『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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ここから二話連続で病気ネタです。


第六十八話

 

 

 

 

「ケホ、ケホ……」

「完全に肺炎ね。二、三日は此処で入院してもらうわよ」

 

 朝、霊夢の様子がおかしかったから体温を測らせたら(にとり製の体温計)熱が四十度近くあったので紫さんのスキマを使って永遠亭に来ていた。

 

「肺炎って二、三日で治るものでしたっけ?」

「私特製の薬よ」

 

 納得した。

 

「誠君達も念のために飲んどいて。移ったらね……」

「ありがとうございます」

 

 俺は永琳から薬を貰う。

 

「それじゃあな霊夢。見舞いには来るからな」

「……うん。ねぇ誠兄」

「どうした?」

「……ギュッてして」

「はいはい」

 

 俺は霊夢を抱いた。異様に心拍数が激しい気がするが……気のせいだな。

 なお俺が部屋を出た後、霊夢は「誠兄と抱けたわ~」と悶えていたのを永琳が沈めたらしい。

 

「さて、里にでも行くか」

 

 今日は寺子屋で授業をする日だからな。

 

 

 

 

「グーヤ、貴女怪我をしているじゃないッ!!」

「……このくらい掠り傷よ」

「駄目よちゃんと手当てしないと……」

 

 ケーネはそう言って自分のハンカチをグーヤの傷口に止血した。

 

「これでいいわ」

「………」

 

 グーヤは止血してもらったケーネをじっと見ていた。

 

「見つけたぞグーヤッ!!」

「もこたんッ!!」

 

 そこへグーヤの部下達の戦闘を終えたもこたんが現れた。しかし、グーヤは何も言わずに背を向けた。

 

「何の真似だグーヤッ!!」

「……興醒めだわ。今日のところは貴女に勝ちを譲るわ」

「何?」

 

 グーヤはそう言って煙幕で目眩ましをして逃走した。一方、二人はグーヤの対応にポカンとしているのであった。

 

「……何よこの気持ち……。私、どうしちゃったのよ……」

 

 高鳴る胸の鼓動にグーヤはどうしようもなかった。

 次回、もこたんとおっケーネ物語2第八話『私は目覚めてしまった』をお送りします。

 次回も、もこたんインしたおッ!!

 

 

 

「グーヤ可愛いね先生」

「グーヤ萌え~」

「三角関係ってやつだね」

「ドロドロ~」

 

 子ども達は感想を言ってくるが……誰だそんなの教えたのは……。

 

「蓮子先生だよ」

「………」

 

 何してんだよ蓮子。また紫さんにやられるぞ……。

 

「……誠、お前は何一つ成長していないな……」

「げぇ慧音ッ!?」

 

 教室の扉には溜め息を吐いた慧音が立っていた。その瞬間、子ども達が後ろの扉から教室を出ていく。

 お前ら息ピッタリだなおい。

 

「覚悟はいいかァ誠ォッ!!」

「ちょ、おま……」

 

 頭を押さえられ、反り返った慧音に咄嗟に手を差し伸べた。差し伸べた箇所は慧音の胸のリボンでそのまま引っ張った。

 

「ぁ……」

 

 頭を降り下ろそうとしていて、俺が反撃するするとは思っていなかった慧音は前のめりに倒れた。

 まぁ……ぶっちゃけると慧音と抱きついている状態だわな。

 

「先生大胆~♪」

「ほらほら男子。目に毒だから見ないようにしときなさい」

「俺達の美しい慧音先生が……」

「先生だもんね。仕方ないね……事故を起こすべきか」

 

 誰だよ最後に言った奴はッ!? 無茶苦茶こえぇよッ!!

 

「……す、済まない」

「あ、あぁ」

 

 慧音が顔を赤くしつつ教室を出たが……。

 

「もこたんに怒られそうだな」

「先生がこの世にいられるか微妙ですね」

「そう言うな」

 

 やけに大人びた女の子にそう言われた。その後、授業は何とか終わって今日の授業は終了となった。

 

「八雲先生ぇ」

「ん? どうした?」

 

 帰ろうとすると、一人の女の子が寄ってきた。

 

「八雲先生の神社は秋のお姉ちゃんみたいに小さい神社は無いの?」

「何でだ?」

「神社にお詣りしたいんだけど、妖怪が出るから行けないの」

「道の整備なら前にやったぞ?」

「近くの方が皆良いみたいなの。それに八雲先生の神社は遠いし」

 

 そうだなぁ、里からは神社まで遠いからな。

 

「判った。里に分社を建てるよ」

「わぁ、ありがとう八雲先生」

 

 取りあえず里に分社を建てる事になった。ま、霊夢も喜ぶだろ。

 ちなみに分社は秋姉妹の分社の隣に建てた。

 

 

 

「メシ出来たぞ~」

 

 夜、晩ごはんが出来たから呼ぶと魅魔と萃香がふらふらとちゃぶ台に来た。

 

「今日は何だい?」

「今日はトンカツだ」

 

 里が養豚場もしているからな。ちなみに此処が紅魔館だと幻想入りしてレミリア達に殺された外来人の肉になるがな。

 孝之も最初は吐いたらしいが慣れたらしい。慣れって怖いよな。

 

「あ、誠。またトンカツソースをごはんに付けて……」

「好きなんだよ」

 

 トンカツ(ソース付き)を食べる時はごはんに付けて食べるのが良いんだよ。そして晩ごはん後の一服。

 俺は魅魔にお茶を渡す。なお、萃香は飲んで寝ている。

 

「霊夢がいないと静かだね」

「何だ魅魔? 淋しいのか?」

 

 俺は魅魔にそう言うが、魅魔は逆にニヤリと笑った。

 

「何言っているんだい。五月蝿い霊夢がいないんだ」

「お、おい……」

 

 魅魔はそう言って俺の右肩に頭を乗せてきた。何時もの帽子は脇に置いてある。

 魅魔が近くにいるからちょっと心拍数が……。

 

「フフ、どうしたんだい誠?」

「……うるせぇ」

 

 ニヤニヤする魅魔に俺はそう言うしかなかった。

 

「……熱いねぇ」

 

 いつの間にか起きていた萃香にもそうからかわれた。

 

 

 

 




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