『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第三十七話

 

 

 そして季節は冬で月は師走の中旬。

 

「はぁ~……寒くなってきたな……」

 

 俺は箒で境内を掃除しながらそう思った。神社の周りにある木々も葉は落ちている。

 

「秋姉妹が食料を分けてくれるおかげで冬は年越しが出来るな」

 

 まぁその分、お金は使わずに済むからな。

 

「誠兄ぃ。まだ落ち葉は集まらないの?」

 

「ん? あぁ悪い。もう大丈夫だ」

 

「それじゃあ、始めましょ♪」

 

 霊夢はそう言って新聞紙とアルミホイルに包んださつま芋を、落ち葉の中に突っ込んだ。

 

「それじゃあ誠兄宜しくね」

 

「……パシりみたいだが……『火』」

 

 俺は言霊で火を出して落ち葉の塊に火がついた。

 

「さぁて……どうしようかしらこのさつま芋の大群は……」

 

 霊夢は三個の籠に積まれた大量のさつま芋を見てそう呟いた。

 

 今年は予想より上をいく豊作だったらしい。秋姉妹もさつま芋を食べていたが流石に飽きてきたので他の野菜や米と一緒に御裾分けに来たのが正しいな。

 

「こうなったら焼き芋にして他の奴等にも分けましょ」

 

 霊夢の鶴の一声でそう決まり、紅魔館や永遠亭に焼き芋を御裾分けに行く事になった。

 

「紅魔館と永遠亭には焼き芋が二十ずつか。永遠亭は分かるが紅魔館はそんなにいるか?」

 

「……一人でも道連れにした方がいいのよ誠兄……」

 

 霊夢は何かを悟った表情をしながらそう言った。

 

「……一人でも体重増やさせるのか……」

 

「さつま芋が豊作な時点でそう決定されたわ。私の中でね」

 

「……ちなみにだが霊夢」

 

「何よ?」

 

「……やっぱりお前も……」

 

「そこからは言わないで誠兄。言えば御幣が誠兄のお尻に……」

 

「分かった分かった。言わんから」

 

 流石に突っ込まれたくないな。まぁ罪袋達は喜んでやりそうだな。

 

 そして焼けた焼き芋を持って俺はまず霊夢に指定された紅魔館へと向かった。

 

 

 

「ありがとう神主さんッ!!」

 

「いやだから俺は神主やなくて……」

 

「ありがとうね~」

 

 女の子はそう言って俺に手を振って人里へ向かった。まぁなんだ……飛行していた時に女の子が迷子になっていたから人里まで送ってきたんだけどな……。

 

 てか神主が定着しはじめているぞおい。

 

「……俺、知らんぞ霊夢」

 

 取りあえず紅魔館へ向かう事にした。

 

 

 

「くか~くか~」

 

「……何時も通りだな」

 

 相変わらず、紅魔館の門では門番の美鈴が寝ていた。

 

「美鈴~焼き芋だぞ~」

 

「……エヘヘ……」

 

 焼き芋を美鈴の前に出すと匂いを嗅いだのか嬉しそうな表情をしている。涎を垂らしているがな。

 

 まぁそれよりも、俺は一つ気になる事がある。それは美鈴が下を履いているのかだ。

 

 美鈴の服はチャイナ服だが、見えそうで見えないところまで脚が見えている。

 

 だがその後の下着はどうだろうか?

 

 ヒモパン? いや、それは美鈴の性格からしてありえない。まさかと思うが美鈴は履いてないのか?

 

「……てなわけで調査だ。俺はただの変態ではない。皆の要望に答えたまでだ」

 

 そして俺はゆっくりとチャイナ服の割れ目に手を伸ばして……。

 

「何をしているの?」

 

 時が止まった気がした。

 

「……パ……パチュリー?」

 

「そうよ。そこで何をしているのかしら誠?」

 

 何故かそこには、いつも図書館で本を読んでいるはずのパチュリーがそこにいた。

 

「……状況からして……大方美鈴の下着でも見ようとしたんでしょ?」

 

 す、鋭い……パチュリー、もしかして見ていたのか?

 

「たまたま見ていたわ」

 

 ぐ……。

 

「門番と言えど、私達の仲間……安心なさい誠。キッチリとお仕置きはしてあげる」

 

 パチュリーはそう言ってスペルカードを出した。

 

「ちょ、おま……」

 

「問答無用よ。日符「ロイヤルフレア」ッ!!」

 

 そして俺はパチュリーにぴちゅられた。

 

「……見たければ私のを見たらいいのに……」

 

「流石はパチュリー様。ぴちゅらした後に言うのはツンデレですね」

 

「五月蝿いわこあ」

 

 

 

「……てなわけで、焼き芋の御裾分けです」

 

「あらそう。それにしても頭が酷いわね」

 

 俺は紅魔館の主であるレミリアに紅魔館分の焼き芋を渡していた。ちなみにだが俺の頭はギャグ漫画みたいな爆発頭になっていた。

 

「焼き芋……太る……美鈴に渡そう」

 

 ……咲夜が何か言っているが無視しておこう。聞かなかった事にしておくしかないな。

 

「後でスイートポテトにしておくか」

 

「美味しそうだね孝之御兄ちゃん」

 

「……おのれ孝之(フランは孝之と仲良しね)」

 

 心の中と言葉が違いますよレミリアさん。

 

「それじゃあ、行くわ。次は永遠亭に行かないといけないしな」

 

「そう。気を付けなさい」

 

 皆に見送られて門のところまで行くと、美鈴が顔を赤くしていた。

 

「……酷いですよ誠さん。勝手に見ようとするなんて……」

 

「悪い、美鈴。御詫びに焼き芋をやるよ」

 

 俺は美鈴のために残しておいた焼き芋を皮を剥いて美鈴に渡した。

 

「はふはふ……美味しいです。誠さんもどうぞ」

 

「ん? あぁ」

 

 俺は焼き芋にかぶり付いたが……これって間接キスでは……。

 

「美味しいですね」

 

 そう言って美鈴はまたも焼き芋にかぶり付いた。しかも顔を赤くしてだ。

 

 多分、俺も顔が赤いな。てか恥ずかしい……。

 

「美鈴に一歩リードされてるわよパチェ?」

 

「………」

 

 そして無言でパチュリーは美鈴と誠の中に乱入するのであった。

 

 




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