ZOIDS ~Inside Story~   作:砂鴉

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ゾイド(アニメ)のヒロインって、何かしらありますね。フィーネ然り、リーゼ然り……(あれ? リーゼってヒロインだっけ?……彼にとってはその通りなんだろうなぁ)。
フェイトだって、なにかしら持ってるんです。


第29話:フェイトの真実

 体は麻痺して動かなかった。両手は後ろ手に縛られ、自由が効かない。さらに目隠しもされ、自分が一体どこに向かわされているのか分からなかった。

 ただ、耳だけは無事だった。おかげで周囲の音だけは聞こえる。

 

『アタシの仕事はここまで、あとは、アンタたちが摂政さまに届けなさい。アタシは、おっかないからここで消えるわ』

 

 フェイトを襲ったその人物の言葉から、敵が一人減ったのだと気付く。

 

 ――無闇に暴れたって状況は変わらない。まずは、状況を観察する……だよね。

 

 もしもの事態のための対処法。ローレンジと一緒に旅をするようになってから、フェイト自身が頼み込んだことで教えてもらったことだ。耳にタコが出来るほど言われ続けた事。それが現実になったのは初めてだが、それでも事前に教えられていたことで平静さは保てた。

 

 

 

 それからまたしばらく移動する。どこかに閉じ込められ、随分と進んだ。稼働音からしてゾイドに乗せられたのは間違いない。どのゾイドか分かればとも思ったが、さすがにそこまでの経験は積んでいなかった。

 

 そうして、いったいどこまで来たのだろうか。乗っていたゾイドが停止し、フェイトは地面に下ろされ、目隠しが外される。

 

「――あ」

 

 外されて直ぐ辺りを見回し、自分を連れてきた人物の姿を捉えた。姿を見たのは一度だけだが、特徴的なスキンヘッドの男。

 

「えっと……メッテルニヒさん?」

「まさか名前を憶えられているとはな。小娘が」

「うん。ハゲの賞金稼ぎさん。ロージに翻弄されてた人」

「ぐっ……あんまりおちょくるなよ。今お前の命は、我々が握っているんだ」

 

 懐から取り出された拳銃を突きつける。普通の子供なら怯えるだろう。だが、ローレンジとの暮らしの所為でそれを見慣れたフェイトはどこ吹く風とメッテルニヒを見上げている。

 

「……死にたくなかったら、さっさと歩け」

 

 メッテルニヒに指示され、フェイトは目の前の建物の中に向かって歩き出した。

 

 

 

 カツン、カツン。

 

 なるべきゆっくり、怪しまれない程度の速度でフェイトは中に進んだ。中は新造された基地のようだった。外には数機の警備ゾイドが配備され、中には暗い顔をした白衣の人間が幾人もいる。そして、施設の中央には巨大な円柱型のなにかがあった。

 ゾイドの培養設備だろうか。以前ザルカの研究を見せてもらった際、似たような設備でコアの培養を行っていたのを知っている。だが、目の前のそれは並のゾイドのものではない。大きさにして八○メートル以上はある、見上げるような大きさだ。

 ただ、フェイトは、それを見た瞬間、なにかから恐怖を感じた。中のものが何かなど見当もつかない。だが、怖かった。まるでいきなり心臓を握られたかのような、心の奥底にある恐怖を具現化したものが目の前にあるかのような、そんな恐怖だった。

 

「さっさと歩け」

 

 背中に銃口が当てられ、フェイトは仕方なく先に進むことにした。何度かメッテルニヒに話しかけたものの、ロクな情報も得られない。

 

 

 

「連れてきました」

 

 メッテルニヒが敬礼し、そう告げた。その視線の先には一人の男がいる、先ほどまで見上げていた筒状の建物。現在はそれの中身を見下ろせる位置まで来ている。男は、銀色の髪を僅かに揺らし、それに応える。そして、男は筒状の中身を見下ろしながら、かすかに指を動かす。

 

「――なっ!?」

 

