こんにちは。
作者の砂鴉です。
『ZOIDS ~Inside Story~』の第四.五章『恋情報労編』を読んでいただきありがとうございます。
さて、今回は第四.五章『恋情報労編』の後書きとなります。本編のネタバレしかありませんので、ぜひ第四.五章を読んでからこの先をお読みください。
毎度のことですが、作者の趣味趣向をぶっちゃけ、その上、言い訳を垂れ流し、トドメに需要があるかどうか不明な毎度おなじみ誰得コーナーです。
半端なテン五の章ですが、章仕立てにした以上、本章でもあとがきコーナーはもちろん健在です。
それではやっていきましょう!
さて、今回の四.五章は本作内でもたびたび話のネタにされてきた恋愛ごとについて、一気に爆発させた章でございます。
恋愛ネタに関しては、この先のストーリー内部で語るか、それともどこかでまとめて消化するか。悩んだ点でもあります。ラノベ的な作風――と思ってます――の本作では、もちろん登場人物たちの恋愛も語ろうと決めておりました。本章内で語られた人以外にも、幾人かカップリングを考えております。
しかし、それを語るとなると意外と難産でした。
恋愛ネタはもちろん、作品を上げる段階で主となるネタです。これをメインの柱として書かれているものも幾本もあるでしょう。けれども、それは主人公に主眼を置いた場合。本作のように、何人も主人公格足りえる人物がいて、それぞれの人物をしっかりフューチャーしようとしたら拙い私ではとても書ききれません。
という訳でどこかでそれを一気に書き出す必要があると感じました。
ぶっちゃけますと、『物語として書きだしたいところや見どころはいっぱい用意してるから、恋愛に集中できん』という訳です。そもそもこの先のストーリーに落とし込むことを考えたら「語るなら今でしょ」「この先語る暇ない」「むしろ一段落ついてた方がいい」っていうメタい話もあって、今回一気に消化しようという運びになりました。
そんな言い訳じみたことで処理されてしまったお三組方には申し訳ないですが、私なりにそれぞれの恋愛への葛藤を描いたつもりです。読者の皆様も、楽しいラブコメとはいきませんが、彼らの想いを感じ取っていただけたらと思います。
それでは、各々の話を語っていきましょうか。
その一:プロローグ『平和と予感』について
今回の恋愛編の導入。そしてそれぞれのカップルにそれを意識させた元凶です。リア充はカップル愛を加速させるんだ……。
前回の幕間にて遂にプロポーズと相成ったヴォルフとアンナですが、そんな二人の結婚式はエウロペの皆に祝福されるような壮大かつ大がかりなものにしようと決まりました。復興の最中のエウロペの皆を元気づけるための祭り、そのメインイベントです。そして、バンとフィーネの関係を大きく揺るがすきっかけにもなりました。
その他にも各カップルの愛が成就する始まりとして、最高の舞台を作り上げてくれましたね。
その二:バン×フィーネ『好きと好き』
数あるゾイド二次創作で、後日談となればバンとフィーネが結ばれ息子or娘が出てくるのは定番です。私自身、以前は多くのゾイド二次を読み漁った経験があります。なにはともあれ、二人が結ばれるのは確実です。
けれど、読んでいて、気づいたんです。あるものがない。そう、それは……
告白シーンが、ないじゃないか!
バンとフィーネに限らず! 誰一人として告白してねぇ!
うん、見たことありません(汗)
まぁ、ゾイドという作品自体、恋愛を主に据えた話がないんですけどね。アニメだって冒険と勧善懲悪がメインテーマ――かな?――ですし。
マジで。どうしよう。なれそめ的な話はあるけど、告白とかマジでない。気づいたら子供こさえてた。そんな感じです。
実際、原作アニメでもほのめかすような描写こそあれど、明白にそうだと言えるシーンはなかったように思います。……うん、フィーネからはあったかもだけど、バンとフィーネの『好き』って、私からは友情から恋情にステップアップする狭間、な感じがするんです。もっと言えば、どっちつかずな感じで、いまいちこの二人の恋人関係が想像できない。まじでデートシーンが出てこない。本章書いてた私の脳内でさえ、気づいたら結婚して子供こさえてた(呆然)。
けれど、そうはいきません。
どうにかしてでもこの二人にも恋愛を認識させねばならない。……ん? 認識?
