『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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魅魔をヒロインにした小説も最近書いてみたいと思う(チラ


第七十四話

 

 

 

 

 紫達一考は博麗神社で湧き出した温泉に浸っていた。

 

「あぁ~~~……いい湯ねぇ~」

「男臭いわよ蓮子」

「良いじゃないメリー。温泉なのよ温泉。温泉に入るとそうなってしまうのよ」

「あらそうなの? それなら……」

 

 紫はそう言って蓮子の胸に手を添える。

 

「メ、メリー?」

「解放間が溢れる温泉でするのも一興じゃないかしら?」

「ちょ、ちょっとメリー……んぅ!?」

 

 紫の手が蓮子の微乳の乳首をつねり蓮子の声は喘ぎ声に変わっていく。

 

「此処はどうかしら?」

「メ、メリー……くう!!」

 

 紫の手は下へ向かい、蓮子の彼処を刺激していく。

 

「~~~ッ!?」

 

 蓮子は暫くの間、紫に弄ばれるのであった。

 

「………」

 

 紫からの攻撃に漸く解放された蓮子だったが、蓮子はグッタリと紫に身体を預けてそのまま気絶していた。紫はそれを見てケラケラと笑う。

 

「いつもの御返しよ蓮子」

「いつも負けてますからね紫様」

 

 隣で静かに酒を飲んでいた藍はそう言った。三人の少し離れたところでは橙が温泉に入るか悩んでいた。

 

「報告しても宜しいですか?」

「構わないわ藍」

 

 幾分か、肌が艶々している紫は上機嫌だった。藍はそれに構わず口を開いた。

 

「異変は博麗霊夢によって治まりました。ですが今回、地上と地底を繋ぐ穴が開いてしまったので地底の悪霊を地上に出さないよう結界を張る必要があります」

「そうね、魅魔に頼んで悪霊のみの結界を敷いてもらうわ」

「……それと今回の異変を起こした二柱の監視は必要だと思います」

「祟り神の方はあまり乗り気じゃなかったと聞くし軍神と現人神の方の監視ね」

 

 紫はそう言って御猪口に日本酒を注ぎ飲み干す。それを見ていた藍は意を決して口を開いた。

 

「紫様……本来、この異変は紫様が主導でやるべき異変です。何のために鬼達を地底に向かわせ地上との接触を絶ったのですか?」

「……藍、時代は変わりつつあるのよ」

 

 御猪口に日本酒を注ぐ紫はそう言った。途中で酒が切れて紫はスキマを開いて左手をスキマの中に入れる。左手を引くと日本酒の瓶が現れた。

 このスキマは今、宴会が行われている守矢神社に通じていた。そこから日本酒を頂戴していたのだ。紫の後ろの石畳には既に五、六本の空瓶があったりする。

 

「……確かに昔の私なら直ぐに穴を塞いだわ。でもね藍、時代は変わりつつあるのよ」

「……どういう意味ですか?」

「誠君が幻想郷に来てくれたからよ」

 

 紫は嬉しそうに笑う。

 

「誠君が来てくれたおかげで霊夢の日常は楽しいものなの。私がすべき事は次代へ私の夢を託す事よ」

 

 紫はそう言って日本酒を飲む。すると、気絶していた蓮子が起き上がった。

 

「本音は私と過ごしたいからでしょ?」

「……バレたかしら?」

「何を言っているのよ、私とメリーの仲でしょ?」

「……はぁ……」

 

 目の前でイチャイチャし出した二人に藍は溜め息を吐いた。最近の藍の悩みの種は二人が場所を問わずにイチャイチャする事だった。

 そのうち永遠亭から胃薬を貰うかもしれない。

 

「でもね藍。さっき言った事は本当よ。誠君が神になりつつある。そうなれば……」

「幻想郷を彼に託すのですか?」

「そうなれば良いわ。でも……」

 

 紫は上を見上げた。空は満天の星空を描いている。

 

「彼が桜新町の出身である限り、大きな選択を迫られる必要があるわ」

「……例の言霊使いですか?」

「……彼女の心は誠君と孝之君に会いたい。その一心で身体が動いているわ。彼女を生かすも殺すも全ては誠君次第……」

「……人間ってのは残酷な事ね」

「そうね。どう結果になろうが幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話よ」

 

 紫はそう言うのであった。

 

 

 

「ねぇことはちゃん、寝ないの?」

「ごめんアオ。これを読んだら寝るわ」

 

 時刻は午後十一時過ぎ。今日もことはのベッドに潜り込んでいるアオは机で古い書物を読んでいることはにそう言っていた。彼女の就寝する時間はいつも一時過ぎ、心配するアオだがことはは大丈夫と言うだけで気に止めない。

 

「……じゃあ御休みことはちゃん」

「御休みアオ」

 

 どうする事も出来ないアオは寝る事にした。アオの心配する様子を見てないことはは書物に集中する。

 今読んでいるのは比泉の先祖がつけていた日記だった。日記でも二人の手掛かりになるとことはは日記を読んでいたがどれも家族の事や妖怪退治の事ばかり。

 

「……手掛かりになるのは無さそうね」

 

 ことはは冷たくなっていたコーヒーを飲み、頁を捲る。視線を文章にそっていくと、ふと気になる言葉を見つけた。

 

「……八雲紫……?」

 

 何処かで聞いた事がある。ことはは頭をコンコンと叩いて思いだそうとする。

 

「……あ、秋名が言っていた人ね」

 

 以前、桜新町にやってきた謎の妖怪と秋名から聞いた。桜新町に住むのかと聞かれたが拒絶されたらしいが……。

 

「この時代から生きていると……相当な妖怪なのね」

 

 ことはは感心しながら続きの頁を捲るとまたしても気になる言葉を見つけた。

 

「……幻想郷……?」

 

 何でもない風に口に出したことはではあるが、何故か記憶に留まる単語であった。そして、ゆっくりとゆっくりと物語は進もうとしているのであった。

 

 

 

 




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