『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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今日は自分の誕生日ですので投稿します。


第三十九話

 

 

「はぁ……」

 

「あら霊夢。溜め息をついてどうしたのかしら?」

 

 紅魔館で一夜の滞在をする事になった私だけど……さっきから溜め息ばっかついてるわね。

 

「いやね咲夜、どうにも腑に落ちないのよねぇ」

 

「腑に落ちない?」

 

 紅魔館のメイド長である十六夜咲夜から紅茶が入ったカップを受け取って紅茶を飲む。

 

 ……たまには紅茶も良いかもね。

 

「誠兄の事よ」

 

「あら、楽園の巫女でも愛しい人の事を想うのね」

 

「そ、そんなんじゃないわよッ!!」

 

 咲夜の言葉に私は慌てるが……多分、今の私の顔は真っ赤だと思う。

 

「えぇ、真っ赤わよ」

 

 心を読まないでほしいわね……。

 

「話を戻すけど……誠兄は普通に人里にいるかしら?」

 

「……どういう事なの?」

 

「誠兄を狙う輩がいる事よ。流石に紅魔館組は私が監視しているから問題は無いけど……永遠亭や亡霊達、太陽の畑の連中が狙ってるからね」

 

「……あぁ、そういう事ね」

 

 咲夜は合点がいったように頷いた。

 

「貴女の気にしすぎじゃないのかしら?」

 

「そうだと良いんだけど……」

 

 私はそう思って紙芝居をしている孝之を見た。

 

 

 

 時は第130季、幻想郷は滅亡の危機に陥っていた。

 

 幻想郷を滅亡するため膨大な科学力を持つ月第三帝国は隕石に放射能を含ませた隕石爆弾を使って幻想郷を攻撃していたのだ。

 

 この攻撃で幻想郷の湖や山の木々は枯れ、放射能は人々を苦しんでいた。

 

 そして紅魔館では月第三帝国の野望を阻止するために紅魔館の地下でにとり達、河童と共に宇宙戦艦を開発していたのだ。

 

「お嬢様、船は完成しました」

 

「いよいよね。パチェ、乗組員は編成出来たかしら?」

 

「えぇ、艦長には八雲紫がやってもらうわ」

 

 遂に宇宙戦艦の建造が月第三帝国にバレてしまい、隕石爆弾が紅魔館へと向かってきた。

 

「船体起こせェッ!! 偽装解除ッ!!」

 

 八雲紫の指示の元、紅魔館は二つに分かれその地下から宇宙戦艦が現れた。

 

「抜錨ッ!! 『レミリア』発進ッ!!」

 

「抜錨ッ!! 『レミリア』発進するわッ!!」

 

 操縦席にいる霊夢がレバーを作動させて宇宙戦艦は上昇していく。

 

「此処で迎撃するわ。カリスマカノン発射準備ッ!!」

 

「誤差修正-二度、全砲門撃てるわッ!!」

 

「撃ちぃ方始めェッ!!」

 

「撃ェッ!!」

 

 レミリアの号令で四六サンチ三連装カリスマカノンは赤いビームを発射して接近してきた隕石爆弾を破壊した。

 

「これが……『レミリア』……」

 

「そうよ、これが最後の希望、宇宙戦艦『レミリア』よ」

 

 そして船は飛び立つ。いけ宇宙戦艦『レミリア』、幻想郷滅亡まで後360日、360日しかないのだ。

 

 

 

「……とまぁ、第一話はこれで終わり」

 

「ふぁ~~、この宇宙戦艦凄いッ!!」

 

「私が戦艦の名前ね……やるじゃない孝之」

 

「ありがとうございますお嬢様」

 

 ……何をしているんだか……。

 

「ところで霊夢。貴女行かなくて良いのかしら?」

 

「……どういう意味よレミリア?」

 

「誠が素直に人里にいるわけないだろ? どうせ、何処かで捕まってるわよ」

 

「……それは貴女の能力かしら?」

 

「いいえ、貴女でいう勘よ」

 

 レミリアはニヤニヤと笑っている。殴っていいわよね?

 

「……出かけるわ。咲夜、貴女も来るのよ」

 

「お断りしますわ。何で私が……」

 

「貴女、時を止めるでしょ? 時を止めている間に私を背負って移動するのよ」

 

「……パシりじゃないの」

 

「否定しないわね」

 

「貴女ねぇ……」

 

 咲夜が溜め息を吐いたが私は気にしない。

 

「あら、面白そうじゃない。咲夜も行きなさい」

 

「宜しいのですかお嬢様?」

 

 珍しいわね、レミリアが援護射撃をしてくるなんて……。

 

「たまには咲夜も外に行かせないとね(咲夜からどのような修羅場を聞きたいしね)」

 

「……分かりました。霊夢に同行します」

 

「ありがとうねレミリア。それじゃ行くわよ咲夜」

 

「移動させるのは私よ」

 

 そして私達は移動した。

 

 

「……フフ、面白くなりそうね」

 

「ただ単にお嬢様が楽しみたいだけかと……」

 

「あら、それはそうよ。博麗の巫女が愛してやまない人が取られそうなのよ? 楽しむのは当たり前ね」

 

 五百年生きているけど、あそこまで面白いのはいないわね。

 

「さて……孝之」

 

「何ですか?」

 

「パチェに聞いたのだけれど……フランとお医者さんごっこやベッドで格闘技をしたと聞いているけど、どういう事かしら?」

 

「あの……それは……その……」

 

「どうして歯切れが悪いのかしら? それとも……フランに対していかがわしい事をしたんじゃないでしょうね?」

 

 フフ、孝之は少し躾が必要ね。誰の執事だと言う事を判らせる必要があるわね。

 

 その後、部屋にはボロボロにやられた孝之と怒るフランの叫びと謝っているレミリアの姿があったそうな。

 

 

 

「……フ…フフフフフフ。妖夢ぅ、やってくれたわねぇ……」

 

 人里の宿屋に行ったけど、誠兄はいなかった。宿屋の主人の話によれば妖夢のところで一泊するみたい。

 

「……追うわよ咲夜ッ!!」

 

「……勘弁してほしいわ……」

 

 

 

「こぉらァァァッ!! 出てこい誠兄ッ!!」

 

「く、バレてしまった。此処は幽々子様のためにも死守を……」

 

 白玉楼の玄関を壊すと刀を抜いた妖夢が現れた。先手必勝よッ!!

 

「夢想封印ッ!!」

 

「ちょ……」

 

 夢想封印で妖夢を沈めて胸ぐらを掴んだ。

 

「誠兄は何処よッ!! 言わないと半霊を消すわよッ!!」

 

「ふ、風呂場……」

 

 ……今聞き捨てられない言葉があったわね。まさか誠兄は幽々子と……。

 

「……敵は……敵は風呂場にありよッ!! 行くわよ咲夜ッ!!」

 

「え、私も……」

 

 私はぐずる咲夜を引っ張って風呂場に行き、服を脱いでタオルを巻いて風呂場の扉を開けた。

 

「ちょぉぉぉっと待ったァァァァァァーーーッ!!!」

 

 




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