『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第四十八話

 

 

 

「……取りあえず、大丈夫か?」

「えぇ……何とかね」

 

 俺は霊夢にぴちゅられた鍵山を見た。

 

「折角出ていくように言ったのにあの二人は聞かないものね」

「済まないな。今回はうちの神社が関わる事だからな」

「そう、それなら仕方ないわね」

 

 鍵山が立ち上がってパンパンと服を叩いて埃を払った。

 

「忠告はしたからね」

「あぁ」

 

 鍵山はそう言って山の中に帰るのであった。

 

「誠兄ぃ。行くわよ」

「はいはい、今行くから」

 

 俺は霊夢と霧雨に合流して山の山頂を目指すため登っていく。

 

 

 

「お、盟友じゃないか」

「ん? にとりと岡崎教授じゃないか。何をしてんだ?」

 

 小川があったから少し休憩しようと小川へ降りていたら石場のところで河童のにとりと岡崎教授がいた。

 

「光学迷彩スーツが出来たからその実験をね。にとり、ついでだから霊夢と弾幕ごっこしてきなさいよ」

「え、鬼巫女と……」

「聞こえているわよにとり」

 

 霊夢は既に準備は完了しているようだな。御幣で素振りしているしな。

 

「……今日、厄日だったかなぁ……」

「いいじゃないの。ついでに山頂で陣取っている神の連中も霊夢に滅してもらえばいいし」

「その神社に殴り込みするんだぜ」

「そう言えばちゆりさんは?」

「ちゆりなら風邪を引いて寝込んでいるわ。馬鹿なのに風邪を引くからね」

 

 馬鹿って……。そうこうしているうちに霊夢とにとりの弾幕ごっこが開始された。

 

「ふむふむ、上手く機能しているようね」

 

 にとりは光学迷彩スーツを上手く使いながら霊夢の弾幕を避けていた。

 

「ちょこまかと……霊符「夢想妙珠」ッ!!」

 

 霊夢がスペカの霊符「夢想妙珠」で攻撃した。これは永夜異変の時に霊夢が創作したスペカである。夢想封印より光弾の数が少なく低威力で出が遅いがそれでも当たる物は当たる。

 

「あ、これは逃げられな――」

「終わりよ」

 

 そしてにとりに弾幕が命中してにとりはぴちゅられた。

 

「まだまだァッ!!」

「まだやる気なのね。その心意気は褒めてあげるわ」

 

 にとりは再び弾幕ごっこを始めた。

 

「いくよッ!! 光学「オプティカルカモフラージュ」ッ!!」

 

 にとりはスペカを発動する。霊夢はにとりの弾幕をひょいひょいと避けていく。

 

「霊符「夢想封印 集」ッ!!」

 

 霊夢が二枚目のスペカを発動して撒いた札が一定の間隔でにとりのほうへ向きを変えながら迫ってくる。

 

「し、しまっ――」

 

 弾幕を避けていたにとりだが、遂に逃げる場所が無くなりそのままぴちゅられた。

 

「あら、終わったわね」

「いや、終わったわねって教授……」

「まぁデータの収集が出来たから良いわね。邪魔して悪かったわ霊夢」

「良いわよ別に」

「件の神社だけど、この小川を登っていけば着きやすいわ」

「ありがとう夢美」

 

 霊夢はそう言って教授とにとりと別れた。俺達はそのまま小川を登っていった。

 

 

 

「そこまでだ侵入者ッ!! ……って貴方は……」

「ん……って犬走か」

 

 小川上空を飛行していると剣を持った犬走椛が現れた。

 

「妖怪の山に侵入者が現れたと聞いて来たが……貴方達でしたか」

「あぁ、最近山の山頂付近に現れた神社に行こうとな」

「違うわ誠兄。焼き討ちするのよ」

「焼き討ちって……」

 

 霊夢の言葉に霧雨が引いている。

 

「通してくんないか?」

「あ、どうぞ。文さんからは来たら通すように言われてますので……」

 

 やけにあっさりだなおい。まぁ通してくれるならいいがな。

 

「その代わり私の取材は邪魔しないで下さいねッ!!」

「うわッ!? い、いきなり現れんなやッ!!」

「あややや、そうですか?」

「そうだよッ!!」

 

 いきなり現れた文に文句を言う。全く、これだからブンヤは……。

 

「邪魔しないなら良いわ」

「ありがとうございます。流石は霊夢さんです」

「はぁ……そうだ犬走。太助とはどうなんだ?」

「……よくしてもらってます」

 

 犬走は顔を赤くしながらそう答えた。あれから(閑話)太助は犬走に告白したらしく、「い、いきなり祝言は……最初はお付き合いから……」と犬走の言葉で今は恋人同士との事だ。

 ほら、壁なら俺の言霊で出してやるから椛ファンは存分に壁を殴れ。

 

「そうか、幸せにな」

「……はいッ!!」

 

 犬走は健気にも頷いた。そして文も加えた一行は山頂の神社に到着した。

 

「よし、誠兄。燃やせ」

「いきなりかよ……」

 

 俺は霊夢にそうツッコミを入れた。それにしても……。

 

「神社まで続く参道の両端に御柱(おんばしら)のような物が置いてあるな……」

 

 参道の両端には御柱が鎮座していた。古風というかなんというかだな……。

 

「あら? 貴方は……」

「ん?」

 

 参道で掃除をしていた巫女がいた。その巫女は先日、廃社しろと告げた巫女だ。

 

「……誠兄、もしかしてあの巫女が?」

「あぁ……そうだ」

「あのぅ、もしかして廃社したのを告げに来たのですか?」

 

 巫女さんはのほほんとそう言ってきたが……霊夢の表情がかなりヤバい。

 笑っていたが、心から笑っていない。

 

「……そう、貴女が件の巫女ね」

「貴女はもしかして博麗の巫女ですね。そうですか、巫女を辞めると言いに来たんですね」

「………」

 

 霊夢がゆっくりと巫女に近づいていく。

 

「後は私達に任せてゆっくりと御休み下さいね」

「……御休みするのはあんたの方よッ!!」

「ゴハッ!?」

 

 突然、霊夢が気合いを込めた腹パンをかました。

 

「れ、霊夢ッ!? 何してんだぜッ!!」

「博麗流体術、黄金の右手二式よ」

「いや……何だぜそれ?」

「御腹に命中した瞬間に手を回転させてねじりこむのよ。一式はただ叩き込むだけどね」

「……いや、巫女なんだから弾幕ごっこで勝負しろよ……」

 

 霧雨の言葉に俺は無言で頷くのであった。

 

 

 




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