やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。短編集 作:うみがめ。
「ひゃっはろー」
今、奉仕部の部室には俺1人でいる。
本を読みつつ、誰もこないだろうと思いつつも誰かが奉仕部に来るのを待っていた。でも、ポカポカした日差しとちょうどいい気温のせいで眠くなり、机に突っ伏してウトウトしている。
そんなことをしていると、雪ノ下陽乃が現れた。
……あー。この人また来たよ。
暇なの?ここ以外に行くとこないの?
なんで、雪ノ下達がいない時に来るんだよ。
相手をするのも嫌だし、このまま寝たふりをして帰ってもらうか。
と思い寝たふりをする。
「ありゃ?雪乃ちゃんいない?比企谷くんも寝ちゃってるの?」
陽乃さんは少しがっかりしたようにつぶやく。
いないんです。俺も寝てるので今日はもうお引き取りください。
「んー、比企谷くん本当に寝てるのかな?」
陽乃さんはおーいと言いつつ俺の体を揺する。
でも俺はそのまま寝たふりをしていると陽乃さんは諦めて揺するのをやめる。
「ありゃー、ぐっすり寝ちゃってるね」
「……」
「でもなーわざわざ来たし、比企谷くん起きるまでここで待ってようかな」
そう言い、陽乃さんは俺の隣に椅子をつける。
まじっすか。帰りましょうよ。
俺は本当に起きるタイミングを逃し、そのまま寝たふりして時間が刻々と過ぎていく。
すると陽乃さんは、
「おおー。なんか面白い」
と、俺のアホ毛を触り、遊び始めた。
「あはっ、なんかいいね」
「……」
「おおー」
陽乃さんは指でアホ毛を弾いたり、手で押さえて髪が立たないようにしたりする。
……うざい。
なにをしているの。寝ている人をいじらないようにって言われなかった?
と思いつつもそのまま寝たふりをし続ける。
「こんなに弄っても起きないかー」
「……」
「あっ、これでも起きないかー?」
「お姉さん、毛布だぞー」
といい陽乃さんは寝ている俺の上にそっと被さってきた。
っ!?はぁ?えっ、ちょっ!
あ。
あ、頭に妹さんにはない大きく育った胸が押し付けられてます。
……起きるタイミングを完璧になくした。
……どうしよう。
「あれ?起きない?」
「……」
「あ、でも比企谷くん暖かい。なんか、湯たんぽみたい」
陽乃さんは俺の上に被さったままそんなことをつぶやき、ながら今度はギュッと抱きしめてくる。
ちょっ!さらに胸が押し付けられるんですけど。
そんなことをされると、他のところが起きちゃうから。
そんなことを思いつつもなされるままで寝たふりを続ける。
すると、陽乃さんは今度は。
「あー、なんか落ち着く。……あと比企谷くんの匂いなんか落ち着くなぁ」
陽乃さんはくんくんと俺の匂いを嗅ぎそんなことを囁く。
「あー。比企谷くん、本当に可愛いなぁ。このまま持ち帰りたい」
「……」
そんなことをつぶやきながら陽乃さんはそのまま俺におい被さったままの体勢でいる。
その体勢のまま10分、20分と経過する。すると、陽乃さんはパッと俺から離れる。
俺は離れるの確認すると、首を回し、陽乃さんのことを薄目でみる。
「んー、こんなにしても起きないのかぁ」
「……」
陽乃さんは、どうしようかなーもう帰ろうかなーとつぶやきながら考え込んでいる。
これは、今起きるタイミング?
いや、でもこのまま陽乃さんが帰るかもしれないからもう少し待つか。
そんなことを思っていると、陽乃さんは何かを思い出しなのか、
「あっ!」
と言い、俺の方に近づいくる。
えっ?ちょっ。今度は何されるの?
と俺は戸惑いつつ、寝たふりをしてようと陽乃さんから顔は見える体勢のまま薄目をやめ、目を閉じる。
すると、陽乃さんは。
――チュッ。
と、俺の唇に陽乃さんの唇を合わせる。
……は?
えっ!?
俺は驚きの余りパッと飛び起きる。
パッと陽乃さんの方を向くと、
「眠っているお姫様はこうやって起こすんだよ」
と、俺の目を見て陽乃さんは頬を朱色に染め、悪戯っぽい笑顔を浮かべながら言う。
その顔は今まで寝たふりをしていたのが見透かしていたのかのようだった。