大惨事スーパーロボット大戦 Z After 天獄戦争 Muv-Luv 作:溶けない氷
第3次スーパーロボット大戦 Z Aftert 天獄戦争
蒼の地球から2天文単位ほど太陽を挟んで離れた座標。
太陽系の中でもひときわ寂しく訪れる船も無い。
この座標もフロンティア船団からもたらされた
フォールド航行に乗ってイノベイターへと覚醒した数多くの人類が
外宇宙へと向かう今となっても宇宙の広さからすれば人などまだ芥子粒のようなものだと思い知らされる。
銀河間航行技術の発展に伴って旧型になりつつある船が一隻。
恒星間ブースター装着などにより改良されたとはいえ、
半年前の天獄戦争終結以来の技術の発展スピードは凄まじく
かつてのソレスタルビーイングの母艦プトレマイオス2は今、戦闘艦としての役割をほぼ終え
時空振動調査艦としての任務に当たっていた。
「んで、なんでその調査隊がソレスタルビーイングのメンバー+この借金王(シャッキング)なんだ?」
ロックオンが当然のように疑問に思う。
いくら再世戦争以来の付き合いとはいえ、いまやリーマンのクロウが世間様からの扱いが未だにグレーなソレスタルビーイングにいて良いのだろうかという彼なりの思いやりだ。
「スコートラボからの出張組なのよ。こっちとしても万が一の時の戦力は多いほうがいいしね。
それに、Z−BLUEの貧乏くじ同士ウマが合うでしょ。」
戦術予報士のスメラギさんはもう気にしちゃいないが。
「誰が!」「貧乏くじだ!」
二人がジェットストリームアタックもびっくりな連携攻撃を決めた!
「見事な連携だ。」
「ああ、脳量子波共鳴でもこうはいかないな。」
刹那とティエリアも相変わらずな二人には同意する。
「で、実際問題いくらなんだい?揺れ動くバランスシート。」
アレルヤの無慈悲な疑問は
「いやいや!なんで借金がスフィアの源みたいなことになってんだよ!」
「実際、借金がないほうが不安になるくらいです!クロウさんの場合!」
ミレイナもここで負けじと援護射撃に入る。
「…もう反論する気力もおきねぇ。」
「ま、元気出せって。今回は最近起きてる時空振動の調査だろ、そんな危険なんて無いって。」
「あら、どうかしら?Z-Blue行くところ大戦あり、でしょ?ライル。」
アニューがブリッジに入ってくると、ロックオンに話しかけている。
「そいつも女の勘ってやつかい?」
実際、ここ最近頻発している時空振動は小規模なものであるが、
翠と蒼の地球の連邦政府に様々なバアルの残存勢力出現の可能性がヴェーダから示されており
かつてのメンバーもそれぞれの星、それぞれの国で警戒態勢を取っていた。
加えて、天獄戦争によって全土が戦場となった両地球では急速に復興が進められており
その仕事に加わるべくかつてのメンバーも忙しくしていた。
このため、地球から遠く離れたこの地点での調査に来られたのは
ソレスタルビーイングチーム +苦労人だけだったのだ。
「実際、先の戦争でかなり連邦軍もやられている。
回せる人員はヴァジュラやELSの協力を得てもないとなれば、
かつての仇敵の手も借りようというんだよ。」
「だが、時空振動でかつてのヴァジュラやELS、ヒディアーズのようなまだ地球人との相互理解が成し遂げられていない種族が跳躍してきたのなら、俺が必ず彼らとも理解しあってみせる。」
「へへ、頼りにしてまっせ。刹那連邦大使殿!」
そう、ソレスタルビーイングが調査に選ばれた最大の理由が異種族との早期理解による不毛な戦乱の防止にある。
また、人間種だった場合でも対応できるようにと連邦大統領からの特書も渡されている。
「さ、みんな!そろそろ小規模時空振動が連続して観測されたエリアよ。」
「ガンダム、リ・ブラスタはカタパルトで待機!観測エリアでの無人機情報収集を開始します。」
3時間ほど無人機による観測が続けられるが、特に目立った異常は見当たら無い。
ロックオンは「何もねぇなぁ。」と暇を持て余している。
クロウによると「暇なのが一番、貧乏暇なしって言うくらいだからな。
ま、お前はアニューちゃんと部屋で過ごしてたいんだろうからな、」
「その点ではアレルヤがポイント1だな。彼女連れ込みのガンダムなんだから。」
「ロックオン、下品だよ。」
だがその時、突然時空振動の数値が跳ね上がったとフェルトの声が上がる。
「時空振動値が!トレミーの計測可能値を突破!何かが移転してきます!質量、極めて大!惑星級です!」
「トランザム発動!現宙域を全速で離脱します!」スメラギの素早い声に応え
アニューがイノベイドの持って生まれた反射速度で一瞬にして艦をトランザム状態にし
加速させる。
凄まじいGに皆が押し付けられるが、次の瞬間次元振動の余波によって艦が大きく揺さぶられる。
「振動、来るです!」
艦もガンダムもたっぷり30秒は揺さぶられ続けた。
もしもとっさに加速して離脱していなかったら艦も被害を受けていたほどの振動だった。
「フェルト、艦に損傷は?」
「システム異常無し。艦に損傷は見られません。」
「そう、不幸中の幸いね。アニュー、さすがのお手並みね。ありがとう。」
そんなスメラギさんにアニューも微笑みで返す。
「それで、トレミーを危うく押しつぶしそうになったあれは一体なんなのかしら?」
トレミーのスクリーンに映っていたのは紛れもなく地球と月だった。
「やれやれ、もう大抵のことには驚かなくなったけどね。」
「また地球がやってきた…」
アレルヤもマリーも呆れ気味につぶやく。
だがその時,艦内に脳量子波の声が響き渡る。
「!聞こえたか、ティエリア。」
「ああ、はっきりと。人間の少女?あの地球からか?」
「これは?アニュー感じるか?」
「ええ、こんなにはっきり感じるなんて。トランザムの影響にしても強いわ。」
「ラッセ、計測できる?ミレイナとフェルトはあの地球に関してのスキャンを開始して。」
「艦長、間違いなくあの星からです。」
トレミー2に響いた脳量子波
『タケルちゃんを助けて!』という少女の叫びはこの多元世界をどう変えていくのか・・・
「タケル。あのゴッドマーズの・・・」
「多分、人違いだぜそれ。」