 それに応えるかのように、控えていた兵士たちがメッテルニヒを両側から攫む。思わぬ行動にメッテルニヒも拳銃を取り落した。そして、それは重大な失敗であった。

 

「ご苦労だったな。では、私からの褒美を渡そう。たっぷり受け取ってくれたまえ」

「ま、待ってください閣下! 私は、私は!!」

 

 それが聞き入れられることはなく、メッテルニヒは扉の向こうに消え去る。直後、悲鳴と銃声が響き渡り、フェイトは思わず目を瞑った。両手が自由だったら、耳も塞ぎたかった。

 

「さて、急に連れてきて済まなかったな。フェイト、だったか」

「……あなたは」

 

 男は銀色の長髪をたなびかせ振り返る。その顔は、どこかヴォルフと似ていて、だが決定的に違っていた。二人の顔から読み取れるその内情が、ヴォルフとは正反対だ。

 

「私はギュンター・プロイツェン。この惑星Ziを支配する者だ」

 

 

 

***

 

 

 

 夜闇の中、一機のゾイドがガイロス帝国の宰相ホマレフの屋敷から去って行く。青い機体色に夜闇を切り裂くような輝きのブレード。ヴォルフからの連絡にあったブレードライガーに間違いない。

 遥か高空から見下ろし、それを確認したサファイアは通信機に呼びかける。

 

「ホマレフ宰相の屋敷からブレードライガーが出ていきました。方向からして、ヴォルフ様の向かったプロイツェンの研究所に向かうようです。どうします?」

『プロイツェンナイツの動きを窺え。奴らが目立った行動をしないなら、放っておいて構わん』

「ですがズィグナー様。このまま行かせてしまってはもしものことがあった時……」

『プロイツェンの研究所に向かったのであろう? ならば、彼はヴォルフ様の方の戦力として数える。今はプロイツェンナイツの動きに注視するのだ。やつらが動けば、その時こそ我々の動くとき』

 

 ズィグナーの指示を聞き、サファイアは一つの疑問を覚える。なぜ今プロイツェンナイツを攻撃しないか、だ。プロイツェンナイツがルドルフに攻撃を仕掛けるのは分かり切ったこと。危険要素は、早いうちに沈めておいた方がいい。夜闇に紛れられる今なら、絶好の機会だ。

 

『今仕掛けるとホマレフ宰相が反乱を企てた証拠にされる。歯がゆいが、帝国の意志はプロイツェンが握っていると言っていい。奴から攻撃させ、我らはそれからルドルフ殿下を守るために立ち回らねばならん』

「すみません」

 

 見透かされていた。

 ズィグナーは元々プロイツェンに仕えており、彼からヴォルフの側近の役を受けた男だ。元から軍人で、それも高い技量を持ち合わせていた彼の指示は信頼できる。改めてそれを理解し、サファイアは一旦その場から離れてレドラーを森の中に下ろす。

 連続した飛行はゾイドのエネルギーを多く消耗する。決戦は明朝だ。それまで、エネルギーの消耗は控えねばならない。

 

「やあサファイア! 無事で何よりだ」

「ありがとうございます、ウィンザーさん」

 

 レドラーから降りると、それを待っていたかのようにウィンザーが駆け寄ってきた。サファイアは一言あいさつし、するりとその横をすり抜けてズィグナーの元に向かう。

 

「状況は?」

「ナイツ師団に動きはありません。やはり明朝――夜明けとともに攻撃開始を予定しているかと」

「では、我々が出向くのもその時だな。明朝までは待機、各自万全の体調を整えておけ」

 

 ズィグナーが言い、その場は解散となった。ズィグナーは通信機でヴォルフと連絡をとろうとしているが、どうやらつながらないらしい。ひょっとしたら、すでに研究所の襲撃をかけているのか。

 ヴォルフはプロイツェンを倒すと言っていた。だが、向こうの第一目標は捕われたフェイトの救出になるだろう。他ならぬヴォルフが、一人も欠かさないと言っていたのだから。

 

