『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第四十三話

 

 

 

 

 霊夢と四季の弾幕ごっこは二十分も続いていた。普通なら霊夢が直ぐに勝つ筈だが、閻魔の四季とやらはかなり強い。

 

「強いわね……」

 

「ただで博麗の巫女に負けるわけにはいきませんよ」

 

「そう……でも私が勝つわッ!! 霊符「夢想妙珠」ッ!!」

 

 霊夢がスペカを発動させた。12個の円状の物(陰陽玉)が交差しながら展開して敵(四季)にホーミングして爆発した。

 

「……勝ったのか?」

 

「映姫様がそう簡単にやられるわけ……」

 

 隣にいる小野塚が呟き、煙が晴れるとそこには四季が倒れていたがあの倒れ方は……。

 

「……ヤムチャしやがって……」

 

 俺は思わずそう呟いた。いや、ほんとに某漫画のキャラのように倒れていたんだよなこれが。

 

「映姫様ッ!!」

 

 小野塚が倒れている四季に駆け寄った。てか霊夢の奴、閻魔にも勝ったな。

 

 ……博麗の巫女は化け物なのか?

 

「何か言った誠兄?」

 

「いや何も」

 

「まぁ良いわ。異変じゃないけど、弾幕ごっこで少しスッキリしたから良いわ」

 

 そう言って霊夢は倒れている四季に視線を向けた。

 

「ところで、今回のは異変じゃないとすると宴会は無しになるわけ?」

 

「まぁ……そうなるだろうな」

 

「いえ、それは大丈夫です」

 

 そこへ四季が目を覚まして立ち上がった。

 

「どういう事よ?」

 

「今回のは異変ではありませんが、貴女方に迷惑をかけたのは確かです。ですので、貴女方に御酒を送るつもりです」

 

 四季は服をパンパンと叩いて砂を落とす。

 

「本当に? 嘘じゃないわよね?」

 

「嘘ではありません。閻魔の名に誓って近いうちに神社に御酒を運びましょう」

 

「よしッ!! 酒代は浮いたわね」

 

「……貴方も苦労してますね」

 

「まぁ……何かと」

 

 四季にそう慰められたのであった。そして、今回はそこで異変?が終了となり、俺達は神社に帰るのであった。

 

 

 

 

「どうも、こんにちわ」

 

「お、四季様……で良いのか?」

 

「映姫で構いません。皆さんはそう呼んでます」

 

 数日後、四季……じゃなくて映姫が一人で神社にやってきた。

 

「映姫一人だけか?」

 

「いえ、そろそろ小町も来ます」

 

「え、映姫様ぁ~流石にしんどいですよ~」

 

 そこへ、小野塚が酒樽を二つ担いで石段を登って神社にやってきた。

 

「小町、そんな事を言っている暇はあるんですか? 後四往復もあるんですよ」

 

「映姫様が苛めるぅ~」

 

 小野塚はそう言って酒樽を置いてまた人里へと向かっていく。

 

「……流石に痛まれんから俺も行ってくるよ」

 

「……そうですか。分かりました、私は悪霊にでも会いましょう」

 

 映姫はそう言って神社の中に入った。

 

「ほら小野塚。俺も手伝うよ」

 

「お、有り難いよ。樽は重いんだよね~」

 

 俺は小野塚と一緒に人里へ向かった。

 

 

 

「……此処に居ましたか悪霊」

 

「……何の用だい?」

 

 台所で宴会の肴の用意をしていると、あの閻魔が来た。正直来ない方が良いんだけどね。

 

「いえ……貴女はその姿のまま、現世にいて良かったと思いますか?」

 

 ……何だいいきなり?

 

「……そうだね、最初は苦労してたけどね。でも魔理沙を弟子にしてから少し変わりだしたね。今は楽しいと思えるよ」

 

「……そうですか。その中心はやはり彼ですか?」

 

「……そうだね。誠がいたから私は此処にいるかもしれないね。誠と出会ってなかったら、今頃は何処かに消えていたかもしれないね」

 

 本当にそう思えるね……何かメタっぽいが気にしたら駄目だね。

 

「……八雲紫が八雲誠を幻想郷(ここ)に招いたのは間違ってなかったと言うことですね。博麗の巫女もあんなに表情が溢れていますし」

 

 ……あれは何時もの事だと思うけどね。

 

「……分かりました。私も貴女を現世に留めたのは間違ってなかったわけですね」

 

 閻魔はそう言った。

 

「あぁそれと、私は映姫で構いませんよ魅魔」

 

「……私が許可する前に言ってどうするんだい?」

 

「良いじゃありませんか」

 

 私ら二人は笑いあうのだった。

 

 

 

「……こりゃ確かに重いな」

 

「だろう? 映姫様も人が悪いよ。手も痺れてきてるしね」

 

 小野塚、それは落ちるフラグじゃないのか?

 

「ハハハ、そんな事あるわけ……ぁ……」

 

 小野塚がそう言った時、小野塚は樽を落としてしまった。

 

「え、映姫様に怒られるゥッ!?」

 

「む、無茶をするな小野塚ッ!!」

 

 森の中へ落ちていく樽を追いかけようとする小野塚を追いかける。

 

「……届いたッ!!」

 

「ま、前を見ろ小野塚ッ!!」

 

「へ?」

 

 樽に手を届いた小野塚の目の前に木の先が迫っていた。此処は……。

 

「ショートカット『六十キロ爆弾』ッ!!」

 

 俺は六十キロ爆弾(信管抜き)をショートカットして木にぶつけた。

 

「小野塚ッ!!」

 

「ッ!?」

 

 俺は小野塚に追い付いて小野塚が負傷しないように小野塚の頭を俺の胸に抱き寄せた。

 

 そして木にぶつけた六十キロ爆弾はバキバキっと木をまっ二つに破壊した。

 

「……ふぅ、怪我は無いか小野塚?」

 

「………」

 

「……小野塚?」

 

 何故か小野塚は顔を紅く……ってこれはまさか……。

 

「……済まないね」

 

「……いや、気にするな。ほら樽を拾おう」

 

 俺と小野塚は樽を拾って神社へと向かった。

 

「……見ちゃったのかー」

 

 

 




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