『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第四十一話

 

 

「巨乳でバインバインのゆかりん♪よ」

 

「……いきなり何よ? というか紫でしょ?」

 

「違うわ。今の私は巨乳魔法少女のゆかりん♪よ」

 

 自称ゆかりんが胸を強調しながら私にそう言ってきた。

 

「霊夢の悩みはズバリ胸が……」

 

「それ以上言うと夢想封印をするわよ」

 

「やぁん。乱暴ね」

 

 私は夢想封印のスペカを出してゆかりんを脅す。

 

「私の魔法なら貴女の胸を巨乳にしてあげるわよ?」

 

「ッ!? 本当でしょうね? 嘘だったら唯じゃおかないわよ」

 

「嘘じゃないわよ。そぉれ、ゆかりんゆかりんファンタジィ♪」

 

「きゃッ!?」

 

 私の胸に煙がポンと出て、煙が晴れると私の胸は巨乳となっていた。

 

 こ、これなら誠兄をあの巨乳軍団の魔の手から追い払う事が出来るわ。

 

 べ、別に誠兄を救うためだし私の胸が巨乳になりたいわけじゃないのよ?

 

 それにしても……この弾力は良いわね……誠兄が夢中になるのも判るわ。

 

「それじゃあ夢から覚めてね」

 

「え?」

 

「じゃあね~♪」

 

 

 

「………」

 

「ゆぅ……」

 

 目が覚めると、そこはいつもの私の部屋だったわ。そして胸元にはゆっくりが寝ていた。

 

 しかも寝相でなのかサラシが解かれて私の胸が露になっていた。

 

 ……ゆっくりが原因ね……。

 

「……ゆっくりの馬鹿ァッ!!」

 

「ゆッ!?」

 

 私はゆっくりに八つ当たりをするのだった。理不尽よほんとに……。

 

 

 

 そして季節は第120季の春。幻想郷中で、全ての花が通常の開花の季節とは関係なく突然咲き始め、妖精たちが騒ぎ出し、さらに幽霊が大量出現していた。

 

「……幽霊は怖いと思ったけど、人魂なんだな。足が無いのは神社にいるし……」

 

「それは誰の事だい?」

 

「お前しかいないだろ魅魔」

 

 俺と魅魔は洗濯物を干しているが、周りには人魂がフワフワと漂っている。

 

「こんなに人魂が溢れているとなると……あの世で何か起こったな?」

 

 あの世?

 

「あの世ってほんとにあるのか?」

 

「あるに決まってるよ。ちゃんと三途の川もあるし死神の渡し守もいるからね」

 

 成る程な……そういや魅魔は悪霊だったな。信憑性はあるな。

 

「これは異変よッ!!」

 

 そこへ霊夢が襖を開けて境内に来た。

 

「こんなに人魂や花が多ければ異変の可能性は大よ」

 

「何時もの勘もそう言っているのか?」

 

「……勘はそう言ってないわ。でもこんなのは異変だと思うのだけれど……」

 

 霊夢も異変かどうかは決められないのか。

 

「……こうなったら幻想郷を見回るしかないな。萃香、ゆっくりと留守番頼むぞ」

 

「お~行ってこい行ってこい。まぁ私は花見が出来るから構わないけどな」

 

 朝から飲んでいる萃香はそう言った。兎も角、神社の留守番は出来たわけだ。

 

「洗濯物を干してから行こうか」

 

「それもそうね。手伝うわ」

 

 洗濯物を干した後に霊夢と魅魔の三人で調査しに行くのであった。

 

 

 

「あら、調査をするの? 残念だけどそれはさせないわよ」

 

「何でよ幽香?」

 

 道中、チルノや騒霊達と弾幕ごっこをしつつ調査をしていたが幽香が俺達の前に立ちはだかった。

 

「幻想郷の花が咲いているのよ? 花の妖怪である私が黙って見過ごすと思うかしら?」

 

 幽香はうっとりしつつ日傘を装備している。花が咲きすぎで幽香が暴走しているのか?

 

「仕方ないわね。魅魔、誠兄。手出しは無用よ」

 

「あいよ」

 

「あぁ」

 

 そして霊夢と幽香の弾幕ごっこが開始された。

 

「アッハハハッ!! 早く逃げないと弾幕が当たるわよ霊夢ッ!!」

 

「く……花の妖怪め……」

 

 幽香は分身を出してフラワースパークを連発していた。

 

 機動性が低いから砲台に特化したのかもしれんな。

 

 たまに誤射が来るけど鉄を出して魅魔を防御している。

 

「いやぁ誠が防御してくれるから楽だよ」

 

「悪霊でもレディだから優しくしないとな」

 

「お、それは誘っているのかい?」

 

 魅魔はニヤニヤしつつ俺の頭に自分の頭を置いて寝ている。

 

「そこッ!! イチャイチャしないッ!!」

 

 幽香の弾幕を避けている霊夢が非難の声を出す。それは済まん。

 

「全く、私の前でデレデレするなんてね……(フラワースパークで滅してやろうかしら?)」

 

 何か二人の視線が異様に痛いです。

 

「あぁもうッ!! 幽香もさっさとぴちゅられなさいよッ!!」

 

「あら、私は最強クラスの妖怪よ。ただでぴちゅられるとでも思っているのかしら?」

 

 幽香は笑いつつフラワースパークをぶっぱなすが、霊夢は封魔針で応戦して幽香の動きを鈍らせた。

 

「今よッ!! 霊符「夢想妙珠」ッ!!」

 

 霊夢がスペカを発動させた。12個の円状の物(陰陽玉かもしれんな)が交差しながら展開して敵(幽香)にホーミングして爆発した。

 

「おっとッ!!」

 

「あ、ありがと……」

 

 流石に幽香も爆風からは逃れる事が出来ず、吹き飛ばされたが何とか先回りして抱き締める感じになった。

 

「ちょっとッ!! 何をしているのよ誠兄ッ!!」

 

「いや幽香を助けたんだが……」

 

「端から見たら抱き締めてる感じよッ!!」

 

 それはそうだが……。

 

「取りあえず……飛べるよな?」

 

「ぁ……えぇ。大丈夫よ」

 

 離れる時、幽香が少し寂しそうな表情をしてたような気がしたが……気のせいだな。

 

 兎も角、霊夢と幽香の弾幕ごっこは霊夢に軍配が上がるのであった。

 

 

 




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