『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第三十八話

 

 

「風呂が壊れた?」

 

「まぁそうだな」

 

 霊夢の問いに俺はそう答えた。昨日の入浴時に異様に風呂の水位が減っていたから朝のうちに調べたら五右衛門風呂の底の方で亀裂がかなりあった。

 

 妖怪の山から河童のにとりと妖怪の山に住んでいる岡崎夢美教授を呼んだが(北白河ちゆりは留守番らしい)、やっぱり交換しないと無理な具合らしい。

 

「てなわけで工事するから一泊は何処かに泊まってきなさいな」

 

 岡崎教授はそう言ってにとりと共に工事を始めた。

 

「……まぁ仕方ないな。魅魔達はどうするんだ?」

 

「私は魔理沙の家にでも泊めてもらうよ」

 

「私は久しぶりに妖怪の山にでも行くかねぇ~」

 

 魅魔はそう言い、萃香は酒で酔いながらそう言って二人は何処かへと行った。

 

「……俺達も行くか。霊夢はどうするんだ?」

 

「私は紅魔館のところでも行くわ。魔理沙の家に行こうと思ったけど魅魔が行くんじゃあ仕方ないわ」

 

「そうか、分かった。気を付けろよ」

 

「分かっているわよ誠兄」

 

 俺と霊夢はそう言って分かれたのであった。

 

 

 

「……大丈夫よね。何か嫌な予感がするんだけど……」

 

 誠兄と分かれてから、私は紅魔館に向かっていたけど……どうしても釈然としないのよねぇ。

 

「誠兄だから大丈夫……なわけないよね」

 

 誠兄は巨乳の女どもにほいほいと行きそうだしね。

 

「う~ん……」

 

 私は釈然としながら紅魔館へと向かった。

 

 

 

「さぁて、人里に行くか」

 

 人里だと宿はあるからな。最悪の場合は上白沢の家に厄介になるしかないな。

 

 ちなみに、上白沢の家に行っても上白沢だけが住んでいるわけではなくもこたんがいたりする。

 

 健気と言うべきかなんだな……。

 

 

 

「おや、博麗の神主じゃないか。今日はどうしたんだ?」

 

「だから神主と違うって言ってるだろう。今日は風呂が壊れたから宿で宿泊するんだよ」

 

 人里の入口にいた親父にそう言われる……俺、ただの居候なんだけどな。

 

「ん? あれは……」

 

 宿屋に向かっていたら八百屋のところで白玉楼に住んでいる妖夢がいた。

 

「よう妖夢(別に駄洒落ではない。念のため)」

 

「あ、誠さん」

 

 妖夢に声をかけると、妖夢が俺に気づいて頭を下げた。

 

「買い物か?」

 

「はい、幽々子様はよく食べますので何回か買い出しに……」

 

 ……あいつの胃袋はブラックホールか? 妖夢も苦労してんだな。

 

「誠さんはどうして人里に?」

 

「ん? あぁ、実は神社の風呂が壊れてな。一泊を人里の宿屋で過ごそうと思って来たんだ」

 

 その瞬間、妖夢の目が光った……と思う。

 

「……それだと幽々子様が有利に……」

 

「ん? 何か言ったか妖夢?」

 

「い、いえ。あの……どうでしょう? 白玉楼で一泊しませんか?」

 

 ん?

 

「部屋は一杯ありますし。どうせ、幽々子様と二人しかいませんから」

 

「いいのか?」

 

「はい、誠さんが宜しいなら。幽々子様も承諾してくれますよ(というより確実に)」

 

 妖夢は口から出そうになったが何とか堪えた。堪えないと今さっきの努力が無くなるのだ。

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

「あぁ、ところで買い物は?」

 

「……忘れてました」

 

 そして買い物を俺達は白玉楼へと向かった。

 

 

 

 

――白玉楼――

 

「只今戻りました幽々子様」

 

「よぉむぅ~お腹空いたぁ~」

 

 玄関に入ると、奥の方から幽々子の声が聞こえてきた。

 

「奥から右側が居間の方です」

 

「ありがと妖夢」

 

 妖夢は材料を持って台所へ向かい、俺は居間の方へ向かった。

 

「あ、よぉむぅ……」

 

「よぅ幽々子」

 

 障子を開けると幽々子が蜜柑を食べながら俯せの状態で炬燵に入っていた。

 

「……誠君?」

 

「そうだが……」

 

 そして幽々子が急に消えた。そして台所の方で声が聞こえてきた。

 

「妖夢ぅ、何で誠君がいるのよぅ……」

 

「実は……(説明)」

 

「……妖夢、よくやったわね」

 

「ありがとうございます幽々子様」

 

 ……何か会話が……。その時、幽々子が現れた。

 

「ごめんね誠君。今日はゆっくりしていってね」

 

「あ、あぁ……」

 

 ……まぁいいか。幽々子が良いと言っている事だしな。

 

 その後……。

 

 

「ご飯ですよ~」

 

「おぉ、美味そうだな……って幽々子食べんの早ッ!?」

 

「早く食べないと無くなりますよ? 幽々子様は食べるのが早いですから」

 

「ちょっと待てぇぇぇいッ!!」

 

 

 

 

「……まさか晩飯が戦争になるとはな……」

 

 俺は五右衛門風呂に入りながらそう呟いた。ちなみに一番風呂です。

 

「まぁ一泊だけだからな。仕方ないと思う仕方ないと……」

 

 俺はそう思って一旦、湯の中に沈んで浮き上がった。

 

「頭から洗うか」

 

 俺は頭から洗い出した。その時、何かの音が聞こえた。

 

「お湯の加減はどうかしら?」

 

「ゆ、幽々子ッ!?」

 

 入ってきたのは身体にタオルを巻いた幽々子が入ってきたのだ。

 

 しかも膨らみが分かる分かる。……誰かティッシュ無いか?

 

「もう、何をしているの誠君?」

 

「い、いや。何でもない」

 

 前屈みになりそうです。

 

「ふぅ~ん、何でもないないのかなぁ?」

 

「ちょ、幽々子……」

 

「ちょぉぉぉっと待ったァァァァァァーーーッ!!!」

 

 幽々子にタオルを取られそうになった時、何故か紅魔館に行ったはずの霊夢が幽々子と同じく身体にタオルを巻いた状態で乱入してきたのだった。

 

 




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