大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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作者はMSの中ではF91が最も好きです。
皆さんもお気に入りMSがあることでしょう


第31話 GN不知火

「エスターが乗るのか?大丈夫かよ?」

国連に対し擬似GNドライブの引き換えに

国連側で誰が新型機のテスパイをやるかについて様々な部署ですったもんだが繰り広げられている中で、Z-Blue側では早速名乗りを上げたエスターがシェイクダウン運転をすることに決めた。

 

「心配すんなってクロウ。擬似GNドライブへの適応性でいえば嬢ちゃんはピカイチだ。

ブラスタの改良に協力した儂が保証する。伊達にあんたの妹分はやってないってことだな」

 

「おやっさん・・・・いや、そういうことじゃなくて操縦系統とかわかるのか?

あいつ」

 

戦術機とMS、サイズも形も似たようなものなのだからと安請け合いしたがよく考えれば

バルキリーとMS、KMFにATにASにいろんな特機と、人型という共通点があってもこれらの期待には操縦での共通点は少ない。

 

「ん〜、まぁMSと似たようなもんだろ。

腕と足があって、コクピットにレバーが付いてるんだから動かしながら慣れればいい」

 

一方、GN不知火の中では

「よーし、いくにゃ〜ミレイヌ、フェルト!機体のデータ取りお願いね!」

猫の妖精モードで気合いを入れているエスター

「はいです!・・ところでエスターさん、その喋り方でいいんですか・・」

 

「・・銀河の向こうで、みんな頑張ってるんだ!私も一緒には行けなかったけど、頑張るにゃ!」(エスター・・・頑張るの方向が大いにずれてるわ)

(言っちゃダメです!エスターさんの恋する乙女の乙女なりのアプローチなんです)

 

そんな中でエスターのGN不知火はテスト機動を始めた。

「まずは小手調べかにゃ」

と歩きから走りへとMSの基本的な動きを演習場で見せていく。

一方でその動きを監視する者も大勢いた。

「データ、取ってるわね」

「はい、例の改造機の運動データは彼らのデータ経由とは独立してこちら側の回線で撮ることができます」

香月博士が基地の反対を押し切ってまで彼らに不知火を提供したのは

基地の技術者では彼らから提供された擬似太陽炉とやらの構造については

「さっぱり理解不能」

「全くわからない」

「まさにエイリアンテクノロジー」

という意見しか聞けなかった、役にたたねぇなおい。

もっともこの件に関しては博士も完全に門外漢であるため人のことは言えない。

それゆえ、彼らから『じゃぁそっちの機体に取り付けとくこともできるから、そいつを参考に考えてくんな。ああ、心配しなくても似たような改造したのを知ってるからそんなに時間はかかんないよ』

と、ぶっきらぼうな若い女性に言われてしまった。

どうやら彼らの部隊には艦艇毎に優秀な技術士官が乗り込んでいるらしい、羨ましいことだ。

とはいえ、人類側としてもまさか向こうが弄った機体のデータをそのまま受け取ってわかりました、では済まされない。

テストを受け取ってわかりません、回答だけ渡されてわかりましたではできの悪い学生にしても論外だ。

向こうもそれはわかってくれたのか、機体の運動データをこちらが独自に取ることを許してくれた。本来なら軍事機密の最たるものだというのに随分太っ腹なことだ。

彼らの真意を知るにはまだ、足りないが今のところは関係は良好なようだ・・

「今、向こう側のテスト衛士が不知火に乗り込みました。

間もなく、試験機動に入る模様です」

「そう、衛士のバイタルデータは流石にダメか。

そりゃ、宇宙人だもんね・・・」

香月博士は向こうが別次元の地球人だということは承知していたが、生体データを採らせてはもらえないことに彼らの隠したい真意を読み取ろうとしていた。

実際にはエスターが強化装備を

『こ、こんなプラグスーツみたいなの着れないよ!

スケベ!クロウの隠れむっつりスケベ!むっつり7だよ!』

『俺もむっつりかよ!』

『訂正を求める、少なくとも俺はムッツリには含まれない』

『お前は黙ってろ!場がさらにややこしくなる!』

嫌がっただけだが、博士は大いに勘違いしていた。

 

「衛士の映像・・出ます」

「・・・・ええと、これは何の冗談かしら・・」

映像に出たのはエスターだった。

年からしてもA-01の少女衛士とさして年は変わらない。

むしろ幼い印象を受ける、成長具合から。

エスターに言ったら怒るから黙っておこう。

(っ!成る程、最重要な熟練衛士の腕前は見せられないってこと?

いや・・・そんな理由は戦闘を見せた後では理由にはならないか・・

ということは、この子はテスト衛士として十分な腕を持ってるということ!?)

そもそも、衛士というのは生来の衛士適性を持った人間が何年も厳しい訓練を経た後にようやく

何年もの実践をくぐり抜けてようやく熟練と呼ばれるものなのだ。

彼らに最強のパイロットが

「15でそれまで戦術機を見たこともない民間人の少年がマニュアル読んだだけで最新鋭機を動かし

3ヶ月間で襲いかかる敵の熟練衛士を次々と撃破し最強の衛士になった」

などということを信じてもらえないだろう。

Z-Blueの恐るべきパイロットは皆こういう、常識を斜め上方向に天元突破した経緯と勢いもそのまま成長し神と戦う羽目になったのだが・・

 

エスターはGN不知火を上、下、右、左、AMBACを使ってのバレルロールにジグザグ機動や円運動、コンクリートのビルを蹴っての赤い彗星機動と基本的な動きから初めた。

「ちょっ!イアンさん、この機体重いよ!慣性制御も効いてないし。

何このもっさりした動き、重いよ!」

「だから言ったろ、ドライブ外付けのせいで重量バランスが目茶目茶な上にすり合わせもまだだからデリケートな機体になったって。

嬢ちゃん、MSじゃないんだからもっと柔らかく扱ってやんな。

しかし・・・こりゃ、素直にGN-Xでも作った方が早いんじゃないかね?」

 

不知火はフレーム強度の問題から機動が制限されていた。

例えGN粒子で高機動を実現できても、その度に危険G警告で動作が制限されていたのではMSのシャープな動きなぞ期待できない。

(機動性を重視してるってのはわかるが・・・いくらなんでも火力が貧弱すぎるな

いや、市街地で被害を拡大させないのが目的ならこんなもんか?)

仕方あるまい,TSFとは人と戦うのがメインではないのだから

コロニーや島を吹っ飛ばすのも普通になった今時のMSやバルキリーの馬鹿げた火力の方が異常なだけだ。

 

・・・・・・・・

「とんでもない機動性ね、あれ」

「はい、機動力に関しては従来の不知火の限界値を常時叩き出しています

これ以上の加速度には機体がついてこれない為に機動が制限されていると思われます」

博士が改造不知火に対して抱いた第一印象は不格好の一言だった。

主機を取り外して外付けされたGNドライブとやらも、そこから電源供給のための外に這わされた電力ケーブルも全てがやっつけ仕事そのものだった。

「おまけに、あの機体の衛士は強化装備もなしに平然と乗りこなしてるって?

どんな化け物よ・・・」

あの金髪の少女衛士が強化装備を着用していなかった。

機体に慣性制御でも効いているのかと思ったが、考えてみればZ-Blueの衛士の何人かは強化装備らしきものを着ていたのだからますますわからない。

機体によって特性が違うとでもいうのか・・まぁ確かに殆ど別の種類の機体ばかりだったが。

「で、白銀。ぶっちゃけて聞くとあんたにできる?あの動き」

「ええぇ!無理ですよ!っていうか不知火ってあんな動きできるんですか?」

白銀は今まで、もといた世界のゲーム『バルジャーノン』の機動を思い出していた。

あえて言うならゲームの機体運動に目の前の女の子が操る不知火は近かったが、

今までは所詮ゲームと現実は違うと思っていたが、自分の操る不知火でもあんな機動ができるようになれるのかと思うと、正直ワクワクしてきた。

実際には、GN不知火には取り付けた擬似GNドライブを通じて機体制御を”ヴェーダ”経由で行っているため常に機体性能の限界ギリギリを発揮できるようにしてある。

不知火の元の演算能力とヴェーダでは旧世紀に例えれば真空管のアナログ計算機とスーパーコンピューター以上の差がある。

ヴェーダの演算能力と次元力の媒体として覚醒したあるエスターだから出来る力技だった。

 

・・・・・・・・

「では・・・ご参加の皆様、これを御覧ください

映像に映し出されたのはクロスボーンバンガードの新型MSデナンシリーズに次々と七面鳥のように撃ち落される連邦のジェガン。

そしてウィンダミアのドラケンⅢにポロポロ落とされるナイトメアプラス。

いくら雑魚機体だからってこの扱いはないんじゃないですか。

「御覧のように、量は質に転換しない・・・

これまでの戦訓から少数の機体によって戦場を支配することが最も合理的と考えます」

 

「それは・・・Z-Blueの機体を言っているのかね?」

 

「はい、これから予想される戦いでは一機当千の質こそ最重要視される要素だとアナハイムの技術人は考えております。

たった一機の機動兵器が戦略をひっくり返す・・・・・皆様方も嫌という程目にしてきた現実では?」

 

戦術で戦略を覆せない、そういうのは貧弱な技術しか存在しなかった過去の常識。

単騎で戦争や歴史そのものをひっくり返す、それこそが常識なのだろう。

「次なるガンダムタイプというわけか…」

計画書にはテスト段階のF91、 ヴィクトリータイプの量産計画が記されていたが

量産体制が整う頃には旧型になるのが最近の兆候なのが悩ましいところだ。

 

「我がサナリィの提唱する次世代のガンダムタイプは一騎が一個艦隊とも渡り合える性能を持つことを保証いたしましょう。

今までのいかなるガンダムにも勝るガンダムこそが必要なのです」

 

・・・・・だが会議の席で議論に登ったのは次世代型MSの話ばかりではない。

「それでは、緊急課題のコスモ・バビロニア紛争及びザンスカール帝国、そして木星帝国の動きについてですが・・・」

 

「統合政府からはウィンダミア紛争へのMS部隊の派遣要請が届いており、ヴァールシンドロームへの対処法を開発中ですが、強力なフォールドジャマーの開発に難航しており現状での派遣は難しいとの・・・」

 

「いまだに姿を表すはぐれ宇宙怪獣ですが、地球近海での反応兵器の使用には制限があり

強力なビーム兵器の開発が目下の急でして・・・」

地球連邦の軍人は過労で有名だった。


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