そうか! 二人とも恋愛感情を解ってないんだ!(彼女いない歴=年齢の人が行きついた結論)
ってわけで、ヴォルフたちにそそのかしてもらって、互いが互いを『好き』なのだという感情に気づいてもらう、というストーリーになりました。
言いたいことはただ一つ。
リーリエ、トーマ。ごめんなさい。
でも君たちの献身あってこそ、あの二人は結ばれたんだよきっと。
シャドーフォックス?
うん。あの機体は、好きだよ。普通にかっこいいし。スラゼロの活躍も最高だった。もっと言えば声も好き。かっこいい。オオカミっぽかったけど。コマンドウルフの後継機って感じがしたから。狐っていいよ。キュウコンかわいいし。アローラ含めて好きだよ。
ただ、ね。性能差があるのは分かってる。叩きのめされるのも理解はしてる。仕方ない。
けど、さ。大好きな機体がボッコボコにされるのって、やっぱ心にくるよね。
白いの、君たちのことだからね。買ったけど、最初の積みプラになったのは君だからね(威圧)。まだ作ってないからね(汗)。
誤解のないよう言っておきますが、フォックス系統好きです。白いのもカッコいいと思います。赤いのも強敵感あって素敵です。ゾイドSSの話も面白かったです。
けど、譲れない一線はあったのさ。
……ローレンジとサーベラにボコボコにしてもらうからな。6VS1くらいの戦力差を覆す文字通りの噛ませ犬してやるからな。次の登場シーンは覚悟しとけよ。敵討ちだからな。
話が見えない方は白い狐のPVをご覧ください。
その三:レイヴン×リーゼ『幸福と贖罪』
実を言うと、今回のラブコメ枠はこの二人でした。リイと二人で出かけたレイヴンをリーゼがフルミネ&レビンの姉妹を伴ってガチストーカーする、というのが当初のプロットだったんです。
けど、実際に書いてる過程でリーゼが卑屈になっちゃって……。その辺は以前の幕間で克服させたはずなんですが、脳内のリーゼがまだいじけモードだったのです。
リーゼって、それまでいろんな感情が欠落していたため自由奔放に描かれることが多いですが、おそらく根はとても素直な娘なんです。そして、平和な暮らしを満喫する中で自分のしてきたことを顧みると、本当に幸せになっていいのかと困惑する。そんなとっても優しい娘なんだと思います。悲劇的な設定がついている彼女は、だからこそとってもピュアな心の持ち主です。少なくとも、私はそう思います。
だから、大好きなレイヴンにだって遠慮してしまう。そんなイメージが出来上がりました。
そこで今回の内容は二人のラブコメではなく、もう一度罪人としての自分を再確認する二人。その過程で、改めて贖罪と幸せの両方を勝ち取る。そんな決意を抱くという流れになりました。
おかげでこれまで本編に影も形も出てなかったリイとフルミネ大活躍。きっと読者の皆様を置いてけぼりにしてくれてる(おいおい)。
じゃあレイヴンのデート相手をフェイトにしたら? ストーカー増えますよ、きっと。
その四:ローレンジ×タリス『人生と相方』
恋愛の先にあるのは結婚です。恋愛といえば、この人が好きだからというのがもっともな理由でしょう。一緒に過ごすうちに好ましい部分を見つけ、そんなパーツを持つ人がたまらなく好きになっていく。けれど、結婚を見据えた場合はもう一つ、気が合うか、共にこれからの人生をやっていけるかという観点も重要になってくると思います。
○○のことは好きだけど、この部分はちょっと……な部分は人として当然存在するでしょう。そこを『好きな人だから我慢する』のか『この程度だったらまぁいいか』と捉えられるか、結婚生活を円満に進めるにはそういった妥協点もあるんじゃないかなと思います。
まぁ要するに気が合うか合わないか、その程度です。
ローレンジとタリスは典型的な『つり橋効果』で結ばれていったカップルです。けれど、そんな二人の普段はかなり淡白に書きました。というかなりました。けど、互いに互いが必要で、支え合っている。直接言わないけれどお互いに必要な存在。そんな部分も同時に描いたつもりです。