 ――大丈夫、ですよね。フェイトちゃんも無事で、私もきっと生き残ってみせる。

 

 肩が震えた。鉄竜騎兵団(アイゼンドラグーン)が襲撃を受けたあの時、サファイアはリバイアスのブラックレドラーと戦い、敗北した。血濡れの悪魔(ブラッディデーモン)から命からがら逃げきった先でのことだ。本当に、死を覚悟した。

 

 ――空から援護できるのは私だけ。私が、みんなを助けないといけません。でも……

 

 不安はぬぐえない。サファイアはテラガイスト襲撃時にリバイアスのブラックレドラーに敗退している。結果、守れたはずの仲間を多く失い、さらに護衛するはずだったザルカの合流を送らせてしまった。この場にいるウィンザーも、自身の所為で死にかけさせてしまったのだ。鉄竜騎兵団(アイゼンドラグーン)壊滅のあの戦いは、サファイアの心に傷を残していた。

 

「サファイア、調子はどうだい?」

「ウィンザーさん。ええ大丈夫ですよ」

 

 そこにウィンザーがまたしてもやって来た。もうすぐ大規模な戦いだというのに、この男は本当に変わらないとサファイアは嘆息する。

 

「もう夜明けまで三時間ですよ。少しでも仮眠をとった方がよいのでは?」

「いや、戦いに向けて気持ちを高ぶらせているのさ! 明日が俺様たちの大一番だからな! 俺様のゾイド乗りとしての魂、見せつけてやらんと!」

「ウィンザーさん。どこからその闘志がわいてくるんですか?」

「もちろん! 君のような美しい女性を守るために決まってる! それこそ、俺様の魂が最も燃え上がる瞬間さ!」

 

 親指を立ててポーズを決めるウィンザー。心の中では「決まったぜ(キラッ)!」とでも考えているのだろうか。そう思うと、サファイアの顔にも不思議と笑みがこぼれた。

 

「うんうん、女はそうやって笑っていた方がいい! ……ああ! フェイトちゃんの眩しい無垢な笑顔が見たくなってきた! 本当なら俺様が華麗に助けてやりたいんだが……今回はローレンジに譲るしかないか……うぬぬ、無念だぁ」

 

 どこまでも調子を崩さないウィンザーに、サファイアの不安も少し晴れたような気がした。相変わらず女性なら年齢を問わない男だが、その全てに隠すことの無い想いを向けている姿は、ある意味流石だ。

 

「そうですね。でもローレンジさんならきっとフェイトちゃんを助けてくれます。兄妹ですから。私たちは、私たちのすべきことをやって、生き延びましょう」

「うむ、もちろんだ!」

 

 夜闇は深い。夜明けまであと二時間と五十分。サファイアの決意は、固まった。

 

 

 

***

 

 

 

「ギュンター・プロイツェン……あなたが」

「そうだ」

 

 プロイツェン。いったいどんな人物なのだろう。きっとすごく人相の悪いに決まっている。ヴォルフと親子だとは思えないほどに酷い男だと。

 そう、フェイトは自分の中で定めていたプロイツェンという男の印象は、大きく違っていた。

 

 怖い。

 

 第一印象がそれだ。

 目の前の男は、どことなくヴォルフの面影がある。だが、纏う雰囲気は全く違う。人間から感じるようなそれじゃない。例えるなら、初めてジェノリッターを見た時のような、この研究所の中心にある円柱の中から感じるそれに近い。

 

「こうして、君と顔を会わせるのは初めてかな。だが……なるほど、確かに似ている。君は、なぜここに連れてこられたか理解しているかね?」

「……」

「だんまりか。まぁいい。こっちへ来い」

 

 フェイトは動かなかった。だが、控えていた兵士に促され、仕方なくプロイツェンの傍らまで歩み寄る。傍に立ち、巨大な筒状の中身を覗きこめる位置に来て――息を飲んだ。

 

