大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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第12話 大気圏に突入せよ!

『刹那!こっちで大規模な爆発を観測したわ!状況は?』

「ミス・スメラギ・・・・反応炉爆発だ、月と同じ。

どうやって知らせたかは不明だが、地球の上位存在からのあらかじめのプログラムで俺に攻撃されたら自爆するよう設定されていたらしい。」

トレミーからの観測データによると爆発で生じた津波が日本海沿岸の地域に向かっていく様子がモニターされていた。

更に、その強力な爆発で生じた重力偏差が確認された、ごく微小であるが

地球の地軸、自転に影響が見られた。

このデータが後にG弾使用に関しての問題点が提起される。

(この爆発、データでチェックしたG弾以上か。

ハイブ内の生体端末はほぼ消滅したと考えていいか・・・・)

「ELSクアンタ、これより横浜基地の直掩に戻る。」

 

だが、一方ではGN粒子の充満率が横浜基地においても問題になりつつあった。

「スメラギさん!GN粒子がそろそろ限界です!」

「想定よりGN粒子の拡散が早いわ。ELSクアンタの出力を見誤ったわね・・・横浜基地に通信を、これよりリブラスタを残しガンダムチームは圏外からの遠距離支援に徹します。」

 その件が横浜基地に伝えられる。

 

「ミス・香月、一体何が起こっているんだね。」

ラビノダット司令が訝しがる

「ええ、詳しいことは後で話しますが。援軍に来た5機のあの戦術機の内の4機はこれ以上の戦闘が不可能だということで、後退するそうです。」

「そうかね。やはり、あれだけの大火力を出せる機体というのは継戦能力に問題があるのかね。

しかし、これだけ数を減らしたのならば少しは楽になる。」

8分間、たった8分の戦闘で4万以上の大小合わせてのBETAが殲滅された。それもたった5機の戦術機と一隻の飛行母艦にだ。

突然戦闘に介入してきてBETAを一方的に撃破してくれたのはありがたいが、正直の所このような正体不明の超兵器がどこで開発されたのか指揮官である自分にも見当がつかない。

まさか異星の兵器だとは想像もつかないし、軍隊ですらない私設武装組織だとはどんな荒唐無稽な想像をしても追いつかない。

 

そんな中でピアティフ中尉から香月副司令にこの件に関してのトレミーからの説明が入る。

「連絡によると、これ以上のあの戦術機の行動はこちらの電波を利用した通信、レーダーに悪影響を与えるとのことから4機は距離をとって遠距離からの支援に徹するとのことです。

現在、横浜基地の直掩に当たっているあの銀色の機体は引き続き防衛に協力するとのことです。」

その報告を受け取った香月博士はなぜ、5機のうちの4機なのかを考える。

(あの5機のうち4機だけがジャミング機能持ちってこと?)

確認すると確かにまだ、致命的レベルではないもののレーダーにはノイズがちらつき始めたし通信にも雑音がさっきより混ざってきている。

AL弾頭の影響かとも思ったがあの機体が行動するだけで望まなくてもAL弾と似たような影響を周りに与えるなら確かにこちら側の被害という点から考えると望ましくないだろう。

(一機だけ別ってことかしらね・・・)

確かに5機のうちあの銀色の機体だけは光る粒子を出していないことから

動力に違いがあるのかそもそもジャミング機能を封じたタイプなのだろうか。映像を見る限りではどちらかというと実体弾兵装が多いことから設計思想が違うのだろう。

それを言ったら5機ともまったく違う点から、彼らの目的はあの戦術機もどきの試作機の実験とも考えられる。

米国やソ連だって5種類もの全く種類の違う機体を普通の部隊で運用することはないだろう。

整備や運用にも手間がかかりすぎる。

まぁZ-BLUEで運用する機体の種類は5種類どころではないのだが。

 

 

 

 

