大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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ゆーこせんせー「大体、兵器ってものは量産されて集団で運用されるもんでしょ。
ワンオフの特機って何よ。現実味をねぇ・・・」
The Big軍団「一理ある。」
ゲッターG軍団「一理ある。」
強攻型アクエリオン軍団「一理ある。」
シズラー軍団「一理ある。」
ゆーこせんせー「すいませんでした。」


第14話 Ye Not Guilty

(おかしい・・・)

目の前に迫った、要撃級の前腕部攻撃を回避し、 MVSで切り裂いたスザクは奇妙な感覚に陥っていた。

(ランスロットの動きが鈍い?)

「ラクシャータさん、ランスロットのデータに異常は見られますか?」

「?いや、全ての数値は正常だよ。あの馬鹿の持ってたデータよりいい動きしてるくらいだ。」

(では、この感覚は?気のせいなのか。)

 

同時にキリコも自機の状態に軽い戸惑いを覚えていた。

(反応速度が鈍い・・・ミッションディスクが付いて来れなくなっているのか?)

戦車級に機関砲を直撃させながら想定よりも僅かに遅れてきたドッグの動きのため、

思ったよりも距離を取る。

かつてのイプシロン戦でもキリコの反応速度に

ミッションディスクが付いてこられずに焼きつくという現象はあった。

だが、今では改良高性能な物が搭載されている筈なのに。

「スザク、お前もか?」

「ああ、思ったよりも機体が鈍く感じる。」

この現象の原因は不明だが、機体が思うように動かないというのは戦場では致命的とも言える。

「スザク、戦えるのか?」

集ってきた闘士級を左腕のアームパンチで吹き飛ばした反動で回転、

迫ってきていた突撃級の突撃をギリギリのタイミングでかわし脇腹に30mmを叩き込む。

「ああ、機体そのものに問題は無い。」

エナジーウイングの掃射で小型種の群れを消しとばしながら答える。

「違う、今のお前はかつての俺と同じだ。」

「え?」

「レッドショルダーだった過去に囚われていた俺と今のお前は同じだ。

罪の償いのためだけにギアスの呪縛まで使って戦うお前は見ていられない。」

MVSで要撃級を掻っ捌きながら考えるスザク。

「僕は・・・」

「・・・・・戦いの中だけに安息を求めるな、スザク。」

スザクの問題もそうだが

ひと段落したらラクシャータ博士に入念な機体の点検をしてもらわなくては・・・

一方で、ゼロはというと

「全く、次から次へときりがないな。」

拡散構造相転移砲を発射し続けている、がそもそも蜃気楼はKMFであって

クアンタやゼロといったとんでもMSや特機ではないのだからエネルギー消費が早く、

調子こいて四発ほど発射したら早くもエネルギー切れを起こしていた。

(くっ!ここまで消耗が早いとは!よく考えたら俺自身は直接戦闘はあまりしたことがなかった!)

今更気付くのもどうかと思うが、肝心なところで抜けているのがゼロだから仕方ない。

そして次の瞬間、突撃級の開けたトンネルから出てきた光線種のレーザーが高度を取っていた蜃気楼を射線に捉え、

そのレーザーを照射した。

「のわぁ!」

情けない声をあげて衝撃をこらえるゼロ。

もっとも絶対守護領域があるため致命傷には至らないが、

それでも今の攻撃でエネルギーが尽き連続しての照射に耐えられなくなってしまう

・・かその時にあの声が響く。

「ビッグオー、ショォォタイム!」

地中からなぜか姿を現したビッグオーがゼロの蜃気楼の前に立ち光線を遮る盾となる。

パラダイムシティならともかく何をどうやれば他の星で地中から登場できるのかなどという些細な問題は置いておく。

メガデウスだし次元力を応用でもしているのだろう、きっとそうだ。

「おっと、登場するなりスポットライトの照射とは気が利いているね。」

次元科学のちょっとした応用で作られたバリアフィールドを特機の馬鹿げた超大出力で展開すれば

この程度の戦術機ならば数秒で蒸発、爆散してしまうレーザーもその威力を発揮することはない。

「ロジャー、焦げくさいわ。」

ドロシーによるとビッグオーの表面の塗装に焦げができているという。

このままでは焦げで塗装にムラができて美観を損ねてしまう。

「そうだな。黒は黒でも、黒焦げはあまり私の好むところではない。」

このまま光線種の照射を受けてしまい続ければ、ビッグオーを丹精込めてワックスがけしてくれる

ノーマンに余計な手間をかけさせてしまう。

そこまで言うとビッグオーの腕のOサンダーを展開する

「受けた依頼はきっちりこなす!それがプロというものだ!」

「時々、あなたが本当にネゴシエイターなのか疑問を抱くわ。」

そんな軽口を言っている間にも右腕から放たれた光弾によって次々と異形の化け物が

原型をとどめない程の木っ端微塵にされていく。

が、そんなことはお構いなしに戦車級をはじめとする小型種が黒いメガデウスを齧りとらんと向かってくる。

「ゼロ、どいていたまえ。」

「ふっ、どうやら私も舞台を変える時らしいな。

ラクシャータ、私はこれからイカルガに戻って指揮に専念する!」

と、あたふたとエネルギーの尽きた蜃気楼をフラフラと後方で待機するイカルガに飛ばすゼロ。

「ゼロ、横浜の方にはちょっと荒っぽくなると伝えておいてくれ。」

群がってきたBETAの大群にいつもの足音を響かせながら進んで行くビッグオー。

巨大のせいで足元の小型種をプチプチ踏みつぶしていくが、戦車級が遂に足に齧り付こうと接近してくる。

「私はこういうデリカシーのない連中が好きではないのでね!」

と周囲に寄ってきたBETAをプラズマ・ギミックで一瞬で炭化させる。

 

 

・・・・・

「き、基地前面の連隊規模のBETAがあの巨大戦術機の攻撃で消滅しました!」

(ホント・・・とんでもない連中ね・・・)

『イカルガ隊』という名前で五摂家の私兵かとも思ったが、展開してきた部隊を見てすぐに違うとわかった。

白い空中高機動型機械化歩兵

緑の陸戦型機械化歩兵

黒い砲撃戦型機械化歩兵に

あの巨大な腕がアンバランスな黒の巨人戦術機。

正直、二足歩行・二本腕という以外にどれも地球の軍事思想とあまりにもかけ離れた兵器だ。

前に出てきたソレスタルビーイングとかいう連中の戦術機も凄まじいが、

今度出てきた小型機も凄まじい機動力と破壊力を持つ。

恐らくはどれも最新の戦術機以上だろう。

超大型機に至ってはその火力はあれだけでも戦艦並み、防御力は正面から光線級のレーザーを食らっても気にすらしていなかった。

一機だけ、緑の機体は実弾を使っているため理解できる技術体系だったが

乗っている衛士の実力は間違いなく理解の範囲外だった。

はっきり言って自分が不死身だと思っているとしか思えない

無謀な突入と紙一重の回避行動をさっきから取っていることは望遠カメラからでもはっきりわかる。

あの異次元人の武だってあそこまで無茶な操縦ぶりはしないだろう、というか間違いなく死ぬ。

(あれが並だとすれば、科学技術だけでなく操縦技術も地球人を上回るってこと!?)

香月博士の思考は続く・・・

 

 

 


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