この二人の恋愛描写は始めからシリアス一本に絞っていました。すべてはローレンジの経歴故。幸せになってほしいけど、ローレンジ自身がそれを許さない。ほんわかでおだやかなイチャイチャっぷりを見せつけるとは思えない。
仕事上と同じ、信頼し合うリーダーと補佐、阿吽の呼吸で人生を歩む。そんな熟練カップルとして、二人は相成りました。
二人に「好きだ」と言葉で伝える場面を描かなかったのもそのためです。きっと言わない。言わないけど、お互い解ってる。そんな悟ったカップルでした。
実はこの章の中で唯一『行為』の描写をするつもりだったのも彼ら。
もっと言うと、展開もローレンジ→レイヴン→バン→おまけの順で投稿予定でした。恋人同士の付き合いの過程を遡っていく(やっちゃったぜ!←仲良くデート&嫉妬沸々←告白←出会い)感じを想定してました。伝わるかなぁ……。
なんだかんだでそこまで書く必要がなくなったので、順番も変えましたが。
誰も来ない廃村で、二人っきりで、やっちゃってたかもね?
その四:おまけ『兄貴と姉貴』
この話は、唐突にボーイミーツガールを書きたくなった。それだけです。以上、終わり!
あ、ハイ。ちゃんと語ります。ここも語ります。
四章幕間の辺りから少し描写したレイヴンとバンのように、アーバインとローレンジも似た者同士という位置づけです。で、ローレンジを描いたのだからアーバインもなぁと思いましたが、うーん彼に恋愛って似合わねぇ。
あったとしても結局振って、孤高の賞金稼ぎって感じだな。
アニメ原作であればキャロルさんと大人の恋愛を見せてくれましたし、漫画版では天才少女から好意を寄せられていたり……。あれ? 似合わないと思ったけどアーバインって結構なモテモテ!?
そんなアーバインも――できればボーイミーツガールで――書いてやろうかと思ったわけですが、相手に困る。
キャロルは、おそらく死別。
漫画版の少女は描く予定なし。
ならムンベイは……腐れ縁、ビジネスパートナー。つまり脈なし!
んで、降ってきたアイデアはまさかのバンのお姉さん、マリア・フライハイト。
物語スタート以前に会ってたことにすればいけるんじゃね? っていう発想から意外なほどストーリー案もするする浮かびました。そして、おまけのはずなのに、本章の中で――OPの結婚式除いて――最も早く書きあがったストーリーになりました(えぇ……)。マジで一晩で二万二文字書き切りました。まぁ、最初と最後のバンが出て来る辺りは本章のお話全部が書き上がってから追加したシーンですが。
最後にアーバインたちを助けてくれたタイガー乗りとの縁も『亡国再誕編』前に触れておきたかったのでベストマッチ。
という訳でアーバインもとい、アインとマリアのボーイミーツガールになりました。
ちなみにこの話、皆さんお気づきと思いますが、漫画『機獣新世紀ゾイド』のネタを多数、そりゃもう凝縮したように詰め込みました。アニメ漫画共にしっかり者で世話焼きな姉という印象のマリアですが、彼女はあのバンの姉です。同じようにやんちゃな部分もあったのだと思います。ただ、バンが無茶するから自分はそれを反面教師とし、叱る立場になったと、そういうイメージです。
それから、アーバインの偽名の元ネタは
あ、あの後のアーバインですが、一泊して旅だったそうです。夕べはお楽しみ? いいえ、グースカ寝て朝ごはん食べて元気に出ていきましたよ。
本章の解説はざっとこんなところです。
ラブコメ書きたかったんですけどね、なんか、どの組もそういう感じには至らなかったんです。私の経験の不足が致すところ。
さて、それでは本章のあとがきもここまで。これにて締めたいと思います。
次章予告も以前語ったので今回はなしで。
第五章、並びに砂鴉版『ゾイド』第三部『~Obverse Story~』をお楽しみに。
それでは!