 筒状の中には、一体のゾイドが静かに鎮座していた。液体に浸かっておりおぼろげにしかわからないが、すらりとした無駄の無い身体付き。外部武装はほとんど見受けられない身体に、長大な尻尾と鋭く巨大な爪が不気味さを醸し出す。そして、それはどす黒い感情を静かに湛えていた。

 

『メツボウ……セヨ……メツボウ……』

 

 その言葉はフェイトにしか伝わっていないのだろう。プロイツェンも、控える兵士も気づいている様子はない。フェイトにだけ、直接心を殴りつけるようにその感情が染み込んでくる。

 

「君は、見るのは初めてか? こいつはデスザウラーだ。太古の昔、古代ゾイド人を滅ぼした破滅の魔獣。聞いたことはあろう、あの小僧と一緒に居たのならな」

「……うん。とっても強くて、とっても怖いゾイドって、ロージに聞いた」

 

 デスザウラー。フェイトが会うのは初めてだ。

 断片的に存在は知っていた。幼いころの記憶、両親が居なくなる少し前に、母が教えてくれた「存在してはならないゾイド」の片割れ(・・・)

 

「デスザウラーの力は強大だ。だが、その力による支配こそが、この星の戦乱を失わせることだ。デスザウラーを抱く私を頂点とすることで、この世から無益な争い華唸る。私には、こいつを使いこの世界を平穏に導こうという意思がある。分かるかね?」

「嘘。わたし知ってるもん。お母さんのノートに書いてあった。デスザウラーは世界を滅ぼすゾイド。存在しちゃいけないって。そんな存在が、平和なんて作れるわけがない!」

「なにを言う。力による支配こそが全てなのだ。デスザウラーは、そのために必要な兵器なのだよ!」

「ゾイドは兵器じゃない! みんな違った意志を持って生きてるの! でも、デスザウラーは破壊の意志しかない――世界の平和なんて、作れない!」

「破壊の後には再生がある。デスザウラーが証明してくれるさ。……だが、フェイトよ。お前はなぜゾイドの意志を感じることが出来る? 今もそうだ。私に楯突きながら、デスザウラーの意志とやらに恐怖しているのだろう?」

「――そ、それは……」

 

 とっさに言葉を返せなかった。それは、プロイツェンの言葉が的を突いていたから。フェイト自身、最近になって感じるようになったゾイドの意志に疑問を抱き続けてきた。

 

「ユーノ・エラ。この名を知っているな」

「……え?」

 

 フェイトが、その名を知らない訳がなかった。なぜなら、それは……。

 

「どうして、あなたがお母さんの名前を……?」

 

 フェイトが三歳の頃に亡くなった、母親の名前だから。

 

「実は、デスザウラー復活計画は私が始めたのではない。その起源は古く、旧大戦の時代にも計画が存在した。滅亡したゼネバス帝国でな。嘗て、ゼネバス帝国はデスザウラー復活まであと一歩まで迫っていた。オリジナルのコアは無かったものの、独自の技術により紛い物としての復活を目前まで迫っていたのだよ。帝国の滅亡と共に、その技術も泡と消えたがね」

 

 プロイツェンはデスザウラーを見下ろし、どこか遠い時代を見るような目でさらに続ける。

 

「当時の技術を持っているザルカ博士の協力を、一時的とはいえ得たのは我々にとっても行幸だ。そして、私は彼の技術と知識を元に、嘗ての研究資料を漁った。足りない部分を補ってな。その過程で、見つけたのだよ。嘗ての計画では、デスザウラーはその制御にある人工生命体を用いることを。その人工生命体は、古代ゾイド人の身体特性を応用して作られたと。そして、それに付けられた名が――ユーノ・エラ。君の母親だよ。フェイト・エラ・ユピート」

 

 現実に戻ったプロイツェンの眼光がフェイトを見据えた。狂気のような瞳が、フェイトの心臓を鷲掴みにしたように離そうとしない。

 

