『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第七話

 

 

 誠と女性の戦闘は神社の中にまで聞こえていた。

 

「……誰かと戦っているようですね」

 

「それしかないでしょ。恐らく相手はルーミアを操った犯人よ」

 

 射命丸の言葉に霊夢はそう言って札を用意する。ちなみにルーミアは寝ている。

 

「文はルーミアを連れて妖怪の山に逃げるのよ。それと紫を連れて来て」

 

「分かりました」

 

「あら、行かせないわよ」

 

『ッ!?』

 

 その時、勝手口が星の弾幕で破壊された。咄嗟に霊夢は渡り廊下の引き戸から外に出た。

 

 外には金髪で紫色の長袖の服を着て箒に股がっている少女がいた。

 

「うふふふ、貴女が博麗霊夢ね」

 

「……だったら何なの?」

 

「魅魔様の悲願のために死んでもらうわ」

 

 少女はそう言って星の形をした弾幕を形成した。

 

「……文、急いで此処から逃げるのよ」

 

「分かりましたッ!!」

 

 文が羽を生やしてまだ寝ているルーミアをお姫様抱っこの形で上空へ飛んだ。

 

「うふふふ、逃がさないわよ」

 

 弾幕が文を襲うが、霊夢が札で弾幕を防いだ。それを利用して文は最大速度で妖怪の山へ逃げた。

 

「あらあら、まぁいいわ。どうせ後で死ぬのも」

 

「……どういうつもり?」

 

「魅魔様の目的は博麗と全人類に復讐する事。ただそれだけよ」

 

「……危ない奴ね」

 

「うふふふ、さぁやりましょう」

 

 少女は星の弾幕を再び形成する。

 

「いい忘れていたわ。私は普通の魔法使いの霧雨魔理沙。魅魔様の弟子よ」

 

「そう、私は博麗霊夢」

 

 霊夢は札を出す。

 

「さっさと終わらすわ」

 

「うふふふ」

 

 そして星と札の弾幕が入り交わる戦いが始まった。

 

 

 

 

「く……」

 

「おやおや、たった一太刀で倒れるのかい?」

 

「当たり前だろ? 何せ俺は三年前までは普通の中学生なんだからな」

 

 俺は斬りつけられた背中の痛みを我慢しながら女性に言う。

 

「ふぅん、そうかい」

 

 女性はそう言って鎌を構える。

 

「そうそう、自己紹介するの忘れてたね。私は魅魔、悪霊だ」

 

「……呆気なく言うな」

 

「なに、あんたの冥土の土産さ」

 

 女性――魅魔は星の弾幕を形成する。

 

「ふん、そう簡単にやられはしないな」

 

「おやおや、そんな重傷なのにやられているのかい?」

 

「当たり前だ。ショートカット『九〇式野砲×十二』ッ!!」

 

 俺は言霊で旧日本陸軍が使用していた九〇式野砲を十二門を出した。

 

「なッ!?」

 

「撃ェッ!!」

 

 俺の叫びと共に九〇式野砲は一斉に砲撃を始めた。ちなみに弾種は九四式榴弾だ。

 

 装填は各種自動装填され時間はかなり短縮されている。ある意味、旧軍は欲しいだろうな。

 

「ちぃッ!!」

 

 魅魔は迫り来る榴弾を避けていく。おいおい、それはないだろう。

 

「私は悪霊だからね。それくらいの速度で避けるのはわけないさ」

 

 ……こりゃ機関銃出した方がいいかな。

 

「ショートカット『MG42』ッ!!」

 

 俺は九〇式野砲を消して第二次大戦時にドイツ軍が使用していたMG42機関銃を出した。

 

「おやおや」

 

 MG42機関銃を見た魅魔は嬉しそうにしている。取りあえず脚でも狙うしかない。そう思って俺は引き金を引いた。

 

「……は?」

 

「アッハッハッハ、どうしたんだい?」

 

 魅魔はMG42機関銃の銃弾を避けていた。んなアホな……。

 

「くそ……」

 

 俺は射撃を再開するけど魅魔は難なく避ける。

 

「……『壁』」

 

 俺はMG42機関銃を消して再び壁を出す。

 

「また壁かい? そもそもあんたの能力は何だい?」

 

 魅魔が冷やかし程度に言う。

 

「俺の能力は言葉を具現化する程度の能力だ。つまりは言霊だ」

 

 俺はそう言って舌を出す。

 

「ショートカット『スタングレネード』ッ!!」

 

 俺は魅魔の五メートル上にM84スタングレネードを出した。勿論M84スタングレネードは重力に逆らって落下してくる。

 

「な……」

 

 俺は咄嗟に目と耳を塞いだ。(目は念のため)そしてスタングレネードは効果を発揮したのである。

 

「突入ッ!!」

 

 咄嗟に目と耳を塞いだ俺ならいざ知らず、相手は現代兵器を恐らくは知らない悪霊。

 

 いくら悪霊でも強烈な閃光は喰らうはずだ。俺は魅魔を捕獲するために動く……はずだった。

 

「いない……だと?」

 

「私は上だよ」

 

「ッ!?」

 

 う、上だとッ!?

 

「残念だったね。私は悪霊だと言っただろ? 悪霊の中には外の世界で兵士をしていた魂もある。私が悪霊なのは怨みを持つ魂を取り込み強くなる。スタングレネードの知識もその魂にあったよ」

 

 ……これは迂闊だったな。まさかそのようなやり方もあったとはな。

 

「万策……尽きたみたいだね。なら次は此方の番だ」

 

「ショートカット『鉄扉』ッ!!」

 

「甘いッ!!」

 

 魅魔が弾幕を形成した時、俺は鉄扉を出すが魅魔は予め予想していたらしく俺の後方に弾幕を形成する。

 

 ……これは詰んだか?

 

「最期に名前を聞いておくよ」

 

「生憎、俺はまだ死ぬ気はしないッ!! 『凍』ッ!!」

 

 弾幕が防げなければ弾幕自体を凍らせればいい。

 

「なッ!?」

 

 魅魔も流石にこの方法は思ってなかったみたいだな。

 

「誠兄ッ!!」

 

 その時、中にいたはずの霊夢が裏から出てきた。

 

「……(ニヤリ)」

 

「ッ!? 逃げろ霊夢ッ!!」

 

 霊夢の姿を見た魅魔がニヤリと笑い、霊夢の後方に弾幕を形成して発射した。

 

 それを見た俺は霊夢に駆け寄り、霊夢を抱き締めた。

 

 そして弾幕が俺に着弾した。

 

 




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