『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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友人「慧音フラグはよ」

作者「なにそれこわい」


第六十五話

 

 

 

 女性達は突風で吹き飛ばされて何人かは海に落ちた。まぁ浅瀬のところだから命に関わるような事はしていない。

 

「く、貴方……」

「……眼福ですありがとうございます」

 

 女性は海水に浸かっていたため、服がびしょ濡れで透けてオッパイの上乳が見えています。

 いやほんとにありがとうございます。

 

「誠兄……?」

「わ、わざとじゃないぞ霊夢」

 

 封魔針を装備している霊夢が睨んでいた。怖いです。取りあえず、他の兎達も小銃を構えていて一発触発の状態だな。

 

「こ、降参だ降参ッ!!」

 

 そこへ霧雨が根をあげた。

 

「今のままじゃ誠兄ちゃんがいても勝ち目が無いしお互い被害を被るだろうし」

「……呆気ない」

「ただ、幻想郷では知的で美しい決闘ルールがある。力の強い妖怪が多い幻想郷だからこそ生まれたルールだ」

『………』

 

 月人達は霧雨の言葉を静かに聞いていた。

 

「……何かしら?」

「人間も妖怪も月の民もオケラも皆、平等に楽しめるこの世で尤も無駄なゲーム……スペルカード戦だ」

 

 霧雨はそう言った。結局、女性達もスペルカード戦に賛成をしてバトルが勃発した。

 

「……誠、気合い入れすぎじゃないのか?」

「違うぞ孝之。気合いを入れないといけないんだよ」

 

 咲夜と女性――依姫が対決している時に孝之がそう言ってきた。

 

「どういう事だ?」

「そういう事だ」

 

 不審がる孝之にそう言っておいた。あ、咲夜が負けたな。

 

「次、あんた行きなさい」

「へいへい……」

 

 霧雨が溜め息を吐きながら依姫と対峙して弾幕ごっこを始めた。

 

「星が瞬いて見えるのは大気の揺らぎなのです。大気の少ない月の都では星は殆ど瞬かない」

 

 依姫はそう言って霧雨の弾幕を避けていく。そして霧雨はマスパをぶっぱなした。

 

「ファイナルスパークッ!!」

 

 あ、ファイナルの方だったか。てかどっちも変わらん気がするけどな……。

 そして霧雨はダブルスパークを放ったが依姫は『石凝姥命』を召喚して八咫鏡でスパークの一つを地球に跳ね返した。

 

「今頃地球は大騒ぎだな」

 

 そういや八重さん達は元気かな?

 

 

 

――桜新町――

 

 その日、桜新町の比泉秋名の事務所ではいつもの面々が宴会していた。

 

「あッ!? ヒメちゃんヒメちゃんッ!! 月から何かレーザーみたいなのが出たよッ!!」

「何処よアオ……何もないじゃない」

「あれぇ……可笑しいなぁ……」

「(……まさかあいつらじゃないだろうな)」

 

 アオとヒメはそのように話していたのを雄飛はそう思っていた。

 

 

 

 結果的に霧雨が降参したため、レミリアが弾幕ごっこをしているが……。

 

「最初から飛ばしているな」

「最近はあまり満足に弾幕ごっこをしていないからな。久しぶりだからだろ」

 

 おぉ、依姫に傷を付けているな。まぁ……。

 

「多分負けるな」

「多分というより絶対だな。いくら御嬢様が吸血鬼だといえ、相手は神の力を使う。勝ち目はあるまいよ。誠ならどうかな?」

「さぁ……な」

 

 俺は弾幕ごっこに視線を向ける。

 

「大御神はお隠れになった。夜の支配する世界は決して浄土になり得ない。『天宇受売命』よッ!! 我が身に降り立ち夜の侵食を食い止める舞を見せよ」

 

 ……天照大御神か。

 

「レミリアの負けが確定だな」

「あぁ、慰める準備でもするか」

 

 そしてレミリアは依姫に突進したが天照大御神を出されてそのまま負けた。

 

「大丈夫ですか御嬢様?」

 

 孝之が慰めるためにレミリアの元へ向かう。

 

「さぁ次はそちらの巫女かしら?」

「……はぁ、あまり気が進まないわね」

 

 霊夢がそう言って弾幕ごっこを始めた。

 

「経験からいって、霊夢が負けるな」

「霊夢でも負ける事はあるのかい兄ちゃん?」

「そうだ。霊夢が強いと言ってもそれは幻想郷の中だけだ。外に出ればあの依姫のように強い奴がいる」

 

 俺は霧雨にそう言った。弾幕ごっこはいつの間にか霊夢が『大禍津日神』がその身に溜めた厄災を投げて依姫に斬らした。

 

「これであんまは私の弾を避けるわけにはいかないでしょ?」

「すげぇぜ。まるで倒して然るべき妖怪みたいだ」

「霊夢がな」

 

 今回の霊夢は凄い悪役だよな。

 

「『伊豆能売』よ、私に代わって穢れを祓えッ!!」

「巫女姿の神? 誰それ? 聞いた事ない神様だわ」

 

 霊夢が驚いている。

 

「兄ちゃんは知っているか?」

「少しだけだ。神産みにおいて伊邪那岐命が黄泉から帰って来た際、黄泉の穢れから禍津日神が生まれた。その禍津日神がもたらす禍(災厄)を直すために、直毘神二柱と伊豆能売が生まれたくらいしか知らんな」

「……それは十分知っていると思うぜ」

「なに、小鈴の貸本屋で見たからな」

「巫女は神様をその身に降ろす者。その神様が巫女の姿っておかしくない?」

「いや霊夢。早苗がいるだろ……」

 

 早苗は巫女(一応)で現人神だぞ……。

 

「勉強不足ね」

 

 依姫は霊夢の首筋に刃を当てた。

 

「はぁ……負けよ負け」

 

 霊夢が降参した。そして依姫が俺に視線を向ける。

 

「最後は貴方ね」

「あぁ。だが俺は弾幕ごっこはせんよ」

「……じゃあ真剣かしら?」

「そうだな」

「お、おい兄ちゃん……」

 

 いきなり弾幕ごっこをしない俺に霧雨が狼狽しているが今は無視だ。

 

「私に勝てるかしら?」

「まぁ惜しいところまでかな?」

「そう……なら此方から行くわッ!! 大御神は――」

「『凍』」

 

 その瞬間、全てが氷に覆われた。桃の木々も海も砂浜も。

 

『ーーーッ!?』

「『圧』」

「ガッ!?」

 

 そして依姫は横からの圧力を受けて腕を交差した。

 

「さて……地上の者の底力を見せようか」

 

 俺はニヤリと笑った。

 

 

 

 




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