「……お、母さ、ん、が……」

「君の母を見つけたのは本当に偶然だった。すぐに手中に収めようと思ったが、君の父かな……あの男の所為でそれも叶わず、あげく二人そろって死んだ。これで計画はついえたと私も諦めたが、まさかそこに娘の君が現れるとはな! ユーノの血を引き、その力すらも受け継いだ君が!」

 

 振るえる脚で後ずさりし、背後にデスザウラーの鎮座する水槽が見えてフェイトは止まった。足の震えは止まらず、力が抜けたように座り込む。

 

「ハッハッハッハッハ!! 私は運がいい! 諦めた存在が、のこのこと私の前に現れたのだからな! さぁ、後は君がそこに飛び込むだけでいい。心配いらん。デスザウラーが君の身体をやさしく包み込んでくれよう。デスザウラーと一つになるのだ! そうすれば、あとは私に任せておけ。この世界は、私と君が操るデスザウラーの力で平穏へと導かれよう、さぁ!」

 

 プロイツェンが高らかに言い、青年らしき兵士がそれを成すために近づく。逃げようとするフェイトを捕まえる。

 

「いや! 離して! 嫌だ、やだよぉ! 離してっ!!!!」

 

 どうにか逃れようと暴れるが、その兵士は見た目以上に力が強く、若干10歳のフェイトでは逃れようがなかった。

 

 ――助けて。誰か……ロージっ!

 

 思わず心の中で助けを求める。

 それだけは口にしたくなかった。誰かに助けを求めるより自分の力で窮地を脱する。ローレンジはいつもそれを平然と成しとげてきた。そんな(ローレンジ)の妹だから、このくらい脱出しなきゃいけない。

 だけど、ダメだった。フェイトはまだ十歳で。人知を超える力があったとしても、実際には自分の身一つ守れない子供で……。

 

 兵士は捕まえたフェイトを小脇に抱え、デスザウラーの鎮座する水槽に歩み寄り――

 

 

 

 

 

 

「……なんのマネだ?」

 

 その兵士は、一瞬で踵を返しプロイツェンへと迫った。そして、プロイツェンがそれに反応するより早く、フェイトを抱えたのとは逆の手でプロイツェンの右腕にナイフが突き立てる。プロイツェンがその激しい痛みに身を翻させたときには、彼はナイフから手を離し、懐から拳銃を取り出しプロイツェンの額に押し付けた。

 

 ――…………え?

 

 もうダメだと諦めかけていたフェイトは、その突然の事態に固まる。

 それはプロイツェンも、彼の側近も同様だ。突然のそれに、他の側近の兵士たちが対応しようとライフルを構えるが、プロイツェンに拳銃を押し付けた兵士が鋭く眼光を走らせる。一歩でも動けば撃つという容赦のない冷たい眼光が、その場を制圧する。

 

「なんのマネだと聞いている!!」

 

 激昂し、拳銃に自らの額を押し付けながらプロイツェンは怒鳴った。怒りを体現したその激昂に、対する兵士は「クッ」と愉快気に笑う。

 帽子の下に覗くその横顔を見た瞬間、フェイトの表情がゆるんだ。待ち望んだ、その顔に。

 

「……そりゃ、五年越しの仕事(・・・・・・・)をやりに来たってとこですよ。まぁ、仕事でなくとも私怨でここまでたどり着きますがね。ギュンター・プロイツェン元帥――あんたに刺されたのは右腕だったよ、今でも偶に痛む」

 

 フェイトを降ろし、兵士は徐に帽子を外し、水槽に投げ捨てる。そこに覗いたのは、さっぱりとした短い金髪と青い瞳。5年前にプロイツェンが恐怖を覚えた、嘗ての少年暗殺者の冷徹な瞳。

 

「――ロージ!」

「……キサマか」

 

 フェイトの歓喜と憎々しげなプロイツェンの唸りを受け流し、ローレンジ・コーヴは凄惨な笑みを宿した。

 




フェイトに盛り込んだ設定、ゾイドサーガⅡに元ネタがあります。詳しくは第二章の後書きにて。

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