大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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ダナン:218m ダイターン3:120m入らないよね
テッサ大佐『これも次元科学のちょっとした応用です。』
ダイターンの曲がる足に砲身っって入りませんよね?
テッサ大佐『それも次元科学のちょっとした応用です。』
ATが時々転んだだけで爆散するのは欠陥では?
テッサ大佐『それも次元科学・・・は関係ありません。』
ビッグオーのファイナルステージの砲身って明らかに胴体に入らないよね。
テッサ大佐『それも次元科学のちょっとした応用でしょう。』
M9が狙撃するときに伏せるけど、そもそも戦車なら移動しながら撃てるよね。
言うな。


第15話 神たりうる者たち

ダナン CICにて

 

地図上には味方機のキリコ・スザク・ロジャー・ゼロ、

およびイカルガ本艦と直掩に回っているCCが表示されている。

「イカルガのハドロン重砲はまだ使用できないのですね?」

 

「すまないね。何せ先のサイデリアル戦で玉城のバカが壊しちまってね。

資金も足りなくって、とりあえず空間航行できる分だけ直したんだよ。」

ラクシャータによると故障しても資金がないので直せないらしい。

この仕事が終わったら連邦からの報酬で直す予定だったらしい。

「了解。副長、部隊を横浜基地にAS隊とダイターンを揚陸させて人類種の援護をさせてください。」

「現在、 横浜基地周辺にダイターン3を中心に展開、AS4機でカバーに入っています。」

「通信を。ウルズ各員及びダイターンへ、敵勢異種の戦闘力はどの程度だと判断しますか?」

『こちらウルズ1、慣れたものとはいえ気分は安物のカイジュウ映画の主人公ですな。』

・・・何かずれている気がする。

『こちらウルズ2、ミサイル支援を所定のポイントに要請。ASの火力じゃちょっと押し切られそうねぇ。』

『こちらウルズ6、カブトムシ野郎に57mmじゃチョッチきついぜ。』

『ウルズ7より、大型異種はダイターンに任せて小型種の掃討に回るのが効率的だと判断する。』

『大物狙いは、僕の得意だからね。おっとダイタァァン キャノン』

足を上げ、要撃級をその巨砲の一撃で粉砕する。

思うに、なぜわざわざ砲門を足の裏にしたのか?使いにくいのでは?

そもそも柔軟に曲がる足に曲がらない直線であることが求められる砲身を仕込むのは合理的なのか?

明らかに設計ミスのような気がするが、気にしてはいけない。

本人が気にしなければそれでいい、これこそ多元世界のマナーなのだ。

 

それにしても・・・

この星の人類の人型機動兵器、戦術機というらしいが

サイズはMS、重力下での機動戦闘に特化しておりコンセプトとしては旧AEUのヘリオンに類似している。

20世紀末の時代でヘリオンクラスの機体の開発に成功するとは驚異的だとテスタロッサは改めて思う。

この調子なら二年以内にGN-XⅣ級の機体の開発にも成功するのではとすら思ってしまう。

『副長、映像からあの戦術機の性能を解析できますか?』

『プトレマイオスから送られてきたデータではASとKMFを足してMSサイズにしたような機体という印象を受けますな。』

(それでもあの異種を止められない・・・やはり単純な物量が想定以上ということ?)

加えればテッサ大佐の予想よりも戦術機が遥かに高価だということも事態を悪化させている。

無論、ガンダムシリーズよりは量産できるが。

人型機動兵器というものは複雑な構造のためAT以外は、高価であり試作機のARX-8に至ってはGNーXⅣよりも高価な機体となってしまっている。

それでもKMFやASといったSサイズ機体はMサイズより一般的には安価だ。

過渡期の機体のため数で押すには高価すぎる、

だが単体で戦局をひっくり返すには至らない不幸な機体、

それが戦術機なのだろう。

 

一方でプトレマイオス隊に合流したグラハム・パトリック・エスター機は

地中侵攻坑から湧いて出てくるBETAの殲滅に当たっていた。

『刹那、もうライザーソードを使わないで。威力が大きすぎる!』

刹那のELSクアンタの最大出力は未だに未知数の面が大きい。

00時点でのライザーソードの全長は1万kmに過ぎなかったが、

それでも地表で使用すればビームの熱がもたらす上昇気流で大規模な気象変動が予測される。

地上への被害も無視できないレベルになるだろう。

最小限度まで出力を絞っても佐渡島の海底ハイブを消しとばした威力だということを考えれば使用にはこの星の住人の許しが必要になってくるだろう。

それゆえ、今は地表に出るなりBETAをライフルモードで4機のガンダムとブレイブ・GN-X4・ブラスタEs改で孔にビームを叩き込んで通さないようにしている。

凄まじい火力のおかげで数万のBETAは一体たりともこの孔からは出ることすらできず殲滅されていく。

『しっかし次から次へと懲りないねぇ連中。』

ロックオンの正確な射撃は一発も外すことなく、湧いてくるBETAを掃討する。

今までに確認されたBETAの最高速度は突撃級とライノダモンもどきの180km。

充分早いと感じられるが、空間戦闘を前提に作られたMSの武装の前にはあまりにも遅く、そしてその生体PS装甲は脆すぎる。

GN-XⅣのビームバズーカの一撃で突撃級の甲殻に大穴が開き後ろの個体もまとめて貫く。

「全く、どこもかしこもバアルかよ?」

幸せのパトリック少尉の疑問も最もだろう。

バアルとは人智と常識を超えた人類に敵対的な超生物なのだから。

 

宇宙怪獣を初め、インベーダー、イマージュ、ヒディアーズ、バジュラ、ELS、次元獣、み使い、ついでに神etc,etc。

そのような相手が毎日のように出現する地球人からすればBETAは外観こそ薄気味悪いが、対処可能な敵の一つに過ぎない。

むしろビームライフルの一撃程度で絶命するなど、ありえないほど脆い。

 

だがそんな中で、一人 エスターは奇妙な感覚を感じ取っていた。

(なんだろう、これ。アタシに訴えかけて・・ううん、これって命令?指示?)

