『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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輝夜イベント。そして新章へ。


第五十八話

 

 

 

「はい誠。あ~ん」

「あ、あ~ん」

 

 俺は何故か病室で輝夜から介護を受けていた。手は大丈夫だから使えるんだが……。

 

「誠は病人でしょ。良いじゃない」

「いやまぁ……そうだが……」

 

 俺はリンゴを食べながらそう言ったが……まぁ良いか。

 

「誠、ゲームしよっか」

「良いぞ。何のゲームだ?」

「ニィ、パワ〇ロよ。今度こそリベンジしてあげるわ」

 

 輝夜がパワ〇ロのソフトを見せる。ほぅ、輝夜も今回は自信があるみたいだな。

 

「それならゲーム開始だな」

 

 

 

 

「ふむ、腕をあげたな輝夜。だが……」

「うそッ!? 今の入っているのッ!?」

 

 

 

「此処でェ……ッ!!」

「甘いな輝夜」

「ガ、ガッツに打たれたァッ!? ……てよく見たら打者の打法が全員神主打法ッ!!」

「思い出しました」

 

 

 

 

「また負けたぁ……」

「腕はあげたがまだまだだな輝夜」

 

 ゲーム後の一息。俺は饅頭を食べて輝夜はお茶を飲んでいた。

 

「ところで輝夜。永琳から聞いたが最近元気が無いとか……」

「え、別に元気無いとかじゃ……」

「まぁ必死に「ホームラン入らないでッ!!」って叫んでたからな」

「それは言わないでよッ!!」

 

 輝夜が怒りながら反論をする。

 

「で、何で元気が無いんだ?」

「………」

 

 俺の言葉に輝夜が黙るが、少し経って口を開いた。

 

「その……誠ってもしかすれば神になるかもしれないでしょ?」

「まぁな」

「だから……寂しくないかなと思って……」

 

 ……成る程な。

 

「そうだな。けど輝夜達は不老不死だから何時でも俺と会えるだろ?」

「そうだけど……べ、別に私がそっちに行っても……」

「ん? 何か言ったか?」

「な、何でも無いわよッ!!」

「お、おい叩くなよ……」

 

 輝夜が急に立ち上がって俺をぽかぽかと叩いてくる。

 

「おい、あんまり叩くなよ。そのうち転けるぞ……」

「きゃッ!?」

「おい……って……」

 

 輝夜が足に着物を踏んで転けた。転けたのはいいが俺に乗り掛かるのだが、何故か輝夜は俺を押し倒した。

 

「輝夜……?」

「……あのね誠。着物って下着の線が見えるから大抵は着ないんだよね」

「……それで?」

「私……今は着物だけ着ているんだよ」

 

 それは……。

 

「……ん……」

 

 すると、輝夜は何故か目を瞑りだした。おい、これはもしかして……。

 

「………」

 

 輝夜は目を瞑り、唇を差し出すようにしていた。

 

「………」

 

 ……知らんぞ。俺はどうなっても知らんぞ輝夜。そして俺はゆっくりと輝夜に近づいて、もう少しで両人の唇が合わさろうとしていた。

 

「姫様ぁ。お茶の御代わりを御持ちしま……」

 

 そこへ鈴仙がお茶の御代わりを持ってきたが、俺達の状況を見て唖然とした。

 そして急激に顔を赤らめて襖を勢いよく閉めた。

 

「し、失礼しましたッ!!」

 

 鈴仙はそう言ってパタパタと走って行った。

 

「し、師匠ォッ!! ひ、姫様の就職が決まりましたァッ!!」

「ちょ、待ちなさいよ鈴仙ッ!!」

 

 輝夜も顔を赤らめて鈴仙の後を追った。

 

「……文、新聞に載せたら妖怪の山を無くすぞ」

「あややや、それは私も困りますね。それに誠さんも死にそうですから封印しておきますね」

 

 文がひょこっと窓から顔を出してきた。

 

「でもですね誠さん。私に口止め料をくれたらなぁ……と」

「口止め料?」

「えぇそうです」

「まぁ……大丈夫だな」

「ありがとうございます。では……」

 

 文はそう言って俺に近づいて……え?

 

「ん……頂きました」

「文……」

 

 文は俺の右頬にキスをしたのだ。

 

「口止め料頂きました。ではこれで」

 

 文は顔を赤らめつつ去って行った。

 

「……本当にどうしようか……」

 

 そう呟く俺だった。

 

 

 

 

 何処かのとある海。八雲紫と宇佐見蓮子がいた。八雲は二匹の式神を呼び寄せた。

 

「さぁ行きなさい、私の可愛い式神達よ。神酒を手に晴れを越え雨を越え嵐を越え、そして賢者を探しなさい」

 

 紫はそう言って式神の烏を放った。

 

「ねぇ……メリー。何を始める気なの?」

「フフ、そうねぇ……」

 

 蓮子の呟きに紫は笑った。

 

「蓮子にとって面白い事をするのよ」

 

 紫は蓮子にそう言った。

 

 

 

「じゃあ御世話になりました」

「えぇ」

「………」

「御大事に」

「元気でねウサ」

 

 一週間後、俺は永遠亭を退院して輝夜達から見送られていた。まぁ輝夜とは……ギクシャクした関係が続いたな。

 輝夜と視線が絡むと途端に二人して顔を赤らめてしまったしな。

 永琳には「いつ頃生むのかしら?」と笑いながら言われたな……。

 まぁ……兎に角神社に帰るか。

 

「それでは」

 

 俺は輝夜達に手を振りながら神社に帰った。

 

 

「何だこれは?」

「お、霊夢の兄ちゃん。退院したのか」

 

 神社に帰ると霊夢と紫さんが戦っていた。取りあえず近くにいた霧雨に聞くか。

 

「何がどうなっているんだ霧雨?」

「それが私にもよく分からないんだぜ。今さっき神社に来てこの状況だぜ?」

 

 霧雨は肩を竦めてそう言った。ふむ、霧雨も知らないか。

 

「取りあえず戦いを見守るか」

 

 俺はそう呟いて二人の戦いに視線を向けた。

 

 

 

 




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