『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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家庭や色々な諸事情で航空自衛隊を退職しました。
なので更新は出来るだけ早くにします。


第七十八話

 

 

 

 

「八雲誠なら博霊神社にいるぞ」

「ほ、ほんとですか!? ありがとうございます!!」

 

 小さい帽子を被った女性からの話に私は喜びが溢れた。やっぱり誠兄は幻想郷にいるのね!!

 

「その博霊神社は何処ですか?」

「あぁ、彼方の方角に……」

「ありがとうございます!!」

「あ、おい……」

 

 私は急いで人里を後にした。何か言っていたけど今は無視よ無視。

 

「待っててね誠兄!!」

 

 博霊神社の看板が置かれた道を走りながら私はそう叫んだ。

 

 

 

「私がいなくてもいいの誠兄?」

「あぁ、中にいていいぞ霊夢。これは俺の問題だ」

 

 心配そうに言ってくる霊夢に俺はそう言っておいた。此処でハッキリさせないとなことはに……。

 

「誠兄、誰か来るわよ」

「ん、判った」

 

 さて……心を鬼とするか。

 

「誠兄!?」

「……ことは……」

 

 石段を駆け上がってきたことはが俺を見て泣き出した。やっぱり辛かったんだろうな……。

 

「生きて……いたんだね誠兄……」

「あぁ……生きて幻想郷にいた」

「……誠兄!!」

「ことは……」

 

 ことはが泣きながら抱きついてきた。おぅ、かなり巨乳になっているな……。

 

「会いたかった……ずっと会いたかったよ誠兄……」

「ことは……」

「ごめんなさい誠兄……私が堕ちたせいで……」

「良いんだよことは……。それは仕方ない事なんだ」

 

 俺と孝之の家族が亡くなったせいでことはが謝るが、それは仕方ない事だからな。

 

「誠兄……桜新町に帰ろう。ヒメや秋名、アオ達が待ってるよ」

「………」

 

 ……遂に来たか。普通なら帰るというが俺は……。

 

「悪いなことは。俺は桜新町には帰らない」

「え……?」

 

 俺の言葉にことはは唖然とした表情をしていた。

 

「此処は外から忘れられた者達が住む場所だ。俺は桜新町から忘れられたから此処に来ている。だから俺は桜新町に帰らない」

「う、嘘は止めてよね誠兄……? 帰ろうよ誠兄。桜新町に帰ろうよ」

「……此処まで来たのはよっぽど苦労したと思うが、俺は桜新町に帰らない」

「そ、そんな……」

 

 ことはがヨロヨロと地面に倒れた。残酷だと思うがなことは、半神になっている俺が桜新町に帰れば神力が無くなって消える可能性があるからな。

 

「帰らない理由は「嫌よ誠兄。また離れるのはもう嫌よ誠兄!!」お、おいことは」

 

 ことはが駄々を捏ねるようにいやいやと頭を振る。

 

「ことは、お前も大人なんだから少しは理解を……」

「嫌ったら嫌よ!! 折角会えたのに……何年の月日が掛かったと思うのよ!! 折角会えたら帰らないだなんて……勝手過ぎるよ誠兄!!」

「………」

 

 ことはの言葉に俺は何も言えなかった。ことはの言い分も判る。判るが俺は……。

 

「ことは、俺も悪いと「それじゃあ手紙で報告したらどうなのよ?」れ、霊夢……」

 

 中にいた霊夢が外に出てきた。霊夢を見た瞬間、ことはの表情が険しくなってきたが……。

 

「誠兄……そいつ誰よ?」

「こ、こいつはれ「『誠兄と一緒に住んでいる』博霊霊夢よ」……」

「………」

 

 何で俺と一緒に住んでいると誇張するんだよ霊夢……。

 

「どういう事よ誠兄? この腋を出した巫女と住んでいるって?」

「い、いやそれは……」

「誠兄と住んでいるから貴女はさっさと帰りなさい。まぁ手紙くらいは送ってあげるわよ」

「火に油を注ぐな霊夢!! 奥に戻れ!!」

 

 とりあえず一回キレといた。霊夢は吃驚した表情しながら部屋に戻った。

 

「……ことは、俺はもう此方の生活が気に入っているというか、俺は特殊な事情で神と妖怪になっているんだ。だから桜新町に帰らないんだ」

「……じゃあ此処にいるの?」

「……そうだ」

「………」

「………」

 

 き、気まずいな……。

 

「はぁい誠君」

「ゆ、紫さん」

 

 救世主キタ━(゚∀゚)━!。

 

「ことはちゃんを此処に送ったのは私よ」

「でしょうね」

「五十音ことは、現実は知ったでしょ? 八雲誠は桜新町に帰らないわ」

「……じゃあ私は此処に「此処に残るのも無理よ」ど、どういう事ですか!?」

「貴女と八雲誠の属性だからよ」

 

 属性だと?

 

「貴女と八雲誠は言霊使い。でも力は全く逆なのよ。五十音ことはの力は妖怪の力。八雲誠は霊力なのよ」

「え、俺の言霊は霊力なんですか?」

「最初は妖怪の力だったわ。でも貴方が祀られてから神力が現れると妖力が浄化されて霊力に変わってしまったのよ。まぁ簡単に言えば陰と陽ね」

「陰と陽……」

「陰と陽は互いに対立しないといけないわ。桜新町に八雲誠が戻れば対立のバランスが崩れて崩壊しかねないわ」

「じゃあ……もう会えないんですか?」

「まぁ……貴女が此処に一泊する程度なら大丈夫でしょう。毎月一回くらいならそう簡単に崩れる事はないわ」

「それなら早く言って下さいよ紫さん」

「……テヘペロ♪」

 

 ……絶対に面白がって言わなかったな。

 

「じゃあ……一泊するくらいなら良いのですか?」

「そうね、それくらいなら問題は無いわ」

「………」

「……ことは?」

「誠兄……今日泊まるわ」

「……ハァ!?」

 

 ことはの言葉に俺は驚いた。

 

 

 

 

 




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