『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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風神録に入ります。そろそろ戦闘シーンを作らないと。


第四十六話

 

 

 

「何も持ち物を持たずに私は平安京に来てしまったわ。それから私は羅城門のところで生活をしていた。時には食べ物を盗んだり、人の死肉を食べたりね」

 

 紫さんはそう言って笑うが、俺は笑えない。ふと、視線を宇佐見に向ければ宇佐見は紫さんの右腕を握っていた。

 

「それから私の能力も今の境界を操る程度の能力に変化したわ」

 

 成る程ね……。

 

「壮絶な人生だったでしょうね」

 

「そうね、髪が金だからと言って迫害されたり、盗賊に犯され殺されかけたけど能力を駆使して切り抜けてきたわ」

 

『………』

 

 ……紫さんの言葉には重みがあるな……。

 

「後は説明するのがめんどくさいから言わないけど、私は幻想郷を作って妖怪達を守るようにして博麗大結界をしたわ。それからは見ての通りよ」

 

 ……ざっくばらんだなおい。

 

「まぁメリーだしね」

 

「そこは納得するところなんすか宇佐見さん……」

 

「蓮子が一年前に神社に現れた時は驚いた。私は蓮子を追い返したわ。私は既に汚れた身であり、蓮子を此処へは置いていけないと思った私はスキマで蓮子を京都に帰した。でも……」

 

「フッフッフ、私は諦めが悪い女だからね。一年間、部屋に籠って幻想郷の事を研究してスペルカードも知ったわ」

 

「一年間籠って……てことはニー」

 

「それは言わないで。せめて自宅警備員と言いなさい」

 

 いや、それはあまり変わらないような気がするんだが……。

 

「それで……帰る気はあるのかしら蓮子?」

 

「帰る気なんて更々無いわ。私の隣にはメリーがいなければ意味が無いもの。それに親にはちゃんと言ってきたしね」

 

 キマシキマシ。

 

「此処に気間師というタワーを建てるか」

 

「何を言ってるの誠兄?」

 

「済まん、何か謎の電波を受信したからつい……」

 

 霊夢に怪しまれたが問題は無い。

 

「……判ったわ。蓮子がその覚悟があるなら幻想郷は貴女を歓迎するわ」

 

「ありがとうメリーッ!!」

 

「きゃ、ちょっと蓮子ッ!!」

 

 宇佐見が紫さんに抱きついた。紫さんは「しょうがないわね」という表情をしていたが、それでも嬉しそうだった。

 

「一件落着ですかね。小町、そろそろ帰りましょうか。酔いは醒めたでしょう」

 

「いやまだ酔いはあまり……きゃんッ!!」

 

「寝たいだけでしょう。ほら帰りますよ」

 

 そう言って映姫が小町を引っ張り神社を後にした。小町、服が首に巻き付かれてたから大丈夫だろうか……。

 

「それであんたはどうするのよ?」

 

「ん~メリーの家で寝泊まりしようと思うわ」

 

「え、人里で……」

 

「久しぶりに一緒に寝ようよメリー」

 

「……やはり気間師のタワーを建てるべきか……」

 

 既に宇佐見と紫さんがいちゃついている。おぉキマシキマシ。

 

 そして宇佐見は紫さんの家に住む事になった。藍さんや橙は当初は紫さんが未来人だと言う事に驚いたが、主人は主人という事なので直ぐに受け入れた。

 

 むしろ二人のラブラブ臭が半端ないと藍さんが神社に愚痴に来た時にそう言っていた。

 

 妖怪の山で暮らしている岡崎教授も未来人らしく、二人のゼミの教授だったらしい。宇佐見も岡崎教授を見た時はかなり驚いていた。(未来では岡崎教授は学会を追放されて行方不明になったとか)

 

 岡崎教授も大分前から紫さんがメリーじゃないかと思っていたらしく、宇佐見から聞いた時は「あぁ、やっぱりね」と言っていたらしい。

 

 なお幻想郷では冬を除いて、宇佐見と紫さんがあちこちで出没しているみたいだ。

 

 宇佐見曰く「秘封倶楽部が再開したのよ」だと事。まぁ二人が楽しいならいいか。

 

 そして時はいつの間にか二年の時が過ぎて第122季の長月(九月)になっていた。

 

 俺は相変わらず神社に住んでおり、それは魅魔や萃香、ゆっくりもそうだ。何時も通りのんびりと過ごしているが……俺はまだ誰を選ぶかは決めてない。

 

 一人を選べば他の人は悲しむ事になるし、流石にハーレムは……霊夢がヤンデレになりそうだから怖いな。

 

 まぁいつかは決める事だ、覚悟はしておくか……。

 

 何か変わった事はあまりない……じゃなくて一つだけあった。

 

 文々。新聞によれば妖怪の山の上に謎の神社が湖と一緒に現れたらしい。

 

 ……何で湖もなんだ?

 

「秋だなぁ……」

 

「ゆ」

 

 俺は境内でゆっくりと一緒に掃除をしていた。と言ってもゆっくりは俺の頭の上にいるがな。

 

「お、神主。今日もやってるな」

 

「親父さん、だから俺は神主じゃないって言っているだろ……」

 

 人里に住む八百屋の親父が竹の籠に入った野菜を持ってきた。

 

「ほら、今週分の野菜だ」

 

「お、有り難いな」

 

「なぁに、神主や巫女様には助けてもらってるからな」

 

 神社は俺が何とか頑張って貧乏じゃなかった。神社に来るまでの道を整備したり(草むしり)人里の相談事に相談したりとめんどくさがる霊夢の尻を叩いて人里からはある程度の信仰は得ていた。

 

 頻繁にとは言わないが一日に数人は神社に来て御参りに来ていた。

 

「それじゃあな。また何かあったら宜しくな」

 

「あいよ。任せとけ」

 

 八百屋の親父はそう言って石段を降りていった。

 

「さて、荷物を運ぶかな」

 

 俺は籠を持とうとした時、人の気配がした。

 

「神社の方ですか?」

 

「は、はい。貴女は……」

 

 振り返るとそこには巫女ぽい女性がいた。服装は霊夢の服と似ているが色は緑と白だ。ちなみに髪の色は緑だ。

 

「私、この間妖怪の山に引っ越してきた風祝です」

 

「風祝……?」

 

「風を鎮めるために風の神を祭る行事でその行事をつかさどる神職です風の祝子(はふりこ)とも言われてます」

 

「はぁ、その風祝さんが何故この神社に?」

 

「幻想郷の神社は此処博麗神社と私達の守矢神社しかありません。ですが幻想郷に神社は二つも入りません。なので貴方方の博麗神社を廃社して下さい」

 

「へ?」

 

 風祝さんはそう言った。

 

 

 




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