大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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翠の地球でもZ、ランドルートの面々はギャグパートになってしまう不思議。


第 24話 でかるちゃぁ

「で?でかるちゃー?」

「そう!デカルチャー!こういう時はそう言うんだよ」

廃材置場の場所を教えて貰ったエスターは作業車で廃材を捨てにきたのだが

その時に教えて貰ったシロガネという少尉と打ち解けて、彼の同期と無駄話に興じていた。

本来なら任務中だがBETAの大群を撃退した後ということもあってエスターは横浜基地の中を見学させてもらえることになった。

無論、強力な兵器を運用するZ-Blueへの遠慮や彼らの反応を見たいという面もあったが・・

「驚いたときー!」

「驚いたときー!」

「「デカルチャー!」」

周りの女子衛士は二人の高いテンションに引き気味だ。

「あ、エスター。ここがPXだ、おばちゃんいるかな」

タケルの案内で横浜基地の売店へと

「へぇ、ってクロウ!何してんだよ」

「ふっ、約束を果たしに来たのさ。ここのおばちゃんに豚の角煮定食を注文したところだ。

そこの坊っちゃんのツケでな」

「年下にたかるなよ」

エスターも呆れ顔で飯にありついているクロウを眺める。

「うん!うまい、いやぁただ飯はやっぱ最高だな!

おばちゃん、おかわり!」

「いい食いっぷりだね兄ちゃん。」

クロウの食いっぷりには京塚のおばちゃんもご満悦のようだ。

 

一方で トゥアハーデダナン

ダナンは今の所、横浜基地近くの水中に停泊していた。

それというのも・・・・

「艦長、一時の方向距離30000 深度200 潜水艦2隻を感知しました。

この星の潜水艦、おそらくはアメリカのようですが。

どうやら隠れているつもりのようですな」

マデューカス副長からの報告によると小型の原子力潜水艦が2隻、横浜基地に接近しつつあるらしい。

小型と言ったが米軍の全長約100mのロサンゼルス級潜水艦は十分に大型である。

ただ単に218mと言う巨大潜水艦のダナンが小型艦扱いのZ-BLUE艦隊が異常なだけだ。

もっとも、連邦軍ではユーコン級やマッドアングラー級だのといった巨大潜水艦は珍しくないので

ダナンもちょっと珍しいくらいにしかならない。

「このタイミングで・・・どういうつもりでしょうか?」

「恐らくは単なる様子見でしょう、例の戦闘で暴れしましたからね。

しかしここまで露骨に同盟国に対して不信を抱いているとは・・・・

こうなると水中戦用のMSを持ってくるべきでしたな」

副長の提案も頷ける、Z-Blueには水中戦闘用の機体が極端に少ない。

これは水中戦闘が発生する機会そのものが極端に少ないというのもあるのだが翠の地球での

例もあるように相手が水中にいると手間取る場合もある。

この星でよく使われている間引き作戦を見ると、BETAを間引くにあたっては水中用MSで水中で相手取ればかなり有利に戦えるというスメラギさんの予報もある。

もっとも水中用MSがメーカー生産中止という問題があるのだが。

「また、どこかからか仕入れてくれると助かるんですがねぇ」

データを見る限りではこの星の水中戦術機・・確かA-6イントルーダーという機体も似たようなコンセプトで作られていたはずだ。

古い古いと言われるジオンの骨董品のズゴックでも103ktというダナンでも振り切れない超高速で航行し、ビーム兵器・24cmロケットを搭載している。

実際、ダナンもこの手の水中MSに苦戦させられた経験があることを考えると、このA-6という機体を警戒すべきかもしれない。

 

 

一方、翠の地球の月

ランドにメール・ガロード・ロラン・レド・ジロン・ゲイナーの7人はアナハイムの依頼を受けて

月面のマウンテンサイクルから古代の遺物の発掘作業に携わっていた。

実際に、地球上よりも月面の方が高価な機体が出ることからMSなどを使えるものにとっては

美味しい仕事が集中している地区でもある。

「ダーリン、こんなの本当に掘り出すつもりぃ?」

「心配すんな、すぐに掘り出して飯の種にしてやるからな。

ゲイナー、そっちの方もオーバースキルでチャチャっと土を消してくれ。

でも、やりすぎて船まで消すんじゃねぇぞ。」

ゲイナーのオーバーマン、キングゲイナーがシベ鉄の掘削用オーバースキルで

月面を掘り進める。

「わかってますよ、僕だって早く終えたいんだから」

「だよなぁ、ゲイナーは早くサラの元に帰りたいもんなぁ」

「わかるぜ、俺もティファを早く抱きしめたいくらいだもんなぁ」

「「「サラー好きだー愛してるー、エクソダスする前からずっとー」」」

皆がゲイナーのワールドクラスの愛の告白を合唱するとゲイナーは真っ赤になって怒り出す。

 

メールが文句を言いながらもガンレオンの中で作業をするランドに月面の作業車の中から指示を出す。

現在、発掘中なのは大型の艦船、冬の宮殿の護衛艦だったという話もあるが情報が古すぎてよく分からない。

別にそうと決まっているわけでは無いが発掘品は大型のものほど価値がある。

相変わらず発掘された大量のMSなどを使っての犯罪が後を絶たないことから現在はマウンテンサイクルなどの発掘は連邦政府の許可制となっており彼らのような民間業者が関わることは稀なのだが・・・

「そこはそれ、俺とあのおっさんとのコネって奴だな」

炎のMS乗り、ガロード・ランとアナハイムの幹部のアルベルト・ビスト氏はなぜか仲が良かった。

「ところで思ったんだけどさぁ、ジロン」

「何だ、ゲイナー」

「何でギャリアーが月面で動けてるんだ?ガソリンって真空中じゃ燃えないだろ。それにガンレオンも・・・」

「やめろ!ゲイナー!」

と、ここでランドからツッコミが入る。

「そうよゲイナー。それっていわゆるメタ発言ってやつよ!

気をつけないと、いつの間にかバニッシングされて黒歴史になって埋葬されちゃうのよ!」

二人の悲鳴で中断される誰もが思うであろう疑問。

「そうですよ、それに不思議を言い出したらオーバースキルとかどうなるんです」

「・・・そうだね、世の中の当たり前な不思議を考え出したらきりがないしな」

ロランがここで助け舟を出してくれなかったら危うくバニッシングされてしまうところだった。

それ程に危険なのだ常識を疑うとは。

「けど残念だね。ヤーパンのみんなやアイアンギアーのみんなこっちの仕事に来れなくって」

「仕方ねぇさ、地球の復興の方が遺物掘りより重要なんだから。

Z-Blueのみんなも宇宙のあちこちに行っちまってなかなか帰ってこれねぇしな」

 

 

しかし、タイヤのついた大型戦艦とは・・・・

「しっかし変てこな船だね。タイヤついてるよ、タイヤ」

「そうか?俺は結構気に入ったけどな。」

「これって・・・あれだろ。道路工事に使うロードローラのでっかいやつか」

「こんな大きなタイヤが必要だったなんて・・・

昔の人はよっぽど大きな道路を作ってたんですねぇ」

それぞれが様々な推測を出す中で

「何言ってんだ、ガロード・ロラン。

これはあれだろ、どう見てもバイクじゃねぇか」

「あのねぇ、こんなでっかいバイクあるわけないでしょ。」

「そうかぁ?ダイターンとかなら丁度いいサイズだと思うがなぁ」

メールは巨大なダイターンが巨大なバイクにまたがってヒャッハーしている図を想像してみた。

「レド少尉、航宙艦に重力下で使用される車輪を装備する意義が見当たらない

説明を求める」

「チェインバー、俺に聞くな。それと音楽を止めろ、集中できない」

「レド少尉の”情操教育”に有効であると判断する」

チェインバーがメモリーしてあるランカの歌が常に現場に流れる

だが果たしてこれに何らかの効果があるのかは不明だ。

 

「ん、アルベルトのおっさんからのメールじゃねぇか

なになに・・・・」

ガロードがターンエーの通信機にアナハイムのアルベルト氏からのメール着信を確認した。

「へぇ・・・なぁランドのおっさん。修理屋として蒼の地球に行ってくれってさ・・・」

 

「おっさんはやめろ・・・それと本当に”修理屋”としてだな」

ランドがガンレオンからDXへ念を入れて問う、クラッシャーとしての仕事ではないことを特に。

 

「何でもブライトさんが他の星へ行くから手伝いにいて欲しいんだってさ。

迎えにオットーのおっさんのネェル・アーガマをよこすそうだけど・・

皆んなはどうする?俺はZ-BLUEのみんなを手伝いたいから行くけどさ(払いもいいし)」

Z-BLUEとしての仕事、なら皆の答えは決まっている。

 

フランス・ル・アーブル近郊

発 欧州連合軍司令部 

宛 西独第44戦術機甲大隊 指揮官 ヴィルフリート・アイヒベルガー少佐

最優先事項

『貴部隊前面でフランスに展開している友軍と接触し・救助せよ』

「何かの冗談か、あるいは司令部の連中も遂に頭がおかしくなったか」

「少佐、いかがなされましたか?」

副官が訪ねてくるが、問題なのは間引き作戦が開始されたというのにこんな曖昧な命令をねじ込んでくる司令部が・・・・

「まぁいい、どうせ全滅しているだろうしな。司令部の連中も無駄な命令を出したものだ」

こんな馬鹿げた命令に付き合って無駄に消費することはない、なら任務を遂行するのみ。

 

CPより入った奇妙な情報、いつもならば間引き部隊が出てくる度にBETAがどこからともなく

湧いて出てくるというのに今回に限ってはやけに食いつきが悪い。

「CP、現在の状況データが入ってこないわ。簡易でも構わないから状況を知らせ」

副長がCPに状況の確認をする、重金属雲の発生でデータリンクに支障が出るのは毎度のことだが

今回のそれは国連軍の久しぶりの大規模間引き作戦のため通常よりも濃い。

「こちらCP。弾薬消耗率は現況で12%、BETA殲滅率は現況で6%」

「何だと!データを確認したのか!」

わずか6%の殲滅率、通常ならばありえない・・・がそれ以上に驚愕の情報が入る

「当該地域からBETAが次々と南下中、間も無くほぼ全てのBETA群が艦砲射撃の射程外まで離れます」

突撃しか戦法の無いBETAが戦術機を前にして後退。

通常ならば歓迎すべき事態だが、こと間引き作戦では歓迎どころか最悪の事態としか言いようが無い。

BETAが後退と戦力の温存という戦法を取る。

それだけで人類の戦略にとっては致命的な物になる。

考えても見てほしい、人類が英国でBETAを撃退できたのはなぜか

それは英国に侵攻してきたBETAをロンドンに到達する前に殲滅出来たからだ。

何を当たり前な事をだと思うが、もしもBETAの数が3倍・4倍だったら?

戦いは数なのだから。

「大隊長より各中隊へ、CPより更なる情報が入るまで現況で待機」

部下から了解の応答が届く、全くもって地獄の番犬にとっての厄日は始まったばかりだ。

 

『BGM:今がその時だ』

一方でこの大後退の元凶は一人、フランスのBETA群れのど真ん中で大暴れしていた。

ブラックゲッターが加速し、空中で変則的な機動を行いレーザー照射を回避

更に一瞬で間を詰めたかと思うとすれ違いざまに重光線級をゲッターレザーで切り裂き、

次の瞬間には通り過ぎていく。

その過程で人間ならば即死するレベルのGがかかるが竜馬にとっては

心地よい刺激でしかない。

常人が生身で耐えられる限界は6G、パイロットがパイロットスーツを着用して耐えられるのは精々11G。

そこまでが通常の人類の限界、これ以上は瞬間的には耐えられてもまともに機体を操作できない。

これではチェンジだけで死者が続出するのも無理はない。

ゲッターチームとは

曰く、数百mの高さから園児を抱えて落ちても下に良いクッション代わりの車があれば足がしびれたで済ませる。

曰く、素手で人間(やインベーダーや鬼、超能力宇宙人)をボロ雑巾のように引き裂く。

曰く、超音速で飛行するゲットマシンに生身で飛び乗って平然と操縦する。

曰く、人間なら即死するはずの麻酔を撃ち込んでも2・3時間で起きる。

という数々の噂が流れるゲッターチーム、いくらなんでも誇張であろう。

「ゲッタァァビィィィム!」

ゲッタービームが黒いマントによって乱反射され発射されたビームが五月雨のごとく前面のBETA群に降り注ぐ。

重力制御を応用した竜馬独自の改修による面制圧兵器だ。

「シンジィ!11時に敵!」

「は、はいぃ!」

13号機の防御ユニットを展開しATフィールドで群がって切るBETAを片っ端から

叩き潰し、すりつぶして前進する13号機。

かつての地獄戦役では例え初号機に乗らなくともZ-BLUEでできることを探す

その決意を持った強いシンジに同じ陣代高校の大人として竜馬はなって欲しかった。

尚、本当に初号機を降りたらゲッターに乗せようと思っていたが

ティエリアに人間はおろかイノベイターにすら無理だと反対されてしまった。

『心配いらねぇよ、ガンダムみてぇなもんだ。乗ってるうちに慣れてくるだろ』

『その前に間違いなく死ぬことはヴェーダなしでも容易に予想できるよ』

そう、これも心優しい竜馬からシンジへの彼なりの心のケア。

考える余裕も無いほどの修羅場に放り込んで破壊と殺戮の限りを尽くさせて

闘争本能で悩みを吹き飛ばす、ゲッター系男子の心遣いなのだ。

周辺のBETAを殲滅し、安全を確保してからイギリスに向かうという竜馬の作戦

一応、筋は・・・多分通っている

13号機には遠距離攻撃が可能なパレットライフルが装備されているが

弾薬補給を考えれば無駄遣いはできない。

構えたライフルの照準を狙いながら

「目標をセンt『突っ込めシンジィ!』ええぇ!」

・・・・・射撃しようとしたが目標はその前に片っ端からゲッタートマホークのサビになった。

「・・・・僕・・・必要かなぁ・・・って、これ」

13号機のセンサーには新たに無数のBETAが全面から接近中だという

「竜馬さん、前面にまた怪獣が・・・概数・・・約5万!?

さ、更に後方からも10万以上が来ます」

シンジが叫ぶように報告する、彼らは知らないがこの星でBETA15万というのはかなりの数である。

雪崩れ込まれたら前線国家が消滅しかねないほどだが

「おもしれぇ・・・たかが10万、20万でこの竜馬さまを止められると思うなよ!

行くぜ!インベーダーもどき共、テメェラにも味あわせてやる。ゲッターの恐ろしさをなぁ!」

悪鬼の形相で迫り来るBETAの大群に突っ込む竜馬。

と、ここでシンジはスメラギさんからの通信を思い出す

『シンジ君、竜馬が暴走しそうになったら今はあなただけが頼りよ。

なんとかして食い止めて!』

というスメラギさんの無茶な注文を・・・・・

使徒と一対一で戦う方がまだ容易い気がする。

「絶対に無理だよ・・・」

「シンジ、まずは前面の敵を全滅させてから後方のを殲滅する」

早くもBETAを片っ端から切り刻みながら前進し、竜馬が指示を下す。

さすがはゲッターリーダー、戦闘指揮も伊達じゃないのかシンジに

「とにかく突っ込めぇ!そうすりゃ嫌でも的に当たる!」

という実に適確な指示を下す。

それからもトマホークを投げまくり、マシンガンをぶっ放しながら襲いかかってくるBETAを次々と只の肉塊へと変えていく。

日頃からのメカならぶっ壊す、生物だったらぶっ殺すを有言実行している。

「ゲッタァァァァビィィィム!」

と腹部から緑色の光を迸らせ集中照射をかけてきた光線級の群れを一掃し

「まだだぁぁぁっぁ!」

出力をゲッター炉心の限界以上まで上げていく。

竜馬自身が緑色のゲッター線の光に包まれ、ゲッター炉と同調。

その理論は太陽炉のツインドライブと同じだが、人間自身が機動兵器の動力炉などという非常識が・・・・

結構普通にあった気がする。

「うぉぉぉぉ、塵殺しだぁぁぁ」

ゲッタービームを照射された箇所が次第に赤熱し

緑色の閃光を放ってドワォと爆発した。

「う、うわぁぁぁぁ。竜馬さん!何してるんですか!」

とっさにATフィールド全開で防ぐが並の機体だったら軽く吹き飛ぶ爆風でよろめく13号機。

「心配いらねぇ、あんまり数が多いもんだから軽くゲッター線臨界反応で吹っ飛ばしただけだ。

見ろ、さっぱりしたろ」

ブラックゲッターが指さすとそこには直径1kmほどの小規模なクレーターが出来上がっていた。

今回の爆発の振動が駐英米軍基地でも観測され、

『英国はなぜ事前の協議無しに大規模戦略兵器をフランスにおいて使用したか?』

と大使が緊急面談を首相に求めるなど大騒ぎになったが些細なことだ。


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