大惨事スーパーロボット大戦 Z After 天獄戦争 Muv-Luv 作:溶けない氷
ユウヤ「ビームライフルがあるんだったらサーベルとかいらないだろ。
その分、弾持てばいいじゃないか」
UC的思考:機体を鹵獲したりコロニーに被害を出さないため、
コックピットのパイロットを灼き殺す為に必要。
まぁ実体剣と違って軽いし、嵩張らんし
風呂も沸かせたり溶接トーチ代わりにも使える便利グッズだしね。
「クロウ、聞こえる?
リ・ブラスタTとブラスタEsは横浜基地の周辺で待機しておいて。
万一は無いと思うけど・・」
スメラギからの指示でリ・ブラスタTとブラスタEs改が完全武装状態で横浜基地の駐機場で待機することになった。
周辺にはミスリル隊のM9がECSモードを作動させて待機しており、
刹那のELSクアンタは文字どおり一身同体のためすぐに呼び出せる、
その他のGNドライブ搭載機も出撃準備状態に入っていた。
一方で横浜基地側
香月副司令に呼び出されたA-01全体の指揮を取っている神宮司 まりも大尉は元々は陸軍大尉だったのが、
オルタネイティブ4計画の凍結により来年には陸軍に戻ることが決定していたがこの度の横浜基地襲撃では止むを得ず国連軍に出向したままとなっており
そのまま襲撃に際してA-01全体の指揮をとることになったのだが・・・
「A-01を完全武装状態で待機?」
「そっ、あの連中との会談が終わるまで基地内で武装待機。
万が一の事態に備えてね」
「・・・・・Need to Knowという事ですか、今回も」
「そ、わかったでしょ。いつもの通りよ」
そう言うと敬礼を返し、執務室から回れ右をして出て行く神宮寺大尉。
(悪いわね、でも連中が完全にこっちの味方って断言できないのは事実よ。)
実際問題として最初の方はヒューマノイド型エイリアンから第5計画の秘密兵器部隊という可能性まで考えていたが。
勝利の余韻が冷めて冷静になると、
やはり彼らを完全に信頼できないという考えがもたげてきた。
そもそも何故、横浜なのか。
こう言っちゃ悪いが、今の日本は彼らの超兵器に必要な経費だってまかなえるかどうか怪しい,
というか通常兵器すら満足な補給が受けられない。
佐渡から侵攻してきたBETAも砲弾さえ十分ならもう少し減らせたろうに、それができないから戦術機での白兵戦を強いられているのだ。
常識的に考えれば戦術機と砲弾、どちらが効果的かはわかるだろう。
その砲弾すら貴重品だからより貴重品の戦術機を使い潰さねばならない、それくらい台所事情が火の車なのだから。
そもそも地球に関する情報を十分に収集できるというのは彼らの装備から考えて当然のように考えられる。
それなのにわざわざ陥落寸前の国を選ぶのが解せない。
それにBETAに関して伝えたいというセツナという人物のこともある。
考えてみれば宇宙人がBETAと交信できる技術があることは想像すればすぐにわかる。
地球人ですらBETAと交信しようと躍起になっているのだから彼らが実用化した可能性は十分にある。
ゆえに霞には待機状態でリーディングには待ったをかけている。
正直、こんなぶっつけ本番状態で会談というのも彼らの罠ではないかと疑ってしまう。
何しろこっちにはロクな準備すら整える時間がなかったのだから。
・・・・・・・・・・
一方で神宮司大尉は上空からこちらに向かってくる機影を確かめると
A-01全機と言ってももはや自分を含めて13機しかいない不知火に警戒態勢をとらせる。
「いいか、一瞬たりとも気を抜くな。常に相手の一挙一動に細心の注意を払って警戒に当たれ!」
基地の上空から4機の見慣れぬ戦術機が降りてくる。
一機はフランス国旗のようなカラーリングと背中から柔軟な素材でできているのかたなびく髪のようなものを生やした機体。
(別に衛士がフランス人ってわけじゃないわよね・・・)
もう一機は黒と金色の小型戦術機
(報告にあった、高笑いの偉そうなやつの機体か・・・)
そして最後にやってきた二機は大型の羽根と推進主機を装備した銀色の機体とその派生型と思われるシルエットがよく似た黄色の機体。
データをよく見たがあの二機とも突撃級の甲殻を容易く貫通する兵器を装備していた。
(恐らくは電磁投射砲なんだろうけど・・・・)
電磁投射砲、帝国はおろか世界でも試作段階にすぎない超兵器。
99式試作の性能を見せてもらったこともあるが、戦術機が装備して機動戦闘を行うことなどあのサイズでは夢のまた夢。
それを下りてきた2機は容易く行えるということに軽く嫉妬感を覚える。
あれだけの新兵器を佐渡島戦に投入できていたら帝国は勝てたのにと・・・
(思ってみても仕方ない・・か)
『こちらは、Z-Blueの機体だ。
事前の申請通り、香月副司令と会談する4名の代表者を今から駐機場に降ろす。
会談の間は駐機状態の機体には近づかないよう事前に合意がなされている。
2機がBETAの警戒のために待機することになっている。』
「了解しております。
私はA-01の指揮官を務めております神宮司大尉であります。
事前に香月副司令より会談中の警備指揮官を承っております。
機体について当方が責任を持って警備いたします。」
指定された場所に着陸する4機、
するとその中の3色旗のと黒金から二人づつ人が降りてきた。
・・・・・・
うん、なんだあれは。
一人は見慣れない機密兜と強化装備に身を包んだ少年衛士、わかる。
一人は見慣れないジャケットを着たアジア系の女性、士官なのだろう。
一人は黒いスーツの白人、どっかの高官なのだろうか?
だがここは最前線なのだが
・・更に言えばもう一人は・・・なんというか・・・仮面だ・・・
・・・仮面に変なマント・・・怪しい・・・いや、よそう
一方では
「なぁクロウ、なんで私たちが会談中にこの基地で戦闘待機してるんだ?」
(暇だなぁ・・・ランカちゃんの歌でもかけよっと)
ランカのディスクをブラスタEsのコクピットにあるプレイヤーでかけ始めるエスター。
さらにコクピットの中に引っ掛けたレジ袋からお菓子やジュースで長丁場に備え始めた。
そんなにだらけてると奇襲されちゃわないか不安にならないのか。
「スメラギさんの気配りさ。この星の機動兵器のデータ、たっぷり取れってさ。」
スコートラボ製の機体の2機には次元獣の他にも他勢力の多様な機体データを収集するための高度なセンサーが搭載されている。
『どうせ、借金を返し終わってないんでしょ。
借金返済ついでにあなた達にボディーガードをお願いするわ。』
ということらしい。
(それに向こうさんも警戒感、ビンビンらしいしな)
データでは100m先の機体群、13機のシラヌイとか言うらしい機体は実弾装備の完全武装状態だということが示される。
こちらを全く信頼していないというよりは用心深いのだろう、未知の相手では仕方ないとも言えるが。
(武装は・・・36mm機関銃に短砲身の120mm砲、それと実体剣か。
動力は燃料電池、ジェットエンジンにロケット・・
AEUイナクトに似たコンセプトの機体ってとこか。)
かつての破界戦役では既に旧式化していた機体だったがアリー・アル・サーシェスなどの凄腕が乗れば旧式とはいえかなりの脅威となった機体だ。
ましてや今は2対13、下手に相手を刺激してどんぱちになるのは御免被る。
一方で、神宮司大尉はクロウ以上に緊張していた
『では、彼らは敵だというのですか?』
『そんなに固くならなくったって。まだ、そうと決まったわけじゃないわよ。
でもその可能性はあるし、そうなる可能性も十分ある。
だからこう言って最低限の警戒だけはしときなさいよって事、わかった?』
(とは言っても・・・警戒して戦闘になったらどうしろっていうのよ・・)
実際問題として対峙していると眼前の2機の新型機の圧迫感は凄まじい。
銀色の方の巨大な電磁投射砲は試製99型電磁投射砲が豆鉄砲にしか思えない威力だということを目の前で実演された。
何しろあの暴君級すら一撃で屠った超高性能兵器だ、夕呼は
『とんでもないわね・・あれは荷電粒子砲としても使用可能なタイプの兵器よ。
おそらくは状況に合わせて電磁投射砲としても使える両用タイプを装備させてるのね、しかも戦術機が携行可能まで小型化。
どんだけの技術力があれば、あんなとんでもないものを作れるのかしらね・・・』
黄色い方に関しては
『あの黄色い方はこの銀色の方の小型verってとこね、設計思想が外観からでも共通してるのがわかるわ。
あの赤い光る粒子は意味わかんないけど。
これは予想だけどF15とF16みたいなHi-Low mix的な運用を考えられてんじゃないかしら。』
小型・・・と言っても、映像ではこちらも電磁投射砲を装備していた
(もしもあいつの一撃を食らったら・・・)
ぞっとしない想像だ。映像では突撃級の甲殻すらボール紙みたいに貫かれていた。
戦術機が喰らったら掠めただけでも木っ端微塵になるだろう。
そう思うと今にも銀色と黄色い機体の持つ電磁突撃砲の砲身がこっちを向くのではないかという緊張で操縦桿を持つ手が震える。
こちらからは絶対に手を出さないよう、全員にも周知してあるが・・・・
向こうがその気になればこちらは一瞬で全滅だろう。
向こうの衛士が緊張のあまり、その気に成らない事を祈るばかりだ・・・
銀色の方は白銀機を助けてくれたことから友好的なことがうかがえるが黄色の方はわからない。
特に日本人に良い感情を持っていない米国の衛士(夕呼は断定しなかったがあれだけの装備を開発できそうなのは米国くらいなものだろう・・)が激発する可能性も、こちらの反米感情を持った日本人衛士が暴発する可能性も(そして98年以上に日本撤退を決定した米国を罵る日本人の声はそこかしこで聞こえている。)ある。
ああ、胃が痛い・・・もう私もこんなことで胃潰瘍になる年なのか・・
一方でブラスタEs改のコックピットでは
『もぐもぐ にゃんにゃん、ニーハオニャン。』
娘娘の名物CMソングを口ずさみながら、これまた名物のまぐろ饅を頬張るのはエスター。
それにしてもこの娘、どこかが変だ。
『おい、エスター。戦闘が終わったからってあまりリラックスしすぎるなよ。
ついでにまぐろ饅くれ』
『やだよ、これアタシんだから!そっちこそ、この星のパイロットに奢らせる約束してんだろ。そっちに話してみりゃどうなんだよ』
成る程、道理である
『いやぁ、ゼロから下手に向こうを刺激して何が起こるかわからないから会話はしないほうがいいって言われてるんだわ。
異文化コミュニケーションって難しいな。』
一方その頃、横浜基地の面談室では会談が始まろうとしていた。
「では、自己紹介を。私がソレスタルビーイングの戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガ」
「イカルガの艦長を勤めているゼロだ」
「私が地球連邦から交渉を依頼されたロジャー・スミスです。
お見知り置きを、ミス香月」
「刹那・ F・セイエイ。ガンダムだ」