 

 {ユニット 行動:作業続行 災害対処:通常}

{特殊戦闘ユニット:攻撃開始 不明ユニット:指示再送}

(アタシはユニットじゃない!変な脳量子波で命令すんな!)

 

 

作業優先順位変更 各ユニットは災害対処作業から攻撃に移れ

対象 至高神ソル

『これ・・・BETAへの指令!?なんでアタシがわかるんだ・・・

そうか!気をつけてクロウ、BETAの優先目標はスフィア・・・あんただよ!

至高神ソルだと思われてる!』

 

「チッ!俺は神様じゃねぇっての!」

「神は神でも貧乏神じゃねぇのか?」

もはや通常通りのロックオンのツッコミは無視して

向かってきたブルダモンもどきにRaptorの一撃を食らわせて破壊すると

得意の3次元機動で通常型を片っ端から破壊し尽くすクロウのリ・ブラスタT。

「大気圏内じゃ、反応弾やMDEが使えねぇのがきついな。」

 

携帯大量破壊兵器での先制攻撃がこのような大集団を相手にするときのセオリーなのは言った通りだが、

いずれも破壊力が大きすぎるためにこの星の人々との関係を損ねることを恐れて使用に踏み切れないでいる。

翠と蒼の地球では乱射していた気もするがきっと気のせいだ。

 

作業優先順位変更 各ユニットは災害対処作業から攻撃に移れ

対象 因果律操作体・御使い亜種

『これは・・・キリコ!優先目標になってるよ!

あんたも敵だと思われてる!』

 

「俺に奴らの幻影を見たか。」

その時、遂にキリコの元に侵攻坑から突撃級が地中侵攻の優先を戦車から変えて殺到する。

「来たか。」

「キリコ、下がって!」

次の瞬間展開した突撃級や戦車級を踏みつぶしながら或は目に入らないとばかりに砲撃の巻き添えにしながら戦闘用BETAディノダモン(国連軍呼称・暴君級)が姿を表す。

『そこの小隊長機、部隊を下がらせろ。』

キリコが水月に指示する。

『な!後退など、できるはずはないだろう!』

『奴の相手は慣れている。』

と言うなり砲弾の雨をかいくぐって暴君に肉薄するドッグ

「キリコ、援護を!」

MVS2刀を抜剣し、切り掛かるランスロット

 

作業優先順位変更 各ユニットは災害対処作業から攻撃に移れ

対象  事象確変存在・御使い亜種

『これ・・・・黒い大きな影・・・ビッグオーも標的になってる!』

 

『なるほど、それでこの懐かしい奴とご対面というわけかね。

できるなら、こちらを交渉対象として認識してもらいたいものだがね!』

黒いメガデウスの前に立ちはだかるのは同程度の大きさの暴君級

『君たちのような無法者はこの星からご退場願おう!

ビッグオー アァァァクショォォン!』

暴君級の砲撃を腕でガードしつつ接近、格闘戦に持ちこむビッグオー。

『ロジャー様、今晩のお夕食は如何致しますか?』

ノーマンがいつもの調子で尋ねる。

夕飯をよくすっぽかす男、それがネゴシエイターでもある。

『ああ、夕食までには戻るから皆の分も用意しておいてくれたまえ。』

返答ついでに巨大BETAとどつきあいを始めるネゴシエイター。

『左様ですか。いや今回は実に良いワインが手に入りましたので

とっておきのポトフをご馳走しようかと。』

 

 

意思と生命を一つに集めたガンダム

至高神の欠片を持つ機体

神の後継者であり神殺しの男

神とネゴシエイションした黒いメガデウス

 

今、4人の神たりうる者たちに4体の暴君が敵意を向ける。

 

(この場に集った神たりうる者たちに敵意を向けるか・・・異形共!)

エスターの通信を受け取ったゼロはZ-Blueの皆が

ある意味ではあのみ使いと同様の存在たりうること。

それによってBETAから敵意を向けられることについて考える。

(だが、これは相手の誘導にも使えるか・・・

うまく使えば相転移砲で一掃も・・・)

 

『ゼロ!あんたも標的になってるよ!イカルガを下げて!』

(そういうことは早く言え!)

 

神にギアスをかけた男、彼もまた神たりうる者。

レーザー種の集中砲火を危うく受けるところだったのでゼロはイカルガを下がらせた。

 

 

帝国軍の支援砲撃の155mmを食らえば大抵のBETAは沈黙する。

だが、その例外とでも言えるのが3種の戦闘用BETA

ブルダモンもどきの駆逐級

ライノダモンもどきの破壊級

ディノダモンもどきの暴君級

この新型BETAの前にこの星の戦術機は有効な攻撃手段を持たない。

精々が120mmの一点集中射撃で足を狙う、それも飛び道具を持った破壊と暴君相手に。

これがどれだけ危険かは容易く想像がつくだろう。

横浜司令部はパニックに陥っていた。

大和級の砲撃ですら物ともせず、G弾の爆発すら生き残ったあの暴君級が4体。

さしもの謎の援軍とはいえ今度ばかりは駄目だろうという絶望的な予測だった。

だが彼らはZ-BLUE、神すら彼らを殺せなかった。

ディノダモンの出来損ないごときで恐れをなすようでは神は倒せない。

 


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