地球のKMF,ASは大型化・高級化の一方をたどるのに対し

主力MSは維持費用削減の観点から(サナリィ提唱の)小型化が求められている。

今後3年の内に新造のMSはサイズが15mまでに収まると考えられるため

遠くない将来にこのサイズのKMF,ASが出現するという予測もあり

そうなると果たしてこれらの分類は有効かという疑問が出てくる。

新型MSの中には30mクラスもあるため、もはや特機である。

尚、アストラギウス銀河のATに関しては生産数1億台以上とも言われたドッグ系を初めとする機体がどこにでも転がっていることから

大規模な戦争が終結したこともあって、新規の生産がなくとも既に生産された機体の共食い補修だけでも今後100年間は需要を賄えるとみられているため大きな変化は(ミッションディスクなどのソフト面の変更以外)ないという予測がある。

キリコ曰く、「新日本製パーツが一番質がいい」

 

なお、特機は工業製品にして天然物と言われるほど偶然の産物である。

 

イカルガ

ラクシャータ

「ゼロ、もうじき黒地球の大気圏に突入するけどトレミー隊のお陰で対空レーザーが沈黙してるみたいだし思ったよりも横浜に近く降りられそうだよ。」

「よし、イカルガは輻射波動でダナンを援護しつつ降下。到着次第に部隊を展開させて…うん?トレミーから通信だと?

こちらイカルガ」

「ゼロにテスタロッサ大佐、こっちの状況だけどかなりまずいわ。

データと状況を転送します。正直、今すぐに非GNドライブ搭載機の支援が必要よ。」

 

データにはGN粒子の散布状況とBETAの分布状態、横浜基地の推定戦力が戦術予報士の分析とともに送られてきた。

ダナンのテスタロッサ艦長も受け取り今は戦術を検討している。

 

(くっ!降下早々にこれほど大規模な戦闘を展開できるほどの物資はどちらにも積んでいない・・・小型機中心で戦線を維持できるか?

損害を負った場合の補給は?というか予算は持つのか?

ええい!何故Z-BLUEにいると次から次へと問題が発生するのだ!)

「どうすんだいゼロ。補給なしでこのままじゃ、次の次あたりにはみんな仲良くドッグかボン太くんで出撃ってことになるよ。」

それは勘弁願いたい、不死身の人間はここには3人しかいないのだから。

「データは見ての通りだ、異種の物量は想定以上。イカルガとダナンの艦載機でCB隊の抜けた穴を埋める。」

「こちらでもデータを検討しました。今の状況から言えば30分間は最低でも横浜基地の防衛隊に持ちこたえてもらわなければならないんですけど・・・・」

テッサ艦長が答えるが・・・

ガンダムチームが間接支援に回れば効率が落ちるのは避けられない

正直なところを言えば、GN粒子で黒の星の無線・レーダーが妨害されるのを承知の上でももう少し長時間支えていてほしいが・・・・

「クロウが貧乏くじを引くのは予定調和だとしても、ガンダムチームにもう少し長く数を減らしていて欲しかったが・・・

横浜基地にプトレマイオス経由で通信を送ってくれ、更に援軍を送ると・・・」

と、言おうとした時にC.C.が

「で、どっちが顔を出すんだ?」

言われてみればここにいる二人の艦長の一人は仮面の怪しさ全開の男、

もう一人は女子高生・・・・・

この星どころか出身星でも異様としか言いようがない二人の艦長・・・

「・・・とりあえずSound Onlyでいいだろう。」

とはゼロのお茶を濁した意見だったが代表者というにはあまりにも不似合いな二人の艦長は今更な常識の欠如を魔女から指摘されるという笑えない状況に追い込まれた。

横浜基地の副司令も魔女と呼ばれているらしいことを考えると、

この気苦労が2倍にも増えるのか・・・と思うと頭が痛くなるゼロだった。

「言ってるうちに大気圏突入だよ、今のうちに横浜の連中と話をつける準備でもしといとくれ。」

ラクシャータからの報告も救いにはならない、ゼロの用意周到な計画は大幅に変更を・・・

いや、今までも肝心な場面でよくポカをしでかしてたからあまり当てにはならなかったが。


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