『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第四十話

 

 

「れ、霊夢?」

 

「咲夜もいるわ」

 

「……帰っていいかしら?」

 

「あら~惜しいわねぇ」

 

 ……何なんだこの展開は?

 

「誠兄? 何で人里の宿屋で泊まると言っていたのに此処に(白玉楼)にいるのかしら?」

 

「いや……それは妖夢が……」

 

 俺は反論しようとするが、霊夢の殺気で思うように口が開かれない。

 

「誠兄……覚悟はいいかしら?」

 

 はい、霊夢がスペカ持ちました。短い人生だったなぁ……。

 

「ん~、霊夢はもしかして誠君と一緒に御風呂に入りたいのかしら?」

 

「なッ!? べ、別に私は……」

 

「それならそうと言えばいいのに~。ほら早く入りましょ。紅魔館のメイド長もね」

 

「え、ちょ、ちょっと……」

 

 そして結果的に幽々子に無理矢理な形で四人で風呂に入る事になった。

 

「気持ち良いわね~」

 

 幽々子はのほほんと言っているが、背中に貴女の双乳が当たってますが……。

 

「当ててるのよ~」

 

 のほほんと言わない下さいほんとに……。そして右横から視線が痛い……。

 

「……れ、霊夢? 何で俺の右手を自分の胸に……」

 

「いいから黙りなさい誠兄」

 

「……はい」

 

 霊夢が怖いです。取りあえず……咲夜に助けを求めたい。

 

「………」

 

「……諦めなさい。私も何故こうなったか分からないわ」

 

 ですよね~。

 

「……それにしても幽々子。どれだけ食べてたらそうなるわけ?」

 

 霊夢がふと幽々子にそう聞いた。

 

「私は幽霊だから食べても太らないわよ」

 

「「ッ!?」」

 

 その瞬間、霊夢と咲夜の目がキラリと光った気がした。

 

「……やっぱり夢想封印した方が良いかしら?」

 

「その時は私も手伝うわ霊夢」

 

 何か霊夢と咲夜に友情が結ばれたような気が……。

 

「もぅ、あまり動かないでよ誠君」

 

「いやだって……」

 

 幽々子が胸を押し付けてくるから逃げようとしてるんだよ。

 

「やっぱり夢想封印するしかないわね」

 

「貴女はそれしかないの?」

 

 幽々子はそう言って一発の弾幕を出して霊夢の手前で着弾。風船みたいにパンと音がしてお湯が霊夢の顔に掛かった。

 

「きゃッ!?」

 

「………」

 

 ……霊夢が怒るぞ幽々子。

 

「……そんなに夢想封印が受けたいようね幽々子ッ!!」

 

「ちょ、急に立ち上がる……な……」

 

 霊夢が夢想封印のスペカと二重結界のスペカを両手で持って急に立ち上がったため、巻いていたタオルがパラリと落ちて……。

 

「ぁ……」

 

 俺はゆっくりと咲夜の方へ向いた。

 

「……見たわね誠兄?」

 

「……いや、見てない。決して、貧乳じゃなくて巨乳でもなく美乳を持った霊夢だなんて見てないぞ」

 

「見てるじゃないのッ!! うぅ……誠兄に見られたぁ……」

 

 霊夢は顔を真っ赤にしながらブクブクとお湯を泡立てている。

 

「あら、見てもらえて良かったじゃないの」

 

「幽々子は黙りなさいッ!!」

 

 その後、何とか風呂タイムは終わって俺は三人を早めに脱衣場へ向かわせた。

 

 だってそうしないと先に俺が着替えていたら三人の下着があるわけで……まぁ後は察しろ。

 

「良いわよ誠兄ィッ!!」

 

「分かった」

 

 俺は立ち上がるが頭がクラっと来た。

 

「……逆上せたかもな」

 

 何とか着替えて涼もうか。俺はフラフラしながらも脱衣場で水滴をタオルで拭いて着替えた。

 

「大丈夫かしら?」

 

 そこへ見計らったように咲夜が脱衣場に入ってきた。

 

「咲夜、何で……」

 

「最初からお湯に浸かっていたら逆上せるわよ。ほら水よ」

 

「あぁ、済ま……」

 

 そこへ立ちくらみがきて俺は思わず咲夜の胸にダイブしてしまった。

 

 ……俺、今日は厄日かもしれんな……。

 

「気にしてないわよ。今のは事故よ」

 

 けど、咲夜は気にしていない表情をしていた。咲夜が大人で良かった……。

 

「……そういや……」

 

「どうしたのかしら?」

 

「いや……孝之が咲夜はパッドを装着してると言ってたけど、パッドじゃないよな」

 

 この膨らみは確かに胸が……。

 

「げふッ!?」

 

 そこで俺は咲夜に殴られた。

 

「心配するんじゃなかったわッ!!」

 

 咲夜は顔を真っ赤にしながら俺にそう言って脱衣場を出た。

 

 ……地雷だったか。てか孝之の事を喋ったから孝之の奴、消されるかもな。

 

「……馬鹿……」

 

 俺は咲夜が廊下を歩いていたため、咲夜が呟いた言葉を聞く事はなかった。

 

 その後、咲夜は仕事があるとの事で紅魔館へと帰ったが霊夢は白玉楼へ留まった。

 

「それじゃあ霊夢は誠君と寝のかしら?」

 

「誠兄が幽々子を襲わないように幽々子と寝るわよ」

 

 霊夢はそう言った。

 

「(先手は取らせないわよ)」

 

 何か幽々子に訴えるような表情の霊夢だった。そして各自で寝て、俺も宛がわれた部屋で就寝するのだった。

 

 

 

「……ん?」

 

 何か腹回りがもぞもぞするな……。

 

「あら起きた?」

 

「ゆ、幽々子?」

 

 朝起きると幽々子が布団の中にいた。何してんの?

 

「たまたま朝早くに目が覚めたのよ。うりうり~」

 

「ちょ、幽々子止めろ。また霊夢に怒られるぞ」

 

 幽々子は俺の寝間着の上から腹を、いやいやするように頭を振る。

 

 というか貴女の胸が俺の息子のところに当たってるんですがッ!?

 

「フフ~♪」

 

「だから幽々子……」

 

「そんなに夢想封印を食らいたいのかしら?」

 

 ……。

 

「れ、霊夢?」

 

「何か嫌な予感がするし幽々子はいないし、来てみればこれよ」

 

 霊夢が襖を開けて般若のような表情をしていた。そして手には夢想封印のスペカが……。

 

「誠兄の馬鹿ッ!! 霊符「夢想封印」ッ!!」

 

 そして俺はぴちゅられたのであった。

 

ごい




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