『言霊使いと幻想郷』 作:零戦
「ケホ……ケホ……」
「インフルエンザね。まぁ二、三日は此処で(永遠亭)で療養ね」
「インフルエンザ? ただの風邪じゃないのかしら?」
「風邪より悪性ね。下手をすれば死ぬわ」
「じゃ、じゃあ誠兄は死ぬのッ!?」
「薬飲んだから死にはしないわよ。それとこれは感染もするから部屋には入らないように」
永琳がそう言って霊夢を外に出した。霊夢が先日に肺炎に掛かったが、今度は俺がインフルエンザに掛かってしまった。
ちなみに季節は冬だ。月で言えば師走だな。
「インフルとか何処で感染したんだろな……」
「恐らく感染したところは紅魔館よ」
「え? 何で判るんですか?」
「紅魔館に八雲紫が送った食糧用の外来人の一人がインフルエンザに感染していたのよ。八雲紫が適当にスキマで送ったからたまたまインフルエンザに感染していた外来人が幻想郷に来たのよ。後は判るわね?」
「……紅魔館組もインフルエンザに感染したと?」
「そうよ。まぁ感染したのはメイド長と門番よ」
「こ、こんにちわ……」
「………」
永琳はそう言ってベッドの垂れ幕を引くとマスクを付けた美鈴と咲夜がベッドで寝ていた。
「……紅魔館は大丈夫なのか?」
「孝之が仕切っているわ。まぁ御嬢様や妹様が大人しくしていれば良いんだけど……」
「公然と寝れるのっていいですね~」
「……ふざけた事を言うと刺すわよ美鈴?」
「す、すいません咲夜さん……」
「あんまり汚さないでね」
「それだけで良いんですか永琳さん?」
俺は溜め息を吐いた。ちゃんと治るかな俺……。
「永琳、私も泊まっていいかしら?」
「病気が移るから大人しく帰りなさい」
何故か悔しがる霊夢だった。
「誠さぁん、熱を測りますね」
「ん、体温計プリーズ」
うどんげから体温計を借りて左脇に差し込む。暫くして体温計がピピッと鳴って画面を見ると……。
「八度二分だな」
「少し下がりましたね」
「六分だけな。永琳さんから貰った薬が効いてきたんだろ」
「誠さぁん、私はまだ頭がぼうっとしてますぅ~」
「寝てろ美鈴」
「一緒に……寝てくれませんか?」
う、上目使いの美鈴……正直に言おう……物凄く可愛いです。
「駄目ですよ美鈴さん。誠さんは姫様のところに就職するんですよ」
「何言ってんだうどんげッ!?」
「そっちはニートじゃないですか。こっちは一日門番ですよ。襲いに来る妖怪を叩き潰すだけの簡単な仕事です」
……それは簡単な仕事なのか?
「美鈴、良いから寝なさい」
「はぁい咲夜さん……」
美鈴が渋々と寝出した。寝て十秒で鼻ちょうちんとか……お前は紫さんかよ。
「それじゃあ安静していて下さいね」
うどんげはそう言って部屋を出た。さて寝るか……。
「……寝ました誠さん?」
「……くぁ~……」
私が誠さんのベッドを見ると、誠さんは寝ていた。フフフ、誠さんは私が鼻ちょうちんを出しながら寝てると思ってましたね。
あれは嘘ですよ。演技なんです。
「誠さんが寝てたら分かりませんもんね」
「……そう言いつつ、何八雲のベッドに入ろうとしているのよ」
横のベッドで寝ている咲夜さんがそう言ってきたけど……。
「興味あるんですか咲夜さん?」
「きょ、興味じゃないわよ。八雲が驚くでしょう」
「誠さんと寝るなら無問題です(キリ」
「……はぁ……」
何故か咲夜さんに溜め息を吐かれた。解せぬ。
でもまぁ……。
「お邪魔します誠さん」
「……知らないわよ」
私はいそいそと誠さんのベッドに潜り込んだ。
「……何で背中なの?」
「いやぁ、男は背中だと聞いた事があるので……」
「何処情報よそれは……」
「パチュリー様の図書館にありました」
「………」
でも……誠さんの背中に傷がありますね。誰かとの交戦した傷痕ですかね。
「……何で後ろで見てるんですか咲夜さん?」
「み、見てないわよッ!!」
咲夜さんが顔を赤くしながら背けた。咲夜さん可愛いなぁ……。
「それじゃあ寝るとしま――」
「誠ぉ、ちゃんと寝てるぅ?」
『………』
そこへ、何故かナース服を着た輝夜さんが部屋に入ってきた。
「な、な、な、何をしてるのよッ!!」
「そっくりそのまま言葉を返しますよ」
私の行為を見てそう言う輝夜さんですがナース服を着てる時点で何をしてるんですか。
「わ、私は誠の看病するためよ。看病するなら服装からよ」
「私は誠さんに抱きつくためです」
「……貴女大丈夫かしら?」
「ここ最近誠成分を摂取してないので暴走寸前ですよ」
「何よ誠成分って……」
「と、兎に角そこを退きなさいよッ!!」
「そうですね、私達は病人ですからね」
「そうよ、病人は大人しくベッドで寝てるのよ」
「だ が 断 る」
「な、何ィィィッ!?Σ( ; ゜Д゜)」
「この紅美鈴、誠さんの事は一歩も譲る気は一切しない」
「く、中国の分際で……」
「……私寝るわよ」
咲夜さんが戦線離脱したが、無問題です。
「勝負は弾幕ごっこよッ!!」
「負けませんッ!!」
そして私と輝夜さんとの弾幕ごっこが始まった。
なお、咲夜さんはいつの間にか時を止めて寝ている誠さんと避難して永琳さんにチクっていた。
酷いです咲夜さん。
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