大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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新品のAT?
ネッシーやビッグフットみたいなもんだろ。



第23話 エスターと彼ら・・・

一方で横浜基地の外れにある駐機場

戦闘が済んだこともあり、一度全機のチェックを済ますことを望んだ各艦の艦長の意見により

ここでは戦闘に参加した機体が香月博士から間借りしたスペースで艦の格納庫では整備している機体以外が外で整備を受けることになった。

「やっぱり駄目だね。キリコ、悪いけどこのドッグは使える部品は剥ぎ取ってスクラップにするしかないね」

そう言ってドッグを早くもバラシ始めたのは黒の騎士団のメカニックのラクシャータ博士。

「そうか」

「っていうか、フレームはガタガタ。ポリマーリンゲル液はドロドロ。

ミッションディスクは焼き付いてるとかどんな無茶をさせりゃ

一回でここまでボロボロにできるんだい」

「すまないな、相変わらず世話をかける」

「今に始まった話じゃないけどね、けどパーツも中古だからなるべく優しく扱いな」

当てにならないパーツがざっと50はある、いつもの事だ。

 

「ええと、ラクシャータさん。まさか僕のランスロットも・・・・」

スザクが不安そうに聞いてくる、まさかとは思うが・・

「なんだい、ランスロットには心配しなくても比較的当てになるパーツを優先して剥ぎ取ってきたから安心おし」

どうも予算削減の煽りを受けたせいで機体を戦場に転がっていた

残骸から剥ぎ取った部品でメンテしていたらしい。

その話に少し不安を感じるスザクだが

「ま、アタシの受け持ちは今はKMFとAT、それにラボの機体だからいいとして

ほれ、ATをバラすのを手伝いな。その次はKMF2機にブラスタ兄妹とイカルガだよ」

そう言われて戦闘に参加したドッグをみるみるうちにキリコが他のATを使って

器用に分解していく。

後にはパーツを剥ぎ取られたスクラップが横浜基地の片隅に転がっているだけだった。

向こうでは戦車級に齧られてやはりスクラップと化した無人M6が見るも無残な姿をさらしているし、光線級の照射を受けて融解したビームライフルなどZ-Blueが決して無敵の部隊ではなく

攻撃を受ければ傷つき、限界もある人間の集団だということの証拠がそこかしこに転がっている。

「どうしたもんかね、この粗大ごみ。エスター、そこらへんの人に聞いてごみ置場探してきておくれ」

「いいのかなぁ、こんなに沢山ゴミ捨てちゃって」

自分の機体はソレスタルビーイングのメンテハロに任せているエスターが一番暇そうだという理由で使いっ走りに選ばれる。

 

そう言いつつも横浜基地の駐機場をガードしている戦術機とかいうMSみたいな機体に

ローテーションを組んで警戒に当たっているパイロットに聞いていみることにした。

(へぇ、随分物ものしいなぁ・・・敵襲があったから当然か)

女は度胸、とばかりに交代で今は休憩しているらしいパイロットに呼びかける

「すみませ〜ん、ゴミ捨て場ってどこですか〜」

周りで警戒している機体がピクッと反応するのがわかった

あれは・・・警戒しているのだろう。対象は・・・Z-BLUEそのもの

(う〜ん、やっぱテロリストとして活動してたのがまずいかなぁ)

頑張れエスター、君だって(短期間だが)主人公だ。

すると遠巻きにしていたパイロットの一人が駆け寄ってきて

「自分は白銀武少尉です。廃材置場ですね、ご案内いたします。」

すると眼鏡をかけたパイロットらしき女の子が寄ってきて

「ちょ、白銀。勝手に行動するなって散々言われてるでしょ。」

「でも、助けてもらった人達だし普通に場所を聞かれて教えるくらいならいいんじゃないか」

「あっ、いいよ。場所を教えて貰えば勝手にいくし」

「いえ、そういうわけにはまいりませんので少々お待ちください」

そう言うと無線機らしき物で通信を取り始めるメガネの子

だが少々問題が・・

「本部、こちら榊 少尉。乙部隊の隊員1名が廃材置場の場所を知りたいとのこと、どうぞ」

だが何故か返ってくるのは雑音ばかりで返事がない。

「本部、こちら榊 少尉・・・ああもう、どうなってるのよ」

(あちゃ〜これってGN粒子の影響かな?トランザム発動しすぎたかなぁ?)

自らもトランザムを発動しまくったエスターはちょっと反省した。

蒼の地球でならEセンサーの普及で大した問題ではないが旧暦にして20世紀末のこの星では

「あ、あのさぁ場所教えてもらうだけでいいんだよ」

「いえ、そのようなわけには」

「それにさ、かしこまって喋べらなくっていいよアタシと歳そんなに変わんないでしょ」

「ほらな。廃材置場を知りたいってだけだからチャチャっと行けば大丈夫だって。

こっちですよ、えーとお名前は?」

「エスター、エスター・エルハスだよ。それとアタシは軍属じゃなくって民間人だから敬礼もいいよ」

そう言って整備場近くの廃材置場にエスターを勝手に案内するタケル。

 

 

 

一方でティエリアとスメラギは今回の疑似GNドライブの提供について

正しい判断だったか?と言う点で話し合っていた。

「彼らは受け取ったのか?あれを」

「ええ、当初の予定通りに」

あの疑似GNドライブには裏切りのガンダムスローネシリーズと同じ様に

ヴェーダからの干渉で緊急停止が可能になっている。

遅かれ早かれ、GNドライブと競合するミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉技術を持つ

アナハイムがこちらに接触すれば、商売上手な彼らのことだ。

翠の地球系統のMS派生技術を売り込みかねない

それくらいならCBのフロント企業経由でコントロール可能な疑似GNドライブを使ってもらった方がいいという結論に達したティエリアとスメラギだった。

無論、リスクもある。

何より彼らが信頼できる人間だった場合、信用を損ねるという恐れもある。

使わないに越したことはないが彼らが例のように裏切った場合は・・・

万が一の場合には、緊急停止も辞さないというのがゼロ・ティエリア・スメラギ・ロジャーが出した結論だった。

 

 

 

イギリス国防省

「それで、その謎の部隊の所属は掴めたのかね?」

秘匿回線で情報省とコンタクトを取る国防大臣だが

その顔は疲労で冴えない、9割以上が予測した日本の陥落という予測

それを覆した横浜国連軍基地に増援として現れた謎の部隊。

軍関係者どころか人類そのものにとって一大ニュースだと言ってよく

既に各国の上層部の知るところとなっている。

「いえ、彼らの素性については未だ未確認です。ですが国連軍経由で興味深い情報があります

彼らの一員がフランスに現れたという連絡があり、彼らが保護を求めているというのです」

「情報?どこからのだね?」

「例の横浜の女狐です、正直耳を疑いましたが”保護”の見返りが破格だったのでガセだとは思えませんが」

「見返りとは?」

「例のType99レールガンのブラックボックス化された機関部と機密技術を提供とのことです。

詳しいデータはこちらに・・・」

「破格だな・・・・保護か・・・・だが、BETAの巣と化したフランスのど真ん中に降りた部隊の救出作戦、前代未聞の上に救出対象が生存している可能性は0だぞ」

「それでもこれだけの機密を提供するからにはそれだけの価値のある物なのでしょう」

「わかった、欧州連合軍司令部につないでくれ。間借りしている身の彼らに又一働きしてもらおう。

ああ、私だ。今、間引き作戦に従事している部隊は・・・

西ドイツの44大隊、指揮官に繋いでくれ」

 

 

 

 

フランス ルーアン近郊

一方で心配されている少年と、誰にも全く心配されていない青年は

「ゲッタァァァトマホォォク!」

ブラックゲッターの振るうトマホークの前に文字どおり一撃で粉砕された数え切れないほどの

BETAはかつては世界にもその名を馳せたフランスのル・マンからルーアンまでの200kmの直線を死骸で舗装している。

今もまた、一撃で要塞級が消し飛ぶ

「りょ、竜馬さん。スメラギさんはイギリスに向かえって言ってましたのに

こんなに相手をしてたら・・・」

「難しく考えんじゃねぇ、シンジ!要するにここいらのインベーダーもどき共を皆殺しにしてから向かえってことだ。長い付き合いだ、これくらいのサービスしないとな」

竜馬にも彼なりに考えがある。

このままBETAをブラックゲッターと13号機で人が住んでいるイギリスに引き連れていけば

民間人にも被害が出る。

それを防ぐにはとりあえず目に付いたBETAを片っ端から皆殺しにする。

要するにいつもの竜馬である。

「それに相手のデータだって不十分ですし・・・」

「別に今までの連中と変わらねぇ。ぶっ潰せば殺せる、殺せば死ぬなら簡単なもんだ。

行くぜシンジ!このインベーダーもどき共を、宇宙の果てまで追い詰めて一匹残らず絶滅させてやろうぜ!」

 


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