ならば0.5秒で到達する距離であり

真空の宇宙では減衰効果なぞ期待できないことから照準の問題さえ解消すればアーガマすら危ない。

15万kmというのは月までの半分の距離だが、この程度の距離ならばパンチでも届く連中を知っているだけに安心はできない。

「今の状況でこれ以上近づけば、衛星軌道上への射撃の例は無いようですが安全とは断言できかねます。

あれが存在する限り、ソレスタルビーイングと合流するには星の影から入るしか無いかと」

とはいえ、反対側の影とはいえ安全とは言い切れない。

宇宙怪獣級ならば星を貫通して攻撃してくるなど朝飯前なのだから。(トップをねらえ2並)

そんな中、ブリッジに通信が入る。。

「おっさん、サテライトキャノンを使うぜ!」

いきなりの戦略兵器使用を求めてきたのは炎のMS乗りガロード・ラン。

 


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