大惨事スーパーロボット大戦 Z After 天獄戦争 Muv-Luv 作:溶けない氷
香月博士の執務室
メール
Z-BLUEに関わることで極めて重大な案件あり
至急、電話したく
突然送られてきたメールとついでかかってきた電話。
「失礼、ミス香月。私の名前はジャン・ポール・ロッチナ。
貴方がZ-BLUEと接触を持った人間の中で重要な地位についていることを知っているありきたりの民間人だ」
嘘を言うな!!民間人がなんで基地のアドレスを知っているんだ。
全く、次は完全に不審者からの電話ときたか。
もう大抵のことには驚くまいと腹を決めた博士であったが、
まさか自分の執務室にメールを送り外から秘匿回線に電話をかけてくる奴がいるとは・・・
「無論、突然電話してきた私を信用しろ・・・というのも無理な相談だろう。
だが、添付したメールに私が送った情報を見てもらえれば取引が損では無いと考えてもらえる筈だ」
・・・メールにウイルスが仕込まれている可能性も考えたがこちらは外との通信用PC。
そもそも考え出したらきりがない。
というかメールを仕込みたいなら、これほどのクラッキング能力の持ち主なら
わざわざメールを開いたら感染するなどといった迂遠な手段はとらないだろう。
意を決して開いてみると
「っ!これは!」
そこにあったのは今喉から手がでるほど欲しい情報の一つ
Z-BLUEが使用していた戦術機用の超電磁砲の設計図だった。
「如何かな?ヘリオンという空中機動MS・・・
君たちの星でいう戦術機に相当する機体に装備されている物だ。
威力は火薬推進方式とは桁違いの代物。
無論、戦術機用にチューンする必要はあるだろうが・・・」
「それで、何が望みなの?言っとくけど私にできることなんて大してないわよ」
「君にとっては大したことなくとも、私にとっては・・
いや全宇宙にとっては極めて重大な事柄なのだよ。
そう、キリコだ。
キリコ・キュービィー、彼のそちらの星での行動を知りたい。」
キリコ・・・いったい誰のことだ?
夕呼は映像で見たZ-BLUEの機体やメンバーの何人かを思い出すが・・
「赤い耐圧服の男だよ。そう、君たちの星でいうところの緑色の強化装甲に乗った男だ」
ああ、あの小型機の機銃弾一発で要撃級を倒すわ、
要塞級をばかすか撃破するわ、
あまつさえには拳銃で暴君級を撃破したトンデモ超人か・・・
確かにあんな奴なら誰でも興味を抱くだろう・・・
「あのトンデモ男の事ね・・・どういう事よ・・・説明してもらうわよ」
つ、疲れる・・・大体強化歩兵ごときでBETAを圧倒できるなら人類はここまで追い込まれてない・・・
衛士と技術者と指揮官と国家指導者と人類の常識を片っ端から粉砕してくれた
あの男の事は忘れたいと思っていたところなのだ・・・
「トンデモ?やはり、奴の異能は健在か。何が起こったのかね?」
夕呼は見りゃわかるだろとあの緑色の機体の映像を指定したアドレスに送りつけてやった。
ぶったまげやがれ・・と半ばヤケになりながらだったが・・
「ふむ、まぁこんなものだろう。いささか期待外れではあったがね」
夕呼はガクッと肩を落とした
「あんたねぇ・・・こんなトンデモが期待外れって一体何を期待してたのよ・・・」
何でだろう、無性に腹が立ってきた。
「トンデモ?私に向かって判ったような言い方をするじゃないか。
そんな言い方こそ無知から来る見当外れだな。
遺伝確立250億分の1
生まれながらのPS
異能生存体
触れ得ざる者……どんな奇跡もカオスを体現するあの男には奇跡ではない」
ロッチナと名乗った男から送られてきたあのトンデモ男に関するデータにざっと目を通すと・・
うん、本当なら予想以上にトンデモな化物だ・・・見なかったことにしよう。
「忠告しておこう、奴にのめり込まないことだ。
奴は有害なバクテリア、猛毒を持つ細菌。
ふふ、尤も私にもわかる。あなたも、もう毒が回ってきたようだな。
まぁいい、君が望む兵器のデータは私が出来る範囲で集めておこう。
そう、新型が作られ続けるのは何もガンダムだけではない・・・いずれ、お目にかかる事もあろうさ……」
ねぇよ、勝手に中毒死しやがれ。
電話を置くと今まで以上に疲れが襲ってきた、ああ最近このパターン多いな・・・
一方で.......
「____シンジ」
誰かが呼んでいる・・・
「目を覚ませ、シンジ」
あなたは・・・・
『待っていたぞ、シンジ』
「竜馬さん!?でも何か違う・・巨大なゲッター?ということは違う世界の竜馬さん」
「その区別はここでは無意味だが、そこでは意味がある。だがお前はいつかここに来る。
そう、全ての次元で流竜馬が様々な形でゲッター線に選ばれた者であるように
お前もまたエヴァンゲリオンに選ばれた」
「待ってください!エヴァって・・エヴァって一体何なんですか?
僕が全ての次元で選ばれたって、どういうことなんです!?」
「今の因果律の流れでは、お前が知ることはできないし知ってはならない。
だが忘れるな、ゲッターは補完を望んでいない」
「ゲッター線は・・人類補完計画を認めないってことですか?」
「その為にエヴァはお前を選びゲッター線はお前を認めた
エヴァンゲリオンを新しい世界の為に必要と認めたのだ」
「新しい世界って?何なんです?」
「宇宙の終焉と再生を乗り越えた者。
シンジ、お前に新しい宇宙を構築する可能性をゲッターは認めた」
その瞬間、ゲッターエンペラーの遥か後方に太陽系そのものが移動しているかのような錯覚を覚える巨大な紫の機体が見えた。
実際には見えるはずがないほどの距離にも関わらず、今のシンジの知覚はエンペラーの
それに等しいのか数億光年先のエヴァを知覚できた。
「あれは・・・・エヴァンゲリオン!?でもゲッターロボくらい大きなエヴァなんて!?」
「エヴァンゲリオン虚号機・・・シンジ、お前はあそこにいる。
だがそれは遥かな未来、次元の彼方。今はまだその時ではない」
あの世界、すべての可能性が閉ざされた赤い大地で。
誰もに拒絶される世界。
逃げ出したかった、天獄戦争ですらあの世界にいることに比べればずっとマシだった。
こんな自分にあんなとてつもない可能性があるなんて・・・
「さらばだ、いつかまた会おうシンジ。敵が来る!」
「ま、待ってください!まだ聞きたいことが・・・・」
「チェェェェンジ!ゲッタァァァエンペラァァァワン!」
流竜馬が宇宙をその声で震撼させ、次の瞬間凄まじいエネルギーの奔流に飲み込まれ意識が流されるのを感じた。
「忘れるな、全てはお前の選択次第だ」
最後に竜馬の声が聞こえた、それが何を意味するのか・・・・
「・・・知らない天井だ」
意識が戻ったシンジは、殺風景な部屋のベッドの上で目覚めた
「目が覚めたかシンジ。見たんだな、エンペラーの夢を」
「ゲッターエンペラー・・・・そしてエヴァンゲリオン虚号機・・・」
竜馬はやはりゲッター線と共にある存在なのかシンジへのあの世界の竜馬の干渉も感じられたようだ。
「だが、今のところは気にしても仕方ねぇ。
とりあえず飯でも食いに行くか」
病室を出て勝手知ったる我がなんとやらとでも言うように廊下を歩いていく竜馬。
「あの、竜馬さん。ところでここどこなんです?」
周りを見渡してみるとどことなく連邦軍の基地を思わせる作りだ。
あるいはネルフ本部とも・・・
「ここか?国連軍のドーバー基地だ。
とりあえずブライトさんが迎えに来るまではここにいることに決めたからな。
飯食って後はとりあえずこの基地の連中に礼を言いに行くからな」
案外、律儀なところがある